「映画って何だろう。映画を紹介する仕事の意味って何だろう」。東日本大震災の直後、私はそう考えていた。多くの人が、自分の仕事の意義を、例え一瞬であっても見失いかけていた時期でもあったように思う。時に出会ったのが映画『127時間』だった。主人公は、“タフな気取り屋”のアーロン。楽天的な一面を持ちながらも、家族とも、友人とも、女性とも、深く関わらずに生きてきた。週末、彼は誰にも告げず、いつものようにたった