女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは、普通の毎日を送っていたのに、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちのエピソードです。

今回、お話を伺ったのは、無職の浦野瑞恵さん(仮名・35歳)。彼女は現在無職で、先月の月収は10万円。しかし、その肩書きはハデで、パーティーオーガナイザー、御縁コネクター、スピリチュアルアドバイザーなど多数あります。

その肩書き通り、見た目はとてもハデ。ぱっちりしたアーモンド形の目の瞳は黒目がハッキリしていて、まつ毛エクステをしています。ネイルは取材時のシーズンにふさわしくクリスマスカラー。プロが時間をかけて行なったことがすぐわかるジェル爪です。ヘアスタイルはかなり明るい栗色で、毛先を巻いていましたが、かなり傷んでいることが、喫茶店の暗い照明でもわかります。

ファッションは、白のビジュー付きのニットワンピースに、ベージュのロングブーツ、バッグはフランスブランドの家紋柄の黒のマルチモノグラムです。エビちゃんOLが大人気で、キャバ嬢向けの雑誌がバカ売れしていた10年前の東京に“いたいたこういう人”と思わせる容姿をしています。

瑞恵さんは現在35歳ですが、大学を卒業してから一度も就職したことがないといいます。実家について伺うと、新潟県で飲食店をチェーン展開しており、東日本大震災以降、両親の経済状況は明るくなく、現在は絶縁状態。そもそも、大学を卒業してから何をしていたのでしょうか。

「雑誌の読者モデル、テレビ番組のアシスタントなど、タレント的な活動をしていました。1回番組に出ると3〜5万円、雑誌だと5000円〜1万円もらって生活していました」

最終学歴は、都会的で洗練されている人が多いことでも知られている、都心にある私立大学。

「田舎で我慢して、やっとの思いで大学に出てきたので、イケてる子と友だちになりたくて。でも、仲良くなると、みんな小学校からの持ち上がり。チームができているんですよね。しかも、親子2代、3代とその学校に行っている人が多く、私みたいに大学から入った人は、外部の人。それでも、みんな育ちがよくて優しいから、オープンに付き合ってくれましたけれど、“あなたは格下”というオーラを感じてしまい、コンプレックスに悩まされました」

都会の“いい家”育ちの人々が、悪意なく他人と線引きしているラインは超えられない

大人になるとどうでもいいことですけれど、当時は彼女たちを見返したい一心で、友だちになっていた、と瑞恵さんは続けます。

「彼女たちが持っている“血統書”のようなものを、なんとか自分も欲しいと思いました。当時はファション雑誌に載ることが超ステイタスで、かわいい子はみんな雑誌に載っていた。そこで私も読者モデルに応募して、編集部から電話がかかってきて撮影に呼んでもらえるようになったんです」

応募シートは7万円かけて、プロカメラマンに撮影してもらったそうです。

「採用されるためには、スタイル良くておしゃれでかわいくないとダメだと聞いていたので、専門のカメラマンに撮影してもらいました。当時は今みたいにネットがなかったので、タレントの事務所に何度も電話して、オーディションカメラマンを教えてもらったんです。ヘアサロンに行って、2万円かけてヘアメイクして、3万円の白のノースリワンピースを買って、カメラマンに2万円払いました。7万円は大学生にとっては大金ですよね。作ったばっかりのクレジットカードって便利だな〜と思いました」

カメラマンの謝礼が当時の相場に比べて安いことが気になります……。

「あ……撮影の時、けっこうキワドイ作品のモデルになるという条件で、通常10万円のところ、2万円にしてもらったんです。水着とかバニーガールとか撮りました。女性のアシスタントの人もいたから、ひどいことはされませんでしたし、男性から“きれいだよ”と言われながら写真を撮られることの快感にハマりましたね。でも、アシスタントの人が私をバカにするような視線は今でも覚えています」

貧困女子が主食にしているのは、パンかパスタ、うどんなどが多い。お米はそのものが高い上に、調理に光熱費がかかり、おかずも必要という高級品。

 

就職をせずに、華やかな肩書きで25歳の年収が800万円! その後月収0円になる大転落とは!?〜その2〜に続きます。