棚田の絶景が広がる! 星野リゾートの新温泉旅館「界 由布院」

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8月3日、星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド「界」の20施設目として、大分県に「界 由布院」が誕生しました。宿の中心にはなんと「棚田」が広がり、由布院の​​原風景を見ながら温泉を楽しめる施設です。

建物の建築・デザインを担当したのは国立競技場の設計にも参画した建築家・隈研吾さん。喧騒は一切なく、聞こえてくるのは自然の音だけーー予約が取りにくいほど人気の新施設に行ってきました!

■上質な農家を体験。隈研吾さん設計の「界 由布院」とは

「界 由布院」は美しい棚田を主役に「上質な農家風の奥座敷」をイメージしてデザインされた全45室の温泉旅館です。アクセスは由布院駅より車もしくは無料送迎バスで約10分。町から「こんなところに旅館があるの……?」と不安になりながらどんどん山をのぼっていくと、突如としておしゃれな旅館が現れます。

竹林で囲まれたエントランスを進み、大分県の特産品である竹をふんだんにあしらったアプローチから入り口へ。

中に入ると外観からは想像できなかった、チャコールグレーのシックなフロントロビーに到着します。パブリック棟や客室は農家の空間構成である「たたき」「板間」「座敷」をイメージしていて、フロントロビーは農家の玄関である「たたき」を表現した空間。そのためカウンターには土間を彷彿とする羽釜のオブジェが設置されています。面白い!

ロビーの隣は「板間」の空間である「トラベルライブラリー」。竹のフローリングが温かみを感じます。ここは24時間コーヒー、紅茶などが無料で飲める憩いの場です。

さらに進むと、目の前に現れたのは12段の棚田! ここは「座敷」を表した空間「棚田テラス」で、棚田を見ながらゆったり座れる椅子が用意されています。ちなみになぜ棚田なのかというと、実は約50年前から棚田の痕跡が残っていたことが理由。その文化を復活させ、農家の協力を得て本物のお米が育てられています。

■棚田ビューや露天風呂付きも。選べる客室

客室は6号棟まであり、棚田ビューの「和室」やワンちゃんと一緒に泊まれる「くぬぎ離れ 愛犬ルーム(露天風呂付き)」など、ニーズに合わせて選べます。「露天風呂付き和室」はくぬぎ林を目の前にくつろげる、プライベート感のある客室。約52平米、定員3人です。

界 由布院の客室はすべて地域の文化に触れるご当地部屋「蛍かごの間」。全室に蛍かごをイメージした照明が設置されています。夜になると天井や床に螺旋状の照明の影が映し出され、とってもきれいでした!

クヌギはしいたけ栽培にも使われている木で、大分では米作りとしいたけ栽培を兼業している農家が多く、棚田の近くにはクヌギ林が多く見られるそう! 開放的だけど、誰にも見られない空間で、温泉を独り占めできます。

界 由布院を象徴する客室が「棚田離れ」。棚田の左側にポツンと佇むこの建物、実は客室なんです……!

約53平米の広々とした空間は大分県日田地方の日田杉が敷かれた廊下を挟んでバスルームとリビング・ベッドルームに分かれています。大分県はマダケ竹材の生産量が日本一ということで、竹を使ったソファも印象的! 定員は3人です。

棚田離れ最大の魅力は「ピクチャーウィンドウ」! 大きな窓から、まるで絵画のような棚田の風景を見ることができます。縁側に座り棚田を眺めていると、トンボが稲の周りを軽やかに飛び、ショウリョウバッタがチキチキと鳴いていました。自然の中にお邪魔してる感覚で、心が癒されていきます。

さらに、棚田離れは露天風呂付きという贅沢。ゆっくりのんびり、おこもり温泉旅も叶います。

■泉質に合わせた効果的な入浴法を知る! 「温泉いろは」

隈研吾さんの設計にひとしきり感動したあとは、「温泉いろは」に参加(無料)。別府の奥座敷として栄えてきた由布院の歴史や、界 由布院の温泉の泉質に合わせた効果的な入浴方法を、紙芝居を使って教えてくれます。

泉質は単純温泉で、強い成分は入っていないため長湯も楽しめることが特徴! 化粧品にも多く用いられている保湿成分「メタケイ酸」も豊富で、しっとり肌に導いてくれます。ちなみに温泉いろはに参加すると、「界」の各施設でスタンプが押せる「お湯印帳(通常300円)」ももらえますよ!

■由布岳が見える露天風呂も! あつ湯は源泉掛け流し

温泉いろはで学んだ入浴法を実践すべく、大浴場へ! 内湯・露天風呂があり、内湯は約38度「ぬる湯」と約40〜41度の「あつ湯」。ほんのり緑がかっている「あつ湯」は源泉掛け流しです。

露天風呂は棚田をイメージしたデザインで、その先には「由布岳」が見える絶好のロケーション! 寝湯もあり、湯けむりが立ち込める中、温泉に身を任せる時間は至福の癒しです。

■山の恵みを洗練された料理で味わう。夕食タイム

夕食はパブリック棟の食事処で「季節の会席」もしくは特別会席「山のももんじ鍋会席」に舌鼓。会席は大分の名産「小鹿田焼(おんたやき)」に盛られた先付け「猪と椎茸の最中パテ」からはじまります。大分は椎茸産地としても有名で、猪のミンチ×プリッとした椎茸とサクサクの最中が絶妙な組み合わせ。かぼすドレッシングがかかった新鮮なクレソンと猪の生ハムサラダ仕立てとともに味わいました。

特別会席のメインは山のももんじ鍋。「ももんじ」とはジビエのことで、猪、鹿、穴熊、牛をすっぽんの出汁にくぐらせていただきます! 穴熊はぶどうやイチゴを食べるため「グルメなジビエ」として知られ、肉質や脂もほんのり甘いのが特徴。私は穴熊を食べたのは初めてで、野性味のある香りも含めてとてもおいしかったです。

■朝霧は秋〜冬の早朝が高確率。朝霧テラスで「棚田体操」

自然の中で目覚めた朝、「朝霧テラス」に向かい「棚田体操」から1日がはじまります(無料)。朝霧テラスは由布院の町を見渡せる展望スポットで、運がよければ由布院名物の朝霧を見ながらストレッチができます。「棚田で田植えスクワット」や「360度絶景ポーズ」などユニークな体操もあり、楽しく元気に体を動かせました。

■界で初めての「洋食」も選べる! 上質な農家のあさごはん

お腹も空いたところで、食事処へ。半個室もしくは棚田が見えるカウンターで食事ができます。あさごはんは和食もしくは洋食が選択可能。洋食が選べるのは、「界」ではじめてのことです!

和食は大豆の香りが広がる自家製豆腐や大分県の郷土料理「だんご汁」など朝の身体に優しいメニュー。野菜を焼いて味わう「炭火焼き」は、由布院の野菜をじっくり味わってもらえるようにという想いが込められています。

■わらで綯う、自分だけのお守り

滞在の最後に、ご当地楽「原風景を感じる、わら綯い(ない)体験」に参加(予約制、現地で受付)。トラベルライブラリーで実施している無料のアクティビティで、わらを綯って自分だけのお守りを作っていきます。縄は両手を使って綯うため「祈りの形」と言われており、自分の好きな水引を選んで完成。古来から続く信仰と自然に触れ、昔の日本へとタイムスリップしたかのような体験ができますよ。

都会では考えられないような由布院の原風景を目の前に、癒しの時を過ごせる「界 由布院」。料金は1泊1人35,000円〜(2人1室利用時あたり、夕朝食付き)です。大分の海の魅力を楽しめる「界 別府」と合わせて訪れるのもおすすめ。新しい星野リゾートの温泉旅館、大注目ですよ!

■界 由布院

住所:大分県由布市湯布院町川上398

HP:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiyufuin/

(撮影・取材・文:小浜みゆ)