食事放談 はるかの部屋 Theme#16大人の寿司入門。

写真拡大 (全7枚)

連れて行ってもらうのではなく、自分で食べに行けるようになりたいジャンルといえば、寿司が筆頭。いま、“おこのみ”でさらりと、カジュアルに楽しめるお店も増えてきた。

毎日何を食べるかリサーチと準備を欠かさないライターの小石原はるかさんが、食通を迎えて対談。今回は、大の寿司好でもある編集者の大木淳夫さんと、ビギナー向けに寿司の楽しみ方を考えた。

小石原はるか(以下、小石原) お肉と麺類を愛するゆえ寿司はあまり食べに行くことがないのですが、改めて知りたい分野。いつかじっくり寿司についてお聞きしたいと思っていた大木さんをお呼びしました。Hanako読者、いえ、私向けにも、指南をお願いしたいです!大木淳夫(以下、大木) コース2万〜3万円台のおまかせ一択というお店が、数年前の主流でした。今は少し低価格帯が増えてきて、初心者にも優しくなっているかもしれませんね。たとえば、六本木の〈鮨6〉がエポックメイキング。職人さんが握るのは変わらないのですが、ロボットが配膳してくれるんです。タブレットで注文できるから、お店に気を遣わず仲間内で楽しめて居酒屋感覚に。小石原 最近ファミレスで見るアレが寿司屋にも!肝心の寿司は大木さんのお眼鏡にかなうんでしょうか!?大木 それがおいしいんですよ。いいネタがお手頃に食べられます。

(function (cs) {/* Publisher options */var options = { clickUrl: "%%CLICK_URL_UNESC%%", gdpr: "${GDPR}", gdpr_consent: "${GDPR_CONSENT_898}", coppa: "%%TFCD%%",};/* DO NOT TOUCH ANYTHING BELOW */cs.parentNode.insertBefore(Object.assign(document.createElement("script"), { type: "application/javascript", async: 1, src: "https://tagservice.maximus.mobkoi.com/boot/b98dab67-2ba5-4c84-9895-fa151462397e/?po=" + encodeURIComponent(JSON.stringify(options)) + "&cb=" + Math.random() + "&st=" + Date.now()}), cs); })(document.currentScript);鮨6 六本木

住所:東京都港区六本木3-14-14 Vort六本木 Kaleido4F │ 地図ホールスタッフは0人で“接客ゼロ”。高級店で扱われるネタを使ったコースが5,800円でいただける。アラカルトもあり、料理の評判も上々。日本酒の種類も豊富で、飲み放題のプランも付けられる。

小石原 人件費を抑えて、価格を安くしてくれているんですね。気軽といえば、スタンディングの流れも続いていますね。立ち食いマーケットとして成熟してきた気がします。昔からよく言いますが、寿司はファストフードなので、正しい姿なのでしょうが。大木 〈立喰 鮨となり〉がいいですね。〈麻布十番 秦野よしき〉が手がけていて、その名の通り隣のビルにあります。おまかせもできますが、好きなものを注文する「おこのみ」もOK。小石原 名店のディフュージョン版はいいですね。味が保証されていて。大木 ネタの質もいいし、店員さんのコミュニケーション能力も高い。公式LINEを登録していると、空席情報を教えてくれるのも便利で。小石原 あら、それはいいですね!早速登録しなくては。

右上から時計回りに、酢飯で作ったおはぎ「こしあん」165円、久米島の「車海老」880円、「なすの揚げ浸し」165円、釧路の「毛蟹」1,485円、「うに軍艦」1,210円。立喰 鮨となり 麻布十番

住所:東京都港区麻布十番2-8-7 M2K Holding BLD.2F │ 地図電話番号:03-6453-9950営業時間:11:30〜14:30(最終入店13:30)、18:00〜22:00(最終入店21:00)定休日:月、火曜ランチ席数:14席〈麻布十番 秦野よしき〉と同じく、ユニークなスペシャリテが、タブレットで気軽に注文できる。

旬を調べたり、好きなネタを考えておいたり事前に準備しておくともっと楽しい!

大木鮨こばやし〉も好きです。最近のお寿司屋さんの難しいところは、夜の仕込みが多いのでランチをやっているお店が減っていること。でもここではランチも、おこのみもある。大変そうだけど、飄々(ひょうひょう)とやっているんですよね。小石原 好きなものを食べられるのはうれしいけど、ちゃんとしたお寿司屋さんって、頼む順番を考えた方がいいですよね。どう伝えるのがいいでしょう?大木 旬の魚の種類くらいは調べて行くといいのではないでしょうか。小石原 そうですね、今はネットでいくでも下調べできますから。大木 光り物、白身、赤身、煮物、〆物など、違う種類を食べてみるといいです。小石原 江戸前の仕事を一通り、ですね。大木 おこのみで注文するなら、たとえば「貝が好きなんですけど、今日は何がおすすめですか?」とか、「光り物だと何がいいですか?」とか、こちらから提案してみるのもいいかも。小石原 自分の情報開示、いいですね。大木 職人さんは昔ほど怖くないし、コミュニケーション能力が高い人が増えているので、ぜひ会話を。

鮨 こばやし 銀座8丁目

住所:東京都中央区銀座8-2-10 誠和シルバービル1F │ 地図2022年12月オープン。都内有名店で腕を磨いてきた店主が、正統派の江戸前寿司を提供する。ランチタイムの営業がある店は少ない中、貴重な存在。ワンオペなので、予約の際は電話する時間に配慮して。

小石原 職人さんも近頃は若い人が多めになってきたので、お話ししやすいですね。風格がついてから独立する時代とは違ってきました。大木 独立が早まってるんですよね。厳密には、自分の店というより別にオーナーがいる形の方が多いようですが。小石原 以前より早い段階で大将になれるんですね。大木 おっと、その呼び方ですが、東京においては「親方」という呼称が正しいんですよ。「大将」は西の方ですね。小石原 なんと、そこにも文化の境が!大木 そして、若い親方がいるお店なら〈すしさとる〉。年はまだ20代で、ご夫婦二人で営んでいます。江戸前の仕事を研究していて「頑張れ!」と言いたくなる。小石原 応援したくなるの、いいですね。そして、ここもLINEで予約可、と。大木 営業前の時間も仕込みで忙しくて電話取れないですもんね。小石原 あとは1カ月前に予約できるのもうれしい。これまでの流れだと、次に行けるのは4年後、なんてこともありましたから。行きたいと思ってから行けるまで時間があきすぎちゃうと…。大木 季節感を味わいたいんですよね。仕事柄難しいですが、本当は同じ店で四季それぞれを楽しむというのがいい。好きなお店を見つけて通えるといいですね。

すしさとる 恵比寿

住所:東京都渋谷区恵比寿3-3-9 │ 地図〈麻布十番 秦野よしき〉で研鑽を積み、27歳の若さで独立した荒木悟さんは元ボクサー。修業時代に身につけたユニークな寿司を継承しつつ、親しみあふれる空気を作り出している。一斉スタートのおまかせコースのみ。

寿司は季節感を味わえる食べ物。好きなお店を見つけて通うのもいい。

大木 小石原さんはあまり寿司屋には行かないと言いつつ、お気に入りがあるのでは?小石原 そうですね、実は。〈すし光琳〉は本当に好きで時々行きます。15時からオープンしていて、料理も充実。明るいうちからサクッと行けるのが最高です。大木 一昨年にできて、あっという間に人気になりましたね。たくさんは食べられないけれどおいしい寿司を食べたい世代が、みんな目指して行くようになった。小石原 みんなこういうお店を待っていたんですね。緊張感からゆったり味わえない、ということもないですし。大木 かしこまらなさすぎるお客さんもいますけどね。カウンターにスマホを置いたり、半ズボンで行ったり。気にされないお店もありますが。小石原 最低限のマナーは守りたい!

右から、穴子418円、小肌308円、つぶ貝528円、〆キス418円、マグロ418円。この日のマグロは塩釡から、キスは淡路から。季節で産地や価格、ネタの種類は異なる。すし光琳 神泉

住所:東京都渋谷区神山町11-10 梅澤ビルB1 │ 地図電話番号:050-3171-3411営業時間:15:00〜22:00定休日:なし席数:12席「好きなものを好きなだけ」注文できるスタイル。水分量を抑えた酢飯はネタと同時に喉を通るように考えられている。料理は毛蟹の甲羅詰めや蒸しアワビのつまみが人気。

大木 寿司のことを語れば、本一冊作れてしまうほど、まだまだ語り尽くせません。最後にもう一軒おすすめを。小石原 お願いします!大木 おまかせのみですが、〈鮓家一〉がめちゃくちゃいい。いいネタをそろえる分、アルバイトは学生さん。歴代みんなきちんとしていて、親方の教育がいいんでしょうね。いいお寿司屋さんの見分け方っていろいろあって難しいですが、今日紹介したところは間違いないです!

鮓家一 神楽坂

住所:東京都新宿区神楽坂4-3 TKビル2F │ 地図〈グランドハイアット東京〉の江戸前鮨〈六緑〉で約10年にわたり料理長を務めた店主が独立し、満を持して自身の店を開いた。鍛えられた目利きで魚の質と鮮度を見分けて握っている。おまかせコースのほか、おこのみも。

小石原はるか ライター

こいしはら・はるか/うどん、焼きそば、肉と、好きなものにはとことんハマる“偏愛系”ライター。『東京最高のレストラン』(ぴあ)には毎年寄稿。最新刊は『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)。

大木淳夫 編集者

おおき・あつお/1965年東京生まれ。『東京最高のレストラン』(ぴあ)編集長を2001年の創刊から続けている。「食べログマガジン」で新店連載も担当し、日々フードニュースの最先端に。

photo : Kaori Ouchi text : Kahoko Nishimura

No. 1223

大阪通が教えてくれる 最新・大阪案内。/大橋和也 (なにわ男子) 2023年07月28日 発売号

古くから「天下の台所」、そして「食いだおれの街」と称されてきた大阪は、人々が豊かな食を育んできた街。令和の今、そんな大阪のフードカルチャーを目当てに、海外からもたくさんの人が訪れています。世界からも注目を集める大阪の“おいしい”魅力について、大阪通から教えてもらう今回の大阪特集。美しく澄み切った出汁の旨味、香ばしいソースの香り、食欲をそそる揚げたて焼きたての音…。エリア、ジャンル、テーマにわけて五感をフルに刺激する大阪の食の最新情報をお届け!

もっと読む