“美魔女”“美熟女”たちとは違う「面白さ」で周囲の人を魅了する女性。前編に引き続き、そのひとりでもある著述家・湯山玲子さんに、私たちが目指したい「面白いオンナ」になるためのヒントを伺った。

>>【前編】“美魔女”はもう終わり! 湯山玲子さんに聞く「面白いオンナ」だけが人生のゴールを決められる理由

    悪口のセンスを身につけることも大切

――40代以降も見た目以外の実力の部分で活躍している女性を見ると、やはり内面が格段に輝いているように思います。そんな女性になるための、20代30代の頃から心がけたいコトはありますか?

湯山玲子さん(以下、湯山):一番気をつけたいのは、所属する集団のカラーに染まって、いわゆる思考停止の会社教にならないこと。仕事ばかりやって自分の時間が持てない。有給を使ってきちんと10日ほどの夏休みが取れるかというと、取れないという人が多いですよね。実はこれこそが、会社教になっている状態です。仕事のカバーは現実的に出来るにもかかわらず、空気のせいで休みが取れない。

確かに、日本の会社は会社教にならないと出世できない現実もあります。一生懸命働いて、2晩くらい徹夜してもいいと思います。ただ、会社だけに身を置かないこと。自分の時間の70%くらいを仕事に費やして、そのなかに余暇も入れる。そのなかで創り出す20%を使って、自分が楽しめて、かつ飯の種になりそうなことや、ボランティアなど人や社会と繋がりを持つことに使うクセをつけることで、結果、人生に大きな保険をかけていることになります。

あと、悪口のセンスを身につけることも大切ですね。「悪口をいう子はいけない」という子どもっぽい正論からの抑圧は、非常に陰湿な行動をうみ、それは結局自分に戻ってきてロクなことにならない。ただ、「誰々がムカツク」とか言うだけじゃなくて、感情に論理をつけるんです。これこれこういう理由で嫌いなんだよね、っていう。その時に聞いてる人が笑いながら「分かる分かる」という反応を見せたら、それがセンスある悪口です。これは、感情に紐づく言葉を操れる、創造的な作業なんですね。

    プロの意見を積極的に取り入れていく

――仕事で40代以降も活躍するためにはどういったことを意識すればいいでしょうか?

湯山:20代30代の頃は、とにかく「みんな一緒で安心安全」という学校的セオリーを捨てて、ピックアップされるという自立性を心がけること。つまり本来的な人脈をつかめるかどうか。中身だけではなく、工夫できるメイクやファッションなど全方向で努力してみる。例えば、私は今身につけているもの全てに、なぜそれを選んでいるのか理由が説明できます。簡単に言うと、その説明できる、というところこそが個性で、人の興味を惹くための仕掛け、と言ってもいい。

このセルフブランディングは自分だけの世界じゃなかなか難しいので、プロに預けてみてもいいですね。化粧品のお店でフルメイクしてもらうとか、ブランド店のセレクターに服を選んで貰うとか。お金がないなら買わなくてもいいんです。ただ、友達に意見を求めるのはやめましょう。「あなたらしい」「似合ってる」で終わってしまうから(笑)。プロの意見を積極的に取り入れていくことで、40代くらいにようやく自分の個性、輪郭がはっきりしてくるのではないでしょうか。

「40代からこそ、それまでの人生の歩みが大きくものをいう」と話す湯山さん。小手先のテクニックだけではなく、長いスパンで自分に磨きをかける努力が欠かせない「面白いオンナ」への道。一朝一夕ではないが、年を重ねても輝き続けられる一つのスタイルであることは間違いなさそうだ。

●湯山玲子さん
著述家。出版、広告の分野でクリエイティブ・ディレクター、プランナー、プロデューサーとして活動。同時に評論、エッセイストとしても著作活動を行う。現場主義をモットーに、クラブカルチャー、映画、音楽、食、ファッション等、文化全般を広くそしてディープに横断する独特の視点には、ファンが多い。 メディア、アート、表現文化ジャンルにおける、幅広いネットワークを生かして、近年は、PR、企業のコンサルティングも多く手がけている。著作に『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『クラブカルチャー!』(毎日新聞出版局)、『女装する女』(新潮新書)、『四十路越え!』(ワニブックス)など。自らが寿司を握るユニット「美人寿司」を主催し世界を回る。(有)ホウ71取締役。日本大学藝術学部文藝学科非常勤講師。『文化系女子という生き方~「ポスト恋愛時代宣言」!』では、腐女子とリア充の両立方法を説いている。

(末吉陽子)