「知らぬは夫だけ…」医者の妻の座についた清楚系美女の恐ろしい裏切り計画
多くのエリートを輩出している名門男子校。
卒業生と聞いてあなたはどんなイメージを持つだろうか。
実は、思春期を"男だらけ"の環境で過ごしてきた彼らは、女を見る目がないとも言われている。
高校時代の恋愛経験が、大人になってからも影響するのか、しないのか…。
▶前回:待ち合わせは六本木アマンド前。初デート開始5分で、女が「2回目はない!」と見限ったワケ
<今週の男子校男子>
名前:進(32)
学歴:ラ・サール学園→九州大学医学部
職業:医者
住所:白金台
妻:未華子・専業主婦(30)
大学時代に東京に遊びに行った時、僕はバドミントン部の同期だった友人が暮らす下北沢の家に泊めてもらった。
旨い店に行きたいとリクエストすると『ルミエルネ』を予約してくれた。
「洒落た店だな。よくこういう店来るの?」
「いや、進が遊びに来てくれたからだよ。普段は焼肉とか居酒屋ばっかり。でも彼女がおいしい飯好きだから、付き合わされることもあるよ」
彼女の写真を見せて欲しいと頼むと、彼は少し照れくさそうにスマホをよこした。
「えっ、これが彼女!?」
進が驚いた友人の彼女とは一体どんな女?
彼の隣で微笑む女子。“透明感”という言葉がぴったりだ。ゆるくウェーブがかかった黒髪に大きなタレ目。
「ああ。テニスサークルの先輩でさ。幼稚園から日本女子大附属のお嬢様なんだよ」
当時僕は部活の同期で看護学部の子と付き合っていた。取り立てて美人な子ではないけど、僕のくだらない話にも笑ってくれるし、料理上手で優しいところが好きだった。
ーでもなんだろう、この感情は。俺はコイツが羨ましいのか?
それから僕たちは、中高の同級生を集めて連日遊びに繰り出した。渋谷、銀座、六本木…。遊んでも遊びきれないパワーが東京にはあった。地元の福岡はもちろん大好きだ。おいしいご飯も気軽に食べられて、適度ににぎやかでありながらもコンパクトで住みやすい。
だが、1回くらい九州を出てみたい、とその時思った。
弟も医学部とはいえ、将来は、親の医院を継ぐために福岡に戻ることになるだろう。でもしばらくの間だったら…。
ー卒業したら、東京の病院で働いてみようかな。
僕は福岡に帰る飛行機の中で、小さくなる東京の風景を見ながらそう決意した。
◆
僕が卒業した高校は”ラ・サール学園”だ。
ーここでも1番を取ってやる。
地元の福岡では天才小学生扱いだった僕は、九州や全国から集まる各地の天才達に圧倒された。
授業が終わった後も寮で夜遅くまで自習の時間があって、テスト三昧の日々。少しでも気を抜けば、順位はみるみる下降していく。
勉強の気晴らしになるはずの部活では、他の部員と軋轢が生まれることもあった。バトミントン部に所属していた僕は真面目に練習に出るタイプで、後輩の指導も積極的にこなしていた。一方で、練習にほとんど来ない部員もいた。
ーなんであいつは練習に来ないのに、俺よりうまいんだ。
そんな風に鬱屈した気持ちを溜め込むこともあった。それでも寮生活では逃げ場がない。だから僕たちは不器用ながらもぶつかり合いながら、お互いを認めあった。
高校時代によく言い合いをした同級生ほど、今仲がいいかもしれない。
寮生活での6年間は僕を強くしたはずだ。苦しかったテスト三昧の日々や大学受験も仲間がいたからこそ、最後まで気持ちが折れることがなかった。
ラ・サールに入ってよかった。今では堂々とそう言える。
◆
「はあ、はあ」
早朝でも暑さは容赦ない。僕は休日の朝、ランニングを日課にしている。
ーさすがに今日は暑すぎる。
僕は水を一気に飲み干すと、走ることをやめてプラチナ通りを歩いてマンションへ帰った。
医者に必要なことは何か。僕は真っ先に体力だと答える。
僕のいる皮膚科は、病院の中でも比較的ワークライフバランスが取りやすいと言われている。
それでも救急症例の診察や病棟からの電話対応で気が抜けることはない。
ー今日は未華子に将来について話さないといけないな。
昨日、福岡の病院で働く弟と電話したことで僕はある決心をすることになった。
進の決意とは?そして、妻・未華子の本音が明らかに・・・
ランニングを終え家に戻ると、妻の未華子がリビングでソファーに座ってNetflixの韓国ドラマに見入っていた。ただいまと声を掛けると、ドラマの再生を止めて僕の方を振り返る。
「おかえり〜朝ご飯できてるよ」
シャワーを浴びた後、冷蔵庫から朝食プレートを取り出して、ダイニングテーブルに座る。色鮮やかなニース風サラダに、サラダチキンと玄米。未華子の料理はいつも栄養バランスが考えられている。
「おいしい!」
未華子とは先輩に連れて行ってもらった食事会で知り合った。多少気が強いところがあるが、料理上手で思慮深い自慢の妻だ。
未華子もドラマを観るのを止め、僕の隣に座った。
「しばらく暑いんだから、朝でもランニングは止めたほうがいいよ」
心配そうに僕の顔を覗き込んでくる。僕はその気遣いにありがとうと答え、話を切り出した。
「そうそう、相談したいことがあるんだけど」
何?と小首をかしげる未華子。
「将来的に福岡に帰ろうと思うんだ。専門医を取ったら、だけどね」
「え、でも弟さんが継ぐって話じゃなかった?」
未華子は驚いた顔をして、こっちを見つめてきた。
「いきなり言われてもびっくりするよな。でも弟はへき地医療に興味があるらしいんだ。だから彼の夢をサポートしたいし、俺も出来る範囲で地元に貢献したいって思うようになったんだよ」
未華子は僕と知り合った時、病棟看護師として忙しい日々を送っていた。『私も地方出身だから、地方にも最先端の医療を届けたい』そんな風に話していた姿が印象的だった。
だから、彼女なら僕の思いを理解してくれる、そんな確信があった。
ー迷惑をかけるだろうから、未華子のことをサポートしていかないと。
僕は彼女のほっそりした手を握りしめ、そう心に誓った。
未華子の正体
ー福岡に帰る?冗談じゃない!
私は洗い物をしながら、小さく舌打ちをした。
義両親は「無理して継がなくていい」と言っていたし、元々は福岡で勤務医をしている弟が継ぐ予定だって結婚前は言ってたのに。
ーせっかく東京で医者の妻になれたのに…話が違う!
私は小学生の時から、医者と結婚すると決めていた。
当時茨城県の海沿いの街に住んでいた私は、同級生の医者の娘と仲が良かった。
私の両親は公務員で別に貧乏だった訳ではないけど、子供ながらに羨望と嫉妬の入り混じった感情を彼女に対して向けていた。
学校に着てくるお洋服はナルミヤブランドやバーバリーで、お家に遊びに行くと最新のゲーム機や大きなシルバニアファミリーのお家が並んでいた。
ー大きくなったら、私もお医者さんと結婚して好きな物をいっぱい買ってもらいたい!
進学先に東京の看護学部を選んだ理由は、そんな体験からだった。
大学で情熱や信念を持って看護師を志すクラスメイトに会うと、少し後ろめたい気分になることもあった。
ーみんな偉いな。私なんて、いい加減な気持ちで来ちゃったかも。
だから授業や実習は、負けないように頑張った。おかげで成績は学年トップクラスだったと思う。
勉強の合間に私は、港区のホームパーティーやお食事会に顔を出して年上の医者と知り合った。
その繋がりで進と出会った頃、実は銀座に美容クリニックを構える年上の開業医と婚約していた。
ー進には、未だに内緒なんだけどね。
でも元婚約者は付き合った時から浮気三昧の女たらしでマザコン男だった。
いくら家族仲がよくても30半ばの大人が、毎週母親と買い物に行くのはちょっと…。彼とは婚約指輪や新居を選ぶ時に、当然のように彼の母が口を挟んできたことが理由で別れた。
その反省を元に、派手な医者よりも堅実で自立した「結婚向き」の男を探すようになった。
進は1人暮らしの経験が長いから、何でも自分でこなすし、実家も地方で煩わしい家族付き合いがない。それに実家の病院を継がないと話していたこともポイントが高かった。
洗い物を終え、何気なくインスタを開く。
適当に投稿をスクロールすると、港区時代の女友達が結婚報告の写真をあげていた。
当時と変わらないスタイルでタイトスカートを履きこなす彼女の指にはショーメのエンゲージリングが煌めいていた。
ーえ、旦那さん開業医なんだ。
同じ開業医と言っても福岡での開業医とはわけが違う。
ー本当に福岡に帰ることになったら、最悪、別居か離婚かな。彼女に旦那さんのお友達の医者を紹介してもらわなきゃ!
私は友達の投稿に「いいね」を押した。
そして幸せそうにソファーで軽く昼寝をしている進を横目にメッセージを打ち始めた。
ー結婚おめでとう♡素敵な指輪だね!
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