シミ、シワ、たるみを防ぐ! 管理栄養士が教える、「アンチエイジング」に効果的な食べ物とは?

写真拡大

初対面の人に年齢より老けて見られて落ち込んだ経験はありませんか? 家に帰って鏡をじっと見てみると、シミと小ジワが増えている……。目の下のクマ、口元のたるみも目に見えて衰えを感じてがっくりくることも。肌は化粧品によるケアだけではなく、体の中から整えるべきだとよく耳にします。そこで、管理栄養士の西山和子さんに、アンチエイジングを意識した食事について詳しく聞いてみました。

■あなたの「食習慣による老化スピード」を計測

西山さんは、「アンチエイジングとは『老化の遅延』という意味ですが、若々しさを保つうえでもっとも重要なのは、体をつくる原料である毎日の食事だと考えています」と、食事の重要性を強調します。

ここで、まず西山さんに、「老化を進める食習慣」のチェックポイントを挙げてもらいました。次の10の項目のうち、「当てはまる」ものを数えましょう。

(1)朝食を食べないことが多い
(2)揚げ物やスナック菓子をよく食べる
(3)外食やファストフード中心で、偏食がちだ
(4)豆やいも、根菜類やナッツ類を食べることが少ない
(5)無理なダイエットを行うことがある
(6)野菜や果物はあまり食べない
(7)魚介類を好んで食べない
(8)早食い、ドカ食いをよくする
(9)きのこや海藻類をあまり食べない
(10)食事の時間が不規則になりやすい

<診断結果>

◎チェック項目が7個以上⇒老化のスピードが「早い」
肌や体に老化のサインが現れていませんか。すぐに自分の状態をチェックし、食習慣を改めましょう。

◎チェック項目が4〜6個⇒老化のスピードが「中」
食習慣が乱れがちで、放置すると老化が加速します。意識して食生活を整えるようにしましょう。

◎チェック項目が0〜3個⇒老化のスピードが「普通」
今のまま、規則正しい食生活を送りましょう。

いかがでしたか。現在の自分の食習慣を把握したところで、次に、具体的な食習慣について西山さんに教えてもらいましょう。

■細胞が正常に働くよう、必要な5つの栄養素を摂取する

ーー老化と食事には、どのような関係があるのですか?

西山さん 食べ物は胃や腸で消化吸収されて、体を動かすエネルギーになるだけでなく、骨や筋肉、血液、皮ふ、髪などの体の大部分をつくり、体調を整えます。

老化のサインは、皮ふの衰えと同様に、視力や聴力の低下、記憶力の低下、筋力の低下など、全身に現れます。このような加齢現象を少しでも遅らせるためには、体内の各器官の細胞が健康につくられて正常に働くよう、必要な栄養素をバランスよくとることが重要です。

ーーいつも健康でいれるように食事を意識する、ということですが、アンチエイジングに必要な栄養素を教えてください。

西山さん エネルギーや体をつくるもとになる三大栄養素の「糖質」、「脂質」、「タンパク質」と、体の調子を整える働きをする「ビタミン」、「ミネラル」です。これらのバランスのとれた食事が理想的です。

栄養バランスの整った食事とは、和定食のような「主食」、「主菜」、「副菜」がそろった食事をイメージしてください。

ごはんやパンなど穀類の「主食」を基本に、肉、魚、卵、大豆製品を使ったタンパク質源で、メインのおかずとなる「主菜」、野菜や海藻、きのこ類を使ったサイドメニューとなる「副菜」を組み合わせます。「副菜」では、ビタミンやミネラルをとることができます。また、乳製品や果物を食べることで、ビタミンやミネラルをさらに補います。

ーー偏食や過度のダイエットは老化のスピードを早めると言いますが、その理由は、必要な栄養素が摂取できないからでしょうか。

西山さん そうです。例えば、朝食を抜くと、体内に貯蔵しておくことができないアンチエイジングに有効な栄養素が昼食までの間に不足して、老化のスピードを遅めることができません。

また、あまりかまないで早食いやドカ食いをする、食べすぎもそうですが、これらはカロリー過多となり、細胞の老化が進みやすくなります。不規則な食事は、体内の消化リズムが乱れて代謝が低下するので、老化を促すことになるんです。

ーーアンチエイジングに必要な栄養素と、食習慣がわかりました。次に、毎日のメニューをどうすればいいのか、具体的に教えてもらいましょう。

アンチエイジングに働きかける食材

「食材を選ぶときは、次に挙げるものを意識してください」と西山さん。先ほどのお話しにあった栄養素ごとに、適切な食材を挙げてもらいました。

(1)タンパク質
皮ふや筋肉、臓器など体の大部分を構成する栄養素です。肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品に含まれています。なかでも魚介類は、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールを減らして血液をサラサラにするDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの不飽和脂肪酸を豊富に含むので、積極的にとりましょう。

タンパク質に加えて、皮ふ細胞の生まれ変わりを高める「ビタミンB群」を多く含む、豚肉や乳製品もすすんで摂取したい食材です。

(2)ビタミンE
抗酸化作用をもつビタミンの一つで、細胞の酸化を防いで老化を遅らせるとともに、血流を良くする、肌の生まれ変わりを活発にする、紫外線から肌を守るなどの働きがあります。カボチャ、アーモンドや落花生などのナッツ類、ウナギなどに多く含まれています。

(3) ポリフェノール
老化のもとといわれる活性酸素を取り除く作用があるので、アンチエイジングが期待できます。本来は、植物が自体を守るために光合成で作り出す色素や苦み、渋みの成分です。きのこ類や海藻類を含む植物性食品に含まれ、トマト、かんきつ類、大豆、春菊や緑茶、ナスやブドウのように、赤、黄、緑、紫など色の濃い野菜や果物に多く含まれています。

また、(1)〜(3)が豊富に含まれるゴマは、多くの料理に合いやすく、手軽に摂取できる食材です。

(4)ビタミンA
皮ふや粘膜の健康を維持して、免疫力を高めます。ビタミンAが不足すると、皮ふや粘膜が乾燥し、肌荒れや肌のかさつきが起こりやすくなります。ニンジン、ホウレン草、カボチャなどの緑黄色野菜やレバーに豊富に含まれています。

(5)ビタミンC
抗酸化作用があり、皮ふのハリや弾力のもととなるコラーゲンをつくるために不可欠な栄養素です。かんきつ類、トマトやキャベツ、ピーマンなどの野菜に豊富に含まれます。

■調理法をアレンジして緑黄色野菜を食べる

これまでに挙がった栄養素をふまえて、自分で簡単に作れる、あるいはコンビニやスーパーで買える総菜で、「複数の栄養素がとれる」というメニューを西山さんにピックアップして教えてもらいましょう。

・赤、緑、黄の3色ピーマンと豚肉をオリーブオイルで炒める「豚肉とパプリカの炒め物」

・手軽に多種の野菜がとれる「野菜ジュース」

・カボチャやトマトをプラスして、ナッツ類をさっとひと振りする「カラフル野菜サラダ」

・ホウレン草や春菊の「ゴマ和え」

食材やトッピングを組み合わせることで、多彩なメニューを味わうことができそうです。

■まとめ

三大栄養素プラス、ビタミンとミネラルのバランスが整った食事を心がけること、食事や運動の習慣を見直すこと。これで、年齢のせいだとあきらめることなく、体の中から若返りをはかることができるそうです。ぜひ参考にしてください。

(岩田なつき/ユンブル)

取材協力・監修 西山和子氏。糖尿病専門・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)にて管理栄養士、糖尿病療養指導士。糖尿病、生活習慣病、メタボリックシンドロームの患者さんを対象に、パーソナルな食事指導にあたる。『専門医が考えた 糖尿病に効く「腹やせ」レシピ』(福田正博 洋泉社)の監修担当。また、食生活に関する記事の執筆、監修多数。