しじみが効く!血をつくるのに不可欠なビタミンB12【栄養なび】
ビタミンは野菜から摂るものだ、と思っているあなた。
実は“ビタミンB群”は動物性食品に多く含まれているということをご存知ですか?
栄養学のプロである筆者が、さまざまな栄養素の具体的な働きと簡単レシピをご紹介する【栄養なび】第2弾。
今回はビタミンB12についてご紹介します!
■ビタミンB12はミネラルが含まれている!
ビタミンB12はミネラルの一種であるコバルトを含んでいる珍しいビタミン。
コバルトの影響で深紅の結晶になるため、“赤いビタミン”とも呼ばれています。
またビタミンB12は食べ物の中でタンパク質と結合しているという特徴を持っています。
1回の食事で約2μgのタンパク質しかビタミンB12と結合できず、それ以外は排泄されるため、タンパク質を過剰摂取する心配はありません。
成人女性の1日の摂取基準は2.4μg。極端な菜食主義の人は欠乏症に注意が必要です。
■ビタミンB12の働き
ビタミンB12の大きなはたらきは、赤血球中のヘモグロビンの合成に関与していること。
赤血球は120日ごとに新しく生まれ変わるのですが、ビタミンB12が不足しているとヘモグロビンが合成されないため、悪性貧血を起こすリスクが高まります。
また神経系の働きを正常に保つ作用もあり、神経障害やうつ病も欠乏症として挙げられています。
そのことから、ビタミンB12は睡眠障害、アルツハイマーなどの予防にも関係あるのではないかと注目を集めています。
女性の健康にとって嬉しい働きは、脂肪酸からのエネルギー生成にも関わっているので、ダイエット効果もあるということです。
■ビタミンB12を多く含む食品
ビタミンB12は熱には強いのですが、光に弱く空気に触れると酸化しやすい性質があるので、鮮度の良い食材を新鮮なうちに食す必要があります。
また水溶性ビタミンであるため、煮汁などに流出してしまうので汁ごと頂ける料理が適しています。
ビタミンB12を多く含むのは、レバーやタンなどの肉類、アサリやシジミ、牡蠣、いわしといった魚介類。
植物性の食品の中で唯一ビタミンB12を含む食品が海藻類。特に海苔には豊富に含まれています。
■ビタミンB12がしっかり摂れるレシピ
ビタミンB1を豊富に含むしじみと海苔を使ったパスタのレシピを紹介します。
●えのきとしじみとアスパラの和風ペペロンチーノ
材料(1人分)
スパゲティ 60g
えのき 50g
しじみ 100g
アスパラガス 2〜3本
刻みのり ひとつまみ
にんにく 1/2片
鷹の爪 1本
オリーブオイル 少々
酒 100cc
醤油 大さじ1
塩・コショウ 少々
作り方
(1)しじみは250ccの水に小さじ1杯半の塩を加えた塩水に漬け、暗い場所に3時間ほど放置して砂を出しておく。
(2)えのきは石附を落とし、アスパラガスは太い部分の硬い皮をむき食べやすい大きさに切る。
鷹の爪は輪切りに、にんにくはスライスにする。
(この間にお湯を沸かし、パスタを茹で始めて下さい。)
(3)鷹の爪、にんにく、オリーブオイルをフライパンに入れ加熱し、香りがたってきたらしじみと酒を加える。
(4)パスタが茹で上がる2分ほど前に、えのきとアスパラガスを投入。
1分ほど加熱したら、パスタとお玉1杯の茹で汁をフライパンに投入し、塩、こしょう、醤油を加え、パスタにしじみのうま味を十分吸わせたら器に盛り付けます。
(5)刻みのりをトッピングしてできあがり。
しじみのビタミンB12と鉄、アスパラガスの葉酸で造血作用がアップ!
えのきのビタミンB1で代謝のアップも見込めます。もちろんトッピングの刻みのりもビタミンB12がたっぷり。ペペロンチーノも仕上げの醤油で海苔と相性のいい和風に仕上がります。
なじみ深くはないですが、血液を作るはたらきを持つビタミンB12。欠乏症にならないよう、美味しく摂取したいですね。
【筆者略歴】
※ SAYURI・・・長年の医療業界での経験を生かし、健康管理士、食育インストラクター、心理カウンセラーとして執筆活動や講演活動をする傍らNPO法人予防医療推進協会の理事長も務める。
【画像】
※ chikaphotograph / PIXTA