「謝ればいいってもんじゃないよな……」

旅行会社、てるみくらぶが3月27日、破産申請を東京地裁に提出。大きな話題になっています。

日常、理不尽な状況に陥るたびに「とにかく謝れや!」と、もやもやしてばかりですが、久々に「こればっかりは頭を下げられてもどうにもこうにも、なぁ……」と思う事態です。

「正規料金を払わず、お金をケチろうとしたから、こういう事態に巻き込まれるんだ」という人もいますが、そうでしょうか。安くなる術があり、それが使えるなら、絶対そっちのほうがいいですよね。

「てるみくらぶがヤバいっぽい」という話は、2年くらい前から、ハワイで観光やアクティビティの手配に携わっている知人からチラホラ聞こえていました。

支払いが直前だったり、遅れたり、催促しないといつまでも振り込まれなかったりと言うことがたびたび起こり、「お客さんから現金払いされているはずなのに……」と不審がる人もいて。

でも、大方は、「あのやり手社長のことだから、なんとかするんでしょ」という、ハワイならではのアロハ発想で、私も「そういえば、そんなことを言っていた人がいたなー」と、この事態になってぼんやり思い出したような始末です。

てるみくらぶは、「格安」というか「激安」をウリにしていました。

ハワイにしても、「とにかく現地まで行けて、寝泊まるできる場所さえ確保できればいい」というバイタリティー溢れる若者に人気、というイメージがあります。

搭乗する飛行機も宿泊するホテルも渡航の3日前くらいまで情報をもらえない。「旅立つ前からスリルとサスペンスを提供してくれる旅行会社」、なんてことも笑い話のように語り継がれていた会社です。

「シャワーが壊れていて水しかでない」「天井に穴が開いていた」「ベランダが壊れていて、落ちると危ないから出ちゃダメだとホテルの人に言われた」なんてことも茶飯事。

ですが「別に、ホテルなんて寝るだけだからOK。それよりも、ショッピングやアクティビティーに予算を使いたい」という人には、渡航費と宿泊費はとにかく安いほうが嬉しいわけで、それを実現してくれるてるみくらぶは、一定層に信頼されていたんです。

色々とマイナスポイントはあるけれど、値段とのバランスを考慮して「OK!」と判断した上で、激安ツアーを利用しているのです。

まさか、「旅行代金はいただきましたが、手配はしていません」と言われるとは思わないでしょう。

旅行代金としてお金を預けた会社から「お金は返せません。そして、渡航をしないことを強くお勧めいたします」と言われても、それに謝罪の言葉がついたからといって「そうですか……」ってならないですよ。「もう、謝らなくていいから、お金返して」です。

詐欺は「騙す意志があったかどうか」で決まるので、てるみくらぶがやったことは詐欺ではないんでしょうが、騙された、という気持ちになります。
だって、こっちはお金を払っているのに、「お金がない」っておかしいじゃないですか。

こっちとしては、旅行会社で旅行手配を頼むとき、手配手数料を払っているという認識があります。
渡航先で自分たちが連れて行かれるお土産屋さんやホテルまでのバスの中で勧められる特産品など、提携店からのキックバックなどもあるんだろうな、とも思っています。
激安といえど、利益が出るから販売されていると思っているのです。

たとえば、てるみくらぶは、飛行機とホテルが選べない(ギリギリで空いて格安になったところに客をあてこむ)ほか、ネットからの予約で人件費を削減している、広告費をかけない、ホームページを充実させない(製作費の削減)、手数料がかかるクレジットカード払いは取り扱わないなどなど。一般人からしても「なるほど、そこを抑えたら販売価格は安くなるわな」と納得できる内容を掲げていました。安い理由に一縷の怪しさもないのです。

この状況で、客は、どこをどう気を付けたらよかったんでしょうか。やっぱり大手、老舗が安心、という人もいますけど、てるみくらぶだって創業20年。「実績がないから不安」っていうレベルの会社でもないでしょう。

何十万、百数十万っていうお金をてるみくらぶの運営資金に取られてしまった人が100億円分、8〜9万人くらいいるようだという現在。会社は倒産しても、てるみの社長は私よりずっといい暮らしを続けるんだろうなぁと思うと、これまたもやもやします。

飛行機とホテルは安くてけっこう。激安で海外旅行したいんです。「そんなときはどうすりゃいいのよ」をバックパッカーや旅行好きなど激安旅通に聞いた話はその2で。

 

「安いなりのリスク」の想定内に「お金払ったのに旅行できない」が入るなんて、ゆめゆめ思わないっすよ。