クレジットカードやポイントカードはたくさんあって大変。そんな場合に便利なのがさまざまな機能が一体型になったクレジットカードです。

たとえば、ビックカメラSuicaカード。これ1枚でビックカメラのポイントカードとクレジット機能のビューカード、さらに電子マネーのSuicaの利用が可能です。楽天カードも同様です。ポイントカード機能の楽天ポイントカード、クレジット機能の楽天カード、電子マネーの楽天Edyが搭載されています。イオンカードセレクトの場合は、イオン銀行のキャッシュカード、クレジット機能のイオンカード、電子マネーのWAONですね。

このように多機能なカードは便利ですが、これらのカードが牙をむくのがクレジットカードの更新時期です。

実は、このコラムを書くきっかけは、友人からの相談でした。

「ビックカメラSuicaカードの新しいカードが送られてきたので古いカードにハサミを入れて破棄したんだけど、Suica残高が消えているんだよね。なんで?」

これ、よくあることですが、だめなパターンです。理由は、電子マネーはそのカードにチャージされているもので、クレジットカードの更新時に電子マネーは他のカードに移行されません。

つまり、電子マネー一体型のクレジットカードを利用している場合、有効期限切れでクレジットカードの利用はできなくなりますが、電子マネーは残っているため、その電子マネーを使い切ってからハサミを入れる必要があるのです。

では、友人のSuica残高はどうすればいいのでしょう? Suica残高の復旧方法を解説します。

Suica一体型クレジットカードの場合

新しいカードも古いカードもそのままの状態で手元にある場合は、駅にある多機能券売機で操作します。「定期券」メニューをタップして、「発行替え」をタップ。「古いカードから新しいカードへ引継ぎ」を選択し、「旧カード」を挿入し、続いて「新カード」を挿入。これで新しいカードにSuicaが移行されます。Suica残高は新しいカードに移行されているため、古いカードはハサミを入れて処分します。

次に、移行作業をしないうちに勢い余って旧カードにハサミを入れてしまった場合。これもよくあるパターンですが、この場合はビューカード事務局にハサミを入れた状態のカードを送付します。残高確認後にビューカード利用代金の振替口座にSuica残金が返却されます。JR東日本エリア以外で駅の券売機などで操作できない場合でもこの方法は利用可能です。

詳しくはこちら:https://www.jreast.co.jp/card/guide/first.html

最後に、筆者の友人のパターンで、旧カードにハサミを入れてゴミ焼却炉に行ってしまった場合です。こうした際はビューカード事務局に電話しましょう。事情を説明すると、会員情報からSuica情報を確認して返金処理をしてくれます。

問答無用で返金不可の場合

Suica一体型クレジットカードの場合、申込時に名前や住所・電話番号などを書いているはずですので、本人特定ができるはずです。この場合は返金してくれますが、電子マネーによっては返金してくれないものもあります。

たとえば、楽天Edyの場合は、FAQに「現在ご利用中のカードに蓄積されている楽天Edy残高は必ず使い切ってから破棄してください。使い切る前に破棄されましてもご返金出来ません」と書かれています。これは、楽天カードの有効期限時のカード切り替えだけでなく、磁気不良でのカード再発行や、一般カードからゴールドカードに切り替えた場合などでも同じです。

基本的にどの電子マネー一体型クレジットカードの場合でも、「使い切ってからハサミを入れて」と書かれていますが、電子マネー残高を0円にするのは至難の業です。電子マネー一体型クレジットカードは便利な反面、更新手続きが大変ということもあるため、別々のカードを持つというのも手です。

たとえば、ビックカメラSuicaカードとは別に通常のSuicaカードを持ち、ビックカメラSuicaカードでオートチャージ設定するということもできます。また、セブンカード・プラスはnanaco一体型ではなく、nanaco紐付型にすれば、クレジットカード更新時に一体型のnanacoを使い切る必要はありません。

電子マネー機能が搭載されているクレジットカードが物理的に変わる場合の処理を覚えておきましょう。

菊地崇仁

ポイント交換案内サイト「ポイント探検倶楽部」を運営する株式会社ポイ探の代表取締役。さまざまなポイントやカード情報に精通し、テレビや雑誌等で活躍中。著書に『新かんたんポイント&カード生活』(自由国民社)等がある。