エイジングケアが台無しに!? 「老け見えにつながる」交感神経過緊張とは

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「いつもまでも若々しくいたい」というのは多くの女性の願望でしょう。だからこそ、美容・アンチエイジングの敵とされている“活性酸素”を取り除こうといろんな対処法を実践しているかもしれません。

しかし、次に紹介するような体のサインを見逃していたら、どんなに抗酸化力があるエイジングケアをしたとしても、努力が無駄になってる可能性が……。

そこで今回は薬剤師である筆者が、活性酸素を増やす原因となっている体の仕組みと、体のサインについてお伝えします。

■過剰な活性酸素の原因は「交感神経過緊張」

自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は“闘争と迷走の神経”といわれ活動に働き、副交感神経は“休息と落ち着きの神経”でリラックスに働くといわれています。

人間は、この2つの神経のバランスを保って生きています。しかし、身体的・精神的ストレスで交感神経が過緊張の状態になると、アドレナリンが過剰分泌されて、体が過剰反応を起こすようになってしまいます。

その反応の1つが活性酸素の過剰分泌です。このとき、同時に起こる可能性が高い体の反応を知ることで、交感神経過緊張をなくし、活性酸素の生成を緩和しましょう。

■交感神経過緊張のサイン4つ

(1)低体温

交感神経が過緊張するとアドレナリンの分泌が増え、血管の収縮が盛んになるため、血圧が上がります。そうすると次第に血液の循環が悪くなり、低体温になります。

(2)心拍数の増加

交感神経過緊張なると心拍数が過度に上昇します。心拍数の増加は、五感を鈍らせ、全身倦怠感、食欲不振だけにとどまらず、精神的な面でもイライラ、怒りっぽい、不眠症などの症状が起こりやすくなります。

(3)顆粒球の増加

交感神経過緊張は、免疫にも変化を起こします。白血球の仲間である顆粒球が増加し、活性酸素を発生させるのです。

通常であれば、細菌やウイルスなどの異物を感知して、体の防御反応に関わります。しかし、顆粒球が大量になると死滅するときに大量の活性酸素を発生させて血液がドロドロになり、低体温の原因になります。

また、しわやシミの皮膚の劣化や血管の老化、組織に傷をつけたり、過度なアレルギー・炎症反応の原因にもなります。

(4)排泄機能の低下

交感神経過緊張になると副交感神経に関係する体の働きが弱くなっていきます。

その代表例が、便秘による排泄障害、口の渇きによる唾液分泌低下、腎臓による尿の排泄も低下します。これによって、体内の毒素を排泄することができなくなり、免疫機能も低下し、がんや感染症になりやすくなります。

実は、トイレを我慢することでも、同様なことが起こっています。トイレに行って排泄することで、交感神経過緊張を緩めようとしているのです。特に女性はトイレを我慢する人が多いようですが、膀胱炎の原因にもなりますので、我慢しないでトイレに行くようにしましょう。

■見落としがちな「薬剤性ストレス」

薬の長期使用による副作用を含めた反応を“薬剤性ストレス”ということがあります。

特に高血圧薬、抗うつ薬、睡眠薬、睡眠導入剤、アレルギー薬、胃腸薬などは、交感神経過緊張状態になりやすくなります。

これを知らずに服薬を追加してしまうと余計に活性酸素を増やすことになります。薬の長期服用は体を老化させ、別の病を引き起こす可能性があることを知っておきましょう。

何かを取り入れて、活性酸素対策するのも大切です。しかし、このような体の反応の改善を無視していては、一向に良くなることはありません。

どんなことでも自分を客観視するのは、少し勇気がいるかもしれませんが無駄なお金をかけずに、それぞれに有効な対処法を選択するためにも体の声を聴いてあげましょう。あなたのために、体がサインを出してくれているのですから。

【筆者略歴】

宮本知明 ・・・ 薬剤師×植物療法士。病院薬剤師を経て「薬と共存しない生活」の念いからホリスティックな健康観と出逢う。現在は、統合医療の知識をもった「ホリスティックな健康観を持つ女性」を育成する活動をしている。

【画像】

※ Nikodash / shutterstock