main02

写真拡大 (全5枚)

ヨーロッパで高貴な貴族文化の象徴とされた”カメリアの花”

椿は、冬の真っ白な雪の中で真っ赤な花を咲かせる日本古来の伝統的な樹木。日本人女性にとって憧れの象徴だった豪華で艶やかさを称えた椿の花は、西洋名では「カメリア」の名で呼ばれ、ヨーロッパでも古くから王族や貴族の人々を魅了してきた。

1543年、日本に鉄砲が伝来した戦国時代、種子島に漂着したポルトガル人たちは椿の種を本国に持ち帰ったという。その椿の種から、西洋での椿にまつわる物語は始まる。椿はJaponeira(ジャポネイラ)=「日本から来たもの」というポルトガルの方言でも親しまれるようになり、ヨーロッパにおいて19世紀の流行の花となった。その後、舞踏会には欠かせない花として王侯貴族の高価なコレクションの対象にもなった。その後、椿の花は文人や芸術家たちにインスピレーションを与え、アレクサンドル・デュマの小説「椿姫」や、これを基に音楽家ヴェルディが作曲したオペラ「椿姫」など、さまざまな文学や芸術作品にも登場するようになる。世界へ渡った日本の椿の種から、後世に残る美しい数々の作品が誕生したのだ。そんなカメリアの花に魅せられたファッション界の女王と言えば、世界一のブランドとして名を馳せるシャネルの創立者であるココ・シャネルである。シャネルが生涯を通じて、最も愛したカメリアの花は、今もシャネルのロゴとして多くの人に愛される象徴としていまに息づいている。

椿の背景に広がる、自然を慈しむ心と文化。そして芸術。

ジャポネイラ「生の椿油」をつくっている株式会社椿の日原社長は、こうした文化的、芸術的な背景を持つ椿をこよなく慈しむ。それは単なるモノづくりという精神を超え、椿を取り囲む大島や、そこで暮らす人々、そして「生の椿油」を通して触れ合うすべての人々とのつながりが生み出す宇宙にまで広がる、大きな世界観に通じている。日原さんは「私たちは、椿や椿油にまつわる様々な文化を紹介することを通して、自然を慈しむ心や文化、芸術を愛して、農業を実践している私たちのことを知っていただきたい」と話す。


写真左から:椿の苗を育てるビニールハウス、希少な国産ヤブツバキの種。この種がかつてポルトガルへ渡った、椿の実 。この実を絞って椿オイルを抽出する

心を充たすことが求められている時代のものづくり

大自然のなかで、生活の糧として農業を実践することは第一。しかしそれだけではいけないと日原さんは言う。芸術、文化復興を担うことこそが組織のあるべき姿だと考えているからだそうだ。
世代を超えて愛されてきた日本人作家のひとりで、農業の実践と芸術・文化復興を標榜した人物がいた。遺作となった詩「雨ニモマケズ」や「銀河鉄道の夜」、「セロ弾きのゴーシュ」などの童話や小説、詩集をはじめ、自然をモチーフにそこで生きるものたちを独特の世界観で表現した宮沢賢治である。岩手県、花巻市に暮らし、37歳という若さで亡くなった宮沢賢治だが、後世に残る多くの作品を生み出し、自らは花巻農業高校の教師を務め、農家のために肥料設計書も残している。まさに、農業を実践し、芸術・文化復興と後人の育成に人生を捧げた作家だ。日原さんは、この宮沢賢治の精神を会社の根幹に据えた経営を行っているのだそうだ。きっかけは、宮沢賢治記念館を訪れたときに見つけた、チェロ奏者でもあった宮沢賢治が音楽仲間と一緒に弦楽四重奏を楽しみ、村人にも聞かせた際に使用したという譜面台だった…。

一台の譜面台が結びつけた宮沢賢治と大島の椿

もともとバイオリン奏者でもあった日原さんは、いたくこの譜面台が気に入った。そこで、この譜面台のレプリカを製作し、これを使って演奏活動をすることにより、大島と宮沢賢治をつなぐ橋渡しをしていくことにしたのだ。実際に7年ほど前から毎年大島では、オペラ「椿姫」の公演を開催している。今年は初めて野外公演を試みる。場所は、島で最も眺めが美しい椿花ガーデン(右写真上)の丘。ここにオペラの舞台を創設し、訪れる人々が無料で鑑賞できるオペラ「椿姫」の公演(右写真下)が行われる。まるで海と空の間に浮かんでいるような演出の舞台上で繰り広げられる「椿姫」は、観る人を日常から解放し、芸術に没頭できるかけがえのない時間を提供してくれるだろう。

そして秋には、宮沢賢治の故郷、岩手県の宮沢賢治記念館にて椿弦楽四重奏によるコンサートも開かれている。もちろん今年も開催される。椿にまつわる2つの公演を、ぜひ心待ちにしたい。




ジャポネイラ
>>椿のピュアなチカラが、すべての女性を輝かせる Japoneira BEAUTY PROJECT TOP
>>Vol.1 Brand History




■関連記事
甘く優しい香りで心と身体を整える ヒーリングソープ ガミラシークレット バニラ新登場
素髪を美しくするオーガニック・ヘアマスク カピフォースとは?
ミネラル+オーガニック植物エキス配合のナチュラグラッセのアイパレット登場
ジェーンの高機能ミネラルファンデーション&保湿乳液に待望の新色登場!
ランコムから次世代美容液 「ヴィジョネア」シリーズが登場! “自己浸透”するよう設計された分子「LR 2412」配合