世界コンテストで日本のチーズが続々入賞!作り手のこだわりが詰まった個性豊かなチーズたちをご紹介♪
大人も子どもも大好きなチーズ! チーズの本場といえばヨーロッパを思い浮かべますが、じつは今、日本産チーズのおいしさが欧米でも注目を集めているんです。そこで、世界でもっとも権威のあるチーズコンテストのひとつ、「World Cheese Awards(ワールドチーズアワード)2023」の日本報告会に参加、激アツな日本チーズの現状をレポートします。入賞した個性的なチーズたちや、簡単でおいしいチーズの食べ方も紹介しますので、ぜひ最後まで読んでくださいね!
【画像で確認】「World Cheese Awards2023」で日本最高位のチーズ「アカショウビン」とは?
■世界ベスト100に日本のチーズ2品が選出!
まずは、10月にノルウェーで行われた「World Cheese Awards2023」について、NPO法人チーズプロフェッショナル協会会長・坂上あきさんから報告がありました。坂上さんはこの大会の審査員も務めています。
「World Cheese Awardsは、世界各国から多種多様なチーズが集まる、世界でもっとも権威のあるチーズ・コンペティションのひとつです。開催は今年で35回目となり、43カ国から4502品のチーズがエントリーされました。
日本のチーズは50品が出品され、そのなかから広島県の工房「三良坂フロマージュ」が出品した「アカショウビン」と、東京都の「CHEESE STAND」が出品した「TOKYO BROWN CHEESE」が、世界のベスト100となるスーパーゴールドを受賞しました」
このほかにも、日本からエントリーしたチーズは、ゴールドに1品、シルバーに11品、ブロンズに8品、計22品が入賞、という快挙を達成しています。
「日本のチーズは、海外から『丁寧にきれいにつくられている』と高評価を受けています。『きれい』とは『欠点が少ない』という意味です。その分、野性味や複雑さにやや欠けている、ということにもなりますが、私たちはこの『きれい』こそが日本チーズの個性だと思っています。雑味がなく、ミルクの鮮度を意識して『きれい』であることを、日本チーズの魅力としてアピールしていきたいのです。今後も、各地のチーズ工房の卓越した技術とオリジナリティを活かし、地域に根ざした、地域の人が惚れ込むチーズを生み出していけたら、と思います」
■入賞チーズは味も見た目も個性派ぞろい
それでは、「World Cheese Awards2023」に出品されたチーズをいくつかご紹介しましょう。
まずは、スーパーゴールドを受賞した「三良坂フロマージュ」の「アカショウビン」から。
アカショウビンとは、工房のある広島県三次市の森でよく見かける夏鳥の名前だそうです。「三良坂フロマージュ」は、山間で山羊と牛を60頭ほど放牧で飼う「山地(やまち)酪農」を行っています。牧草のみで育てた牛のミルク、その風味と濃厚さがいっぱいに詰まっているのが、受賞作の「アカショウビン」。表面を塩水で洗いながら熟成させたウォッシュタイプのチーズで、とろとろに柔らかいため、側面を地元産ヒノキのわっぱと紐で包んでいます。
ほんのりウッディなヒノキの香りがするのが特徴で、輝くようなつやがあり、口に含むと舌触りはまるでクリーム。ウォッシュタイプにしては匂いも強すぎず、マイルドなのに風味豊かで後味しっかりです。
工房代表の松原正典さんは、受賞に際して次のようにコメントしています。
「小さな町の小さな会社がつくったチーズがどこまで通用するのか、腕試しのような気持ちで出品しました。それが、日常的にチーズを食べる欧米で評価され、スーパーゴールドに選ばれたなんて、夢のようです。『アカショウビン』に使用したミルクは世界でもトップクラスと自負していますし、日本ではなじみ深いヒノキを取り入れた点もオリジナリティが出せたと思っています。今後も、地元の方にも海外の方にも楽しんでもらえるよう、今まで通りチーズづくりに励み、日本によりチーズ文化を根づかせたいです」
この報告会では、「World Cheese Awards2023」で入賞したチーズを中心に、たくさんのチーズを試食させていただきました。どれもおいしくて、おかわりしたいほど!
説明を聞きながら味わううち、チーズはつくられている土地に根ざした食べものであり、その味は土地の気候、風土によって生み出されているのだ、と実感しました。たとえば、あまりチーズのイメージがない埼玉県の工房「加藤牧場バッフィ」による「加藤牧場濃厚カマンベール」は、ミルクにクリームを加えて作られているから、非常に濃厚で洗練された味わいです。鹿児島の「Kotobuki cheese」が地元産の芋焼酎で洗いながら熟成させた「kanoyaウォッシュチーズ-芋焼酎」は、かすかに芋焼酎の香りが鼻に抜けるのがユニークでした。
味だけではなく、見た目がユニークなチーズが多かったのも印象的です。
ゴールドを受賞した「フィンランドの森」の「ブラウンチーズRuska」は茶色いチーズ。舌触りなめらかでキャラメルのような甘みがあり、デザートにもぴったりです。
先ほどご紹介した三良坂フロマージュでブロンズを獲得した「富士山・炭」は、まさに富士山の形。こちらはヤギのミルクでつくられているので、味わいに深みがあります。斜面の模様は木炭で描いているそうです。
丸太のような見た目、「チーズ工房タカラ」の「タカラのマルタ」も同じくブロンズを受賞。木炭粉をまぶして熟成させたチーズ。豊かな酸味と香りがあります。
もっとも個性的な見た目だったのが、「World Cheese Awards2023」に審査員としても参加した是本健介さんの工房「ボスケソ・チーズラボ」がつくる「KARAMATSU Mike」。別々の製法でつくった黒、オレンジ、白のチーズを合わせた三色模様は、三毛猫をイメージしているそうで、猫好きにの人にはたまらない! 複雑な風味なのに食べやすく、香ばしくて、美味でした。
■協会の坂上会長おすすめ!簡単おいしいチーズの食べ方
チーズプロフェッショナル協会の坂上会長によると、最近、海外のチーズ好きの間では、羊のチーズが注目されているとか。濃厚で甘みがあるので、おいしいと評判のようです。日本ではまだ珍しい羊のチーズ、ぜひ食べてみたいものですね。
「チーズ職人の工房でつくられるチーズは、多種多様。でも、どのチーズも、どんな食べ方をしても、何と合わせてもおいしいんです。溶かすと香りが立つので、加熱する料理はとくにおすすめ。私は、パンの上にいろいろなチーズを少量ずつのせて焼くチーズトーストをよく食べます。手軽だけど、それぞれのチーズの個性が際立ち、プチ贅沢気分が味わえるんですよ」
料理としては、チーズジャーマンポテトがイチオシだとか。じゃがいも、ソーセージ、玉ねぎを炒め、最後にチーズをどさっと投入。調味料はこしょうだけでOKという簡単さですが、箸が止らないおいしさだそうです。
チーズプロフェッショナル協会のサイトには、ほかにも、簡単につくれておいしいチーズレシピが満載です!
「World Cheese Awards2023」の詳細や、チーズの種類や楽しみ方といった基礎知識、チーズ工房の紹介なども掲載されているので、ぜひ一度のぞいてみてください。
さっそく出品チーズが食べてみたい!という方も多いと思いますが、今回ご紹介した工房のチーズは、専門店でもなかなか手に入らないのだそう。「Cheese Fun!」のサイトから各工房のHPに飛んで、お取り寄せするのがもっとも確実です。百貨店の催事や、ふるさと納税で入手できる場合もありますので、ぜひ探してみてくださいね!
文=高梨奈々