まことしやかに囁かれる、恋愛にまつわる都市伝説。

付き合う前に一線を越えたら、本命になれない。
一人暮らしの女性がペットを飼ったら、婚期を逃す。

それって、本当?

東京には、こんな定説に振り回されず、思うがままに人生を楽しむ女たちがいる。

だって彼女たちは、自分の“恋愛フィロソフィー“を持っているから。

前回は、35歳オーバーでも、モテる女性を紹介した。




ケース8:3回目のデートで告白されないと、脈なし?


金曜23時、恵比寿。

駅に向かう人の流れにのり、隼人の隣を歩く私。

ー8回目のデートなのに、今日も一緒に食事しただけ。そして、このまま“解散”なんだよね…きっと…。

「じゃ、またね。私こっち…」そう言って日比谷線に乗るためにえびす像の前で別れを告げたそのとき、隼人がボソリとつぶやいた。

「真由子、僕の彼女になってください」

驚きを隠せない私に、照れながら隼人はもう一度言った。

「付き合ってください!」

「えっ、今さら?」

少し焦った表情を見せる彼がどうしようもなく可愛く思える。

「…ダメ、かな?」

「隼人、よろしくね」

そう言って私は彼にハグをした。

安心したように照れ笑いをする隼人と目が合い、2人の間に温かい空気が流れる。

ようやく梅雨も明け、夏本番に突入すると同時に始まった、私と隼人の恋。今日この日を迎えるまで、どれだけこの言葉を待ち続けたことか。

じれったい態度に悶々としていた頃の私に、隼人に告白させるまでに至った私の“戦略”を教えてあげたい。


隼人と付き合い始めた真由子。交際をスタートするまでの、隼人の草食男子ぷりとは?




あれは、新卒で入ったメガバンクの研修だった。

「あ、どうも」

ボソリと呟くように挨拶をしてきた隼人。

ーモテる要素は持ってるのに、何かもったいない…。

背が高く整った顔立ちをしているのに、どこか自信なさげにしていたからだろうか。隼人に対して抱いた第一印象はそんなものだった。

いずれにせよ、この時点では彼に対し、何ら特別な感情を抱いていはいなかった。

私が25歳のときに転職してからも、しばらくは元同僚として何人かで時折飲む仲に過ぎなかった。

ところが、私が転職してから3年が経ったとき、私たちの関係に変化が訪れる。

隼人:今度、飲みに行かない?

グループLINEにではなく、私の個人LINEにメッセージが来たのだ。

ー飲みに行くって、2人だけってこと…?

当時、恋愛対象としてどころか、友人としてもそこまで距離の近くなかった隼人。

だけど、何か口実やきっかけを探るわけでもなく、ストレートに誘ってきてくれたことは素直に嬉しかった。

だから、快諾したことをよく覚えている。

真由子:ぜひ♪

その時は、彼のじれったい態度にその後振り回されることになるなんて思ってもいなかった。




「同期の佐藤って覚えてる?あいつ、なんかやらかしちゃったらしくて、地方に飛ばされたんだよね」
「えー、あの子めっちゃ真面目だったじゃん。本当それ?」

友人として当たり障りのない話から、元同僚のゴシップ話、最近の社内事情まで。改めて2人で飲むなんて、何を話そうかと思っていたのだが、元同僚として楽しく飲む話題には事欠かなかった。

しかし、私に彼氏がいるのかとか、最近の恋愛事情については一切突っ込んでくる様子もない。

―やっぱり私の思い過ごしか?

帰り際になっても、次のデートに誘われることもなく、元同僚としての距離感を保ったままお開きとなった。

『少しでも期待した私がバカだった』と結論づけた頃、なんと2回目のデートに誘われたのだ。

指定されたのは隠れ家のようなビストロ。

隼人がこんなお店を知っていることに驚いたし、薄暗い店内でスマートに注文や会計をこなす隼人に思わずドキリとしてしまった。

帰り道、さりげなく手を握られたときから、次の“3回目のデート”にかなりの期待を寄せてしまったことは否めない。

そんなこんなで、3回目のデートを迎えるが、なんと1軒目でお開き。告白どころか、恋愛にまつわる話題すらでないまま3回目のデートが終了してしまう。

―もしかして、隼人ってただ女友達が欲しかっただけなの?別に私のこと、恋愛対象としては見ていない…?

そんな風に、悶々と考えているといつの間にか彼のことを想う時間が増えていった。そしていつしか『もしかして、彼のことすごく好きなのかもしれない』とすら思うようになった。。

隼人:気になってるイタリアンあるんだけど、来週どう?

それからも、隼人からのお誘いはあり、2週間に1回くらいのペースで会っていた。

ときには明らかにデート仕様のレストランに連れて行ってくれたこともあった。もちろんお会計は全部隼人持ち。

―これって、友達としての扱いじゃないよね?でも、付き合いたいとは思わないってこと?

こっちとしては早く進展させたいと思っているのに、何を考えているのかわからない隼人。


このままでは進展しないのでは、不安に思った真由子が考えた秘策とは?


元来、私は、白黒はっきりさせたい性格だ。

もし彼に恋愛感情がないのであれば、この曖昧な関係に見切りをつけて別の恋人を探したいと思っていた。

特に3回目のデートで何もなかったときは、これ以上彼と2人で会うのは時間の無駄だとすら思った。

それなのに、「もういいや」と思った頃にタイミングよく連絡がきて、ついついまた会ってしまう。会っている時間は楽しく過ぎていくから、また期待してしまう。でもそれ以上の進展がなく落ち込む。そんなループに入っていた。

だがある時、私は覚悟を決めた。

―隼人のタイミングを待とう。

彼から伝わってくる愛情、彼の性格を考慮して、私は彼のタイミングを大事にすることにしたのだ。1回1回のデートを大切に、はやる気持ちを抑え、彼と過ごす「今」を楽しむ事に集中する。

そんな日々を淡々と過ごしていたら、ついに8回目のデートで、彼が愛を告白してくれるに至ったのだ。

長い間待ったからこそ感じる、喜び。ようやく始まる2人の関係に、どうしようもなく胸が高鳴った。

新しい関係性にトキメキはあるものの、幾度となくデートを重ねてきたからだろうか、彼に対する信頼は厚くきっと隼人とは長く続きそうな予感がする。



―3回目のデート。

2回目でもなく、4回目でもない、3回目というこの数字に、私はなぜか妙なプレッシャーを感じていた。

ちょうどよいタイミングで始まる恋愛が健全な恋愛なのだと、そんな意味合いが込められているような気がしていたのだろう。

だけど、付き合うタイミングなんて人それぞれでしかるべき。1回目で付き合う人もいれば、長い時間をかけて始まる恋愛もあるかもしれない。

重要なのは、自分と相手の心地よいタイミング。それを見誤って、実るはずの恋をダメにしてしまっては勿体ないと思う。




隼人:「想いを伝えるまでの時間」


今思えば、初めて出会った頃から、僕は真由子のことが気になっていたのかもしれない。

だけど、いつもみんなの中心にいるような真由子と、僕は釣り合わないような気がしていた。自分の気持ちに蓋をすることで、傷つかないよう自分を守っていたのだろう。

しかし、真由子が転職して3年が経ったある日。

飲み会で久々に彼女と会ったとき、僕の気持ちに変化が訪れた。

仕事で大きなミスをしてしまったと落ち込んでいた彼女は、その場では懸命に明るくふるまおうとしていた。そうやって周りに気を使っている彼女の姿。そんな姿に惹かれたなんて言ったら、ありがち過ぎて笑われるだろうか。

だけど、それが実際だった。それ以来、彼女のことが気になるようになってしまったのだ。

そして、ありったけの共通の話題や最近の社内ゴシップをかき集めて挑んだ最初のデート。会話は盛り上がり、楽しそうに話す真由子を見て安心したし、この笑顔をずっとみていたいと思った。

―だけど、これは恋愛感情なのだろうか?そもそも、真由子は僕のことを恋愛対象としてみてくれるのだろうか?

真由子とのデートは順調に進んでいるのに、それを打ち消すような思いがふつふつと湧き上がり、そんな自分の気持ちと折り合いをつけるのに、時間を要してしまった。

彼女には待たせてしまって本当に申し訳なかったと思う。

だけど、毎回楽しい時間を過ごすうちに、彼女への、そして彼女からの愛情をしっかりと確認することができた。

そんな僕なりのタイミングを待ってくれた真由子を、これからは幸せにしていきたい。

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