ルカ デンタルクリニックの小林瑠美院長

ジェーン・スー著『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』にて、“意外とお金がかかる老化ポイント”として挙げられている「歯」。何のケアもせずに放っておくと気づいたときには手遅れな上に、治療に高額な費用がかかる。

そこで、女性ならではの視点で歯にアプローチしている「ルカ デンタルクリニック」の小林瑠美院長に、アラサーだからこそ気をつけたいデンタルケアを聞いた。

女性ホルモンの変化で、口の中の状態も変わる

女性は一生の中で「思春期」「妊娠期」「授乳期」「更年期」「閉経後」と女性ホルモンのバランスがめまぐるしく変化。それは当然、口の中にも影響する。

「思春期には歯肉炎になりやすく、妊娠するとつわりで歯磨きが不規則になったり、子育ての疲れが歯茎に影響したり、更年期はカルシウム濃度が薄くなるので、入れ歯になりやすいなど、ライフステージに合わせて口の中の状態も変わります」(小林歯科医)

また生理周期に伴って1か月の短いスパンでも変化する。

「女性ホルモンが生理に向けて子宮を厚く成熟させるのと一緒で、同じ粘膜の歯茎も充血します。体も疲れやすいので、そこに菌が入り込むと歯周病のリスクが高まります。また口唇ヘルペスができやすい人は、歯茎にもヘルペスができることも。細かい変化を見逃さずに歯科に来てください」(小林歯科医)

歯周病菌が早産や低出生体重児の原因にも

女性の体が最も大きく変化する妊娠・出産は、歯への負担も大きい。妊娠期に気を付けたいことは?

「妊娠すると女性ホルモンが増加するので、妊娠性の歯肉炎になりやすい。そこから歯周病に感染して、出産を経て、育児疲れによって深刻化することも。妊娠中の治療は、初期と臨月は麻酔が使用できません。安定期では麻酔を用いての治療も可能ですが、抗生物質や痛み止めの強いものは使えないので、できれば妊娠前にケアしておきたいですね」(小林歯科医)

小林歯科医がおすすめするのは、婚活と同時に歯のケアを始めること。歯をクリーニングしておけば笑顔に自信もつくし、妊娠してあわてて歯医者に駆け込むということもない。

「子供は3歳までに虫歯に感染しないと、その後、虫歯になるリスクが低いというデータがあります。子供に感染させてないためにも、妊娠前から自分が虫歯型か歯周病型かタイプを知って、ケアしておくことが重要です」(小林歯科医)

現在、問題視されているのが、歯周病と早産や低出生体重児との関係。重度の歯周病を患っていると、その炎症物質が血液中に入り込み子宮を収縮させて、早産を引き起こすことがあるという。

歯周病は心筋梗塞や、脳梗塞、肺炎にもつながる。歯周病菌を減らすことによって、糖尿病が改善することもあるというから、たかが歯と侮るなかれ。

アラサー女性がするべきデンタルケア

大人の歯が生え揃い、それが虫歯になって治療するのが、およそ小学校高学年と言われている。その頃、金属を接着したセメントが劣化するのがちょうど30歳前後。

「30歳の記念に過去に治療した箇所は全部見直したほうが良いですね。セメントが劣化していて総取り替えというのもよくあります」(小林歯科医)

隙間から虫歯になるというものよくある話。治療した箇所のかみ合わせがおかしくなって、頭痛、肩こりの原因になることも。

「30歳をターニングポイントにして、肌に疲れが出ることがありますが、歯茎にも疲れが溜まったり、一気に無理がきかなくなります。30歳を越えたら歯茎ケアをしっかりしておかないと、更年期に総入れ歯になりかねません」(小林歯科医)

またPCを多く使う職業の女性は「歯列接触癖(TCH)」にも気を付けたい。

「通常、上の歯と下の歯は1.5mm〜4mm空いているのですが、PCなど集中して仕事をする方は、つい歯を食いしばってしまう。通常、歯が接触する時間は食事も含めて20分ほどなのですが、それ以上になると顎に負担がかかって、頭痛・肩こり・腰痛を引き起こすこともあります」(小林歯科医)

極楽! 歯茎マッサージで肌の透明感アップ

では歯と美容についてはどうだろう。歯が綺麗な女性はモテるというのは、言わずもがなだが、歯茎が若いと顔全体の印象がガラリと変わる。

「歯肉炎を患っている赤黒い歯茎が、健康で引き締まったピンク色の歯茎になるだけで顔の透明感がアップします。歯茎にもツボがあるので、マッサージすると血行が良くなりますし、歯肉炎の治りも早くなります。リラクゼーション効果もあるので、治療がすべて終わったらぜひ試してみてください」(小林歯科医)

忙しい生活の中でおろそかになりがちな歯。一度失ったら、取り返しがつかないばかりか、インプラントや入れ歯になったら、高額な費用がかかる。自分の歯で食べられる老後を目指して、今こそケアをしておきたい。

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(編集部)