7月2日の深夜2時半頃に関東上空に出現した大火球が話題になっていますね。 こんな大きな火球は本当にめずらしいこと。何かが始まるメッセージでしょうか!?夜空を見上げているとこんなラッキーもあるんです。眠れない夜はムリに寝ようとせず、 一度お布団から出てリラックスしてみるのもいいかも。ちょっと窓を開けて、夜空を見上げてみませんか? 

★スター1 満月に木星と土星の3点セット

7月の満月は5日です。月の出はまだ薄暮の残る19時16分、沈むのは夜明け前の4時7分です。満月を見ているのも楽しいですが、夜中になると木星、土星と次々と昇ってきてにぎやか。Zoom飲みに呼びたいくらいです。

月と木星と土星がひしめく7月6日の深夜。(画像:iステラ/アストロアーツ)

月と木星の最接近は7月5日の夜から6日の未明にかけて。木星は光度マイナス2.7と、かなりギラッとしています。

そして6日深夜から7日の明け方にかけては、今度は土星が月に大接近。土星は光度0.2で、木星にはかないませんが、派手好きなジュピターを斜め後ろから見守るサターンという間柄でしょうか。実は、この構図は6月の上旬にも見られました。でも、いつもこんなに近くにいるわけではありません。満月との豪華3点セット、お見逃しなく。

★スター2 七夕の深夜は、牽牛星と織女星を探してみよう

7月のスターといえば、ひこぼし(牽牛星)とおりひめ(織女星)でしょうか。

九州や本州では七夕は梅雨の真っ最中であることが多く、ひこぼしもおりひめも、ましてや天の川なんて見えないことが多いのですが、あきらめないで!それに今年は若干、空がキレイになっていますし。

真ん中の天の川をはさんで、左側(東側)の明るい星がひこぼし(牽牛星)、やや右上の明るい星が
おりひめ(織女星)です。

天の川に隔てられたひこぼし、おりひめ。一年に一度、天の川を渡って会うことを許されているのですが、2つの星の間は15光年離れています。15光年とは、光速で15年かかる距離という意味です。なので、ひこぼしとおりひめが会えるのはがんばっても15年に1度。帰るのにも15年かかりますから、次に会えるのは30年後……。七夕伝説には複数のバリエーションがありますが、2人が夫婦だというバージョンもあり、別居どころでは済みません。

★スター3 おりひめのベガ様はまぎれもないスター

さて、七夕伝説ではひこぼしとおりひめですが、星座の名前はまったく別です。

牽牛星は、わし座の1等星アルタイル(左側の明るい星)。織女星は、こと座の1等星ベガ
(右上の明るい星)です。(画像:iステラ/アストロアーツ)

わし座とこと座の上に、十文字の「はくちょう座」もありますね。はくちょう座にもデネブという1等星があって、わし座のアルタイル、こと座のベガ、はくちょう座のデネブの3つを結んで「夏の大三角形」と呼ばれます。その雄大な姿は、梅雨が明けたころにご紹介します。

夏の大三角形の3つのうち、いちばん明るく輝くのがベガです。七夕伝説のおりひめです。光度は0.0で、これは1等星の中で5番目の明るさで、北半球から見える1等星の中では3番目という明るい星です。真夏の夜の天頂近くで青白くキラキラしています。天の川が見えるような暗い夜空でもベガは輝いて見えることでしょう。

それに対してアルタイルは光度0.8と、1等星の中では目立つほうではありません。ただ、動きは速い。秒速250キロという速さで自転し、直径は太陽の2倍近くあるのに7時間で1回転してしまうというスピード狂です。

ところで、ベガをいただくこと座は、星図ではよくこんなふうに描かれています。西洋の琴、ハープなのでしょうか。

こと座というと、よく絵で見るのはこんな感じ。(画像:iステラ/アストロアーツ)

しかし、古い星図では、こんなふうに描かれるものもあります。

古星図に描かれたこと座は、ワシのお腹に琴が。ワシの顔の向きは右だったり左だったり、星図に
よって違うようです。(画像:星座表/ESCAPE VEROCITY LIMITED)

古代の天の川のほとりは、ワシだらけだったのかもしれませんね。

ところで七夕の夜、おりひめ(ベガ)、ひこぼし(アルタイル)は、夕方にはまだ空に昇っておらず、場所によりますが、21時過ぎにやっと東の空に見えるようになります。夜中0時ごろのほうが見やすいでしょう。曇っていて見えない〜!という場合は、旧暦の七夕(今年は8月25日)にもう一度、探してみませんか?

七夕でもいつでもいいので、ベガとアルタイル、見えたら今夜もグッスリZzz.

*文中の時間や星図は東京の国立天文台を基準にしたものです。

文/佐藤恵菜