八木勇征が憧れる人物とは?「相手を受け入れる懐の深い大人を目指したい」
FANTASTICSのボーカルとして存在感を示しつつ、俳優としての活躍も目覚ましい八木勇征さん。
この夏は、“男女逆転”が話題のテレビドラマ『南くんが恋人!?』の撮影に連日勤しんでいる。
そんな八木さんを労うべく、ラグジュアリーホテルのスイートにご招待。極上のチルアウトを体験してもらいながら、その素顔に迫った!
「ドラマを通じて、ひとり芝居の難しさを実感しています」
口を開けた瞬間の姿は絵になりにくいが、八木さんは例外である。ちなみに、この日撮影された写真は1,000カット超!それだけ被写体として魅力的なのだ
前回の取材(2024年2月号)から半年ほどしか経っていなかったのだが、この日の八木さんの表情はずいぶんと引き締まって見えた。
「1月期のドラマでヒロインのバディを務めましたし、来年公開の映画で単独主演することも決まりました。
それにいまは、名だたる役者の方々が大切に演じてきたキャラクターに扮している最中なので、なおさら気持ちが高まっているんだと思います」
そう。八木さんは、目下、テレビ朝日系の連続ドラマ『南くんが恋人!?』に出演している。
原作は1987年に刊行された内田春菊氏の漫画『南くんの恋人』。これまでに幾度となく映像化されてきた名作だが、令和初の本作は“男女逆転バージョン”で描かれる。
つまり、主人公・ちよみ(飯沼 愛さん)ではなく、八木さん演じる南くんが15cmの手のひらサイズになってしまう。そのシーンでは合成用のグリーンバックの前でひとり芝居が求められるわけだ。
「グリーンバックは、アー写の撮影で使ったことがありますが、それ以外では初。相手の顔や匂い、周りの景色も感じられない状況で芝居を成立させる難しさを感じているところです。
回を重ねるにつれて感情の表現がさらに求められていくことになると思いますが、その時こそ自分の妄想力が試されるのではないでしょうか(笑)」
新たな挑戦に奮い立つ八木勇征が語った“ホーム”のありがたみ
八木さんにとっての初の試みは他にもある。セリフの言い回しだ。
「岡田惠和さんの脚本には、僕が普段使わない言葉遣いが多く、どういうリズムや強弱で発したらきちんと伝わるのか折に触れて考えさせられます。
スタッフの方にもアドバイスいただいて気をつけているのは、まず、僕のセリフを受けたちよみちゃんがどう思うのかを想像する。それから声に出して読んでみる。
そんなことかと思われるかもしれませんが、面白いものでセリフの響き方が一変するんですよ。まさに目からうろこが落ちるような発見でした」
大理石のバスルームに鎮座する円形の浴槽を目にして「すげえ!」と歓声を上げたあと、カメラの前でアンニュイな表情を浮かべる。まさに変幻自在
聞けば、それまでは自分に振られた役を理解することに集中していた。
それはともすると自分を先行させることにもなりかねない。発想を変えて相手の気持ちを考えるようにすると、まったく別の視野が広がるという。
八木さんの声は熱を帯びていたが、確かな手応えを感じているのだろう。
忙しい時ほど人と会う時間を確保する。いまのようにドラマの撮影に入っている時は、FANTASTICSのメンバーとなるべく連絡を取るという。
「その作品の共演者の方々やスタッフさんとは毎日のように一緒にいる半面、グループのみんなと疎遠になりやすいのですが、集まるとホームだからこその安心感に包まれるし、思いがけない刺激を得られて疲れを忘れる。改めて前のめりにもなれます。
この感覚、グループだけで活動していたら気づけなかったんじゃないかな」
相手を受け入れる懐の深い大人を目指したい
新しい気づきによってしなやかさを得た八木さんは、アーティストとしても疾走し続ける。
ドラマの後は、“FANTASTIC 6”として舞台『BACK TO THE MEMORIES PART4』に出演する予定だ。
「着々とたくさんの人に見ていただく機会が増えてきましたが、だからこそおごることなく、地に足をつけて頑張りたいと思います」と意気込む。
では、八木さんが理想とする“大人像”とは?
「退廃的な雰囲気を出して」という、フォトグラファーの指示に応えた八木さん。精緻な職人技が光る美しい組子細工とのコラボレーションはアートのよう
「HIROさんです。相手を受け入れる器が人より百倍ぐらい大きい。
“EXILE TRIBE FAMILY”のように“ファミリー”という言葉を使うことからもわかるように、何百、何千という人たちを家族のように思い、丁寧に向き合おうとしてくれているんです」
そして、こう続けた。
「口ではリスペクトしていますと言いながら、そのすごさを100%分かっていなかった。
FANTASTICSのグループ内でもそうですし、ドラマの現場で年下の共演者やスタッフさんが増えてくるにつれて、大勢を束ねて率いていくHIROさんのすごみを再認識させられています。僕も近づきたい」
それを聞いて、インタビュー中盤における八木さんの話が思い出された。芝居における視点が自分だけでなく相手にも向けられるようになったというくだりだ。
彼も言っていたように、ほんの些細なことかもしれないが、それに気づいた人は強い。気づいて続けることは尊い。
目の前のことに追われていると疎かになりがちだが、その意味でも忙しい時ほど束の間でも休息を取り、リセットすることが必要なのかもしれない。
本誌の撮影に登場するたびに、大人の魅力を更新し続ける八木さんを前にしてしみじみと納得するのだった。
― Information ―
テレビ朝日系ドラマ『南くんが恋人!?』が好評放送中!
「バスケットボール界のスターだった南くんが、手のひらサイズになって自信を喪失していく様子を繊細に表現したい」と八木さん。
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00〜21:54。
■プロフィール
八木勇征 1997年生まれ、東京都出身。2017年の『VOCAL BATTLE AUDITION 5』に合格し、FANTASTICS入り。7月期ドラマ『南くんが恋人!?』に出演する他、9月から舞台『BACK TO THE MEMORIES PART4』も控える。
■衣装
シャツ¥36,300、パンツ¥36,300〈ともにラッド ミュージシャン/ラッドミュージシャン 原宿 TEL:03-3470-6760〉、その他スタイリスト私物
▶このほか:INIメンバー全員集結!レアな組み合わせにも注目の“ふたりだけ”&“3人だけ”のエピソード
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東京カレンダー最新号では、八木勇征さんのインタビュー全文をお読みいただけます。
東カレに語ってくれた、ドラマ撮影で多忙な日々の息抜きとは?
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