今週のテーマは「夜景が綺麗なレストランでデートをしてから、女の態度が急変した理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:「夜景の見えるレストランを予約したのに…」お台場デートの後、30歳女の態度が急変したワケ




― 早く帰りたい。

二度目の達也とのデート中。私はずっとそう思っていた。その理由は、登場した時から達也のある部分が気になって仕方なかったから。

彼に会ったとき、私は笑いそうになった。でも笑うのはさすがに失礼なので、極力私はそれらを見ないようにしてデートに挑んだ。

でも、限界はある。

2軒目に誘われたけれど、丁重にお断りして、私は早々に退散した。

絶滅危惧種だと思っていたある服装をしている男性。意外にも、いまだにこの東京にも存在していたらしい…。


A1:トンガリ靴が気になって仕方なかった。


達也とは、知人の紹介で出会った。「独身の経営者が友達にいる」という彼に、その人を紹介して欲しいとお願いしたのだ。

しかし食事会当日、間に入っていた知人が来られなくなり、急遽達也と2人で会うことになる。

「すみません、友人が来られなくなってしまったみたいで…」
「聞きました。こちらこそ、2人きりでも大丈夫でしたか?」

突然2人きりで緊張したけれど、達也はいろいろと話を振ってきてくれて、私は安心した。




「桃子さんは、ご出身はどちらなんですか?」
「私は横浜です。達也さんは?」
「僕は東京です。といっても、かなり端っこのほうですが…立川ってわかります?」
「もちろんですよ!」

― いい人そうだな…。

緊張も解け、いつの間にかお互い敬語も抜けている。

「え〜達也さん、広尾に住んでるの?広尾っていい場所だよね。いつか住んでみたい!」
「そうなんだよね。広尾って閑静な住宅街だから、すごく住みやすくて。『明治屋』とか高級スーパーも多いし」
「広尾に住んでいるってセンスいいよね」

広尾といえば有名高級低層マンションの宝庫だ。そのエリアを選ぶことはセンスが良いし、「どこのレジデンスかな?」と勝手に想像してしまう。

しかし、次の言葉に私は一瞬「ん?」となった。

「でしょ?ちなみに、センスってお金で買えないからすごく大事にしていて」

そう言う達也の足元に視線を落とすと、まさかの“トンガリ靴”だ。




― こういう靴、いまだに履いている人がいるんだ…。

でも「センスは大事」らしい。そこに非常に矛盾を感じる。

しかも達也本人的には、自分はかなり“センスの良い、オシャレさん”らしい。

「たしかに、達也さんって洋服好きだよね?」
「うん、好きだね。でも桃子ちゃんもおしゃれだよね」

私自身、すごく洋服が好きというわけではないけれど、最低限のトレンドは押さえていると思う。

しかし一方で、達也は一昔前に流行った高級ブランドのバッグを大事そうに使っている。

決して、それが悪いわけではない。物を大事に使う人は素敵だ。

「桃子ちゃんって、普段洋服はどこで買っているの?」
「展示会に行くことも多いけど…達也さんは?」
「僕は海外で買うことが多いかな」
「へ〜すごい」

トンガリ靴くらい、目を瞑ろう。それに洋服は着替えられるし、大事なのは中身である。

「すごい楽しかった。桃子ちゃん、また誘ってもいい?」
「もちろん!」

だから二度目のデートの誘いにも、快く乗った。しかし二度目のデートで、そんな印象どころではなくなってしまうことになる…。


A2:登場した瞬間からダサ過ぎて帰りたくなった。


実は行く前から、私は二度目のデートへ行くかどうか迷っていた。

なぜなら、達也から指定してきたお店が、お台場にあるチェーン店だったから。

もちろん、お台場が悪いわけではない。

でもお台場へ行くには、電車でも少し時間がかかる。それに過去の男性たちは、お台場に行くとしても、ドライブがてらホテルのレストランへ行く…という感じだった。

だから、チェーン店で待ち合わせというデートに少し驚いたが、私は重い腰を上げて行くことにする。

お店に着くと、窓から見える夜景は確かに綺麗で、心が洗われた。

でも達也の服装を見た瞬間、私は恥ずかしくなり「知り合いに会う可能性が低いお台場で良かった…!!」と、心から思ってしまう。




今日の達也は、前回と同じ数年前に流行ったバッグに、同じアクセサリー。そしてカラーサングラスに白パンにトンガリ靴…と、本当に一緒にいるところを見られたくないレベルだったから。

― 白パン…なぜだ!?それをオシャレだと思っているのかな…。とにかく知り合いや友達、誰にも会いませんように…!!

今日のデートの私の願いは、ただそれだけとなった。

しかもダサい服装は、百歩譲って許せるとしよう。私がさらに無理だったのは、会話の中身までダサいことだった。

「桃子ちゃんって、本当に美人さんだよね」
「そんなそんな。達也さんも、イケメンじゃん」
「そうかな。学生時代はかなりモテたんだけどね〜」

― 本当に?

申し訳ないけれど、学生時代からモテているようなタイプには見えない。

「桃子ちゃんって食事好きだよね?」
「うん、大好きだよ」
「僕も美味しいレストランとか、すごく好きで。だからこういうお店に一緒に行ける人がいいなと思ってる」

美味しいお店が好きと豪語するならば、もう少しお店選びのセンスが必要だと思う。

それと同時に、私はある疑問を持ち始めた。

― 実はこの人、お金ない…?




なぜなら、達也が持っているブランド物はすべて古いし、最新の物ではない。もし本当にファッションが好きで、ハイブランドラバーならば、新しい物を持っているはず。

でも達也を見る限り、そんな雰囲気は感じられない。

「一緒にご飯を食べて、美味しいって思えるって大事だよね」
「桃子ちゃんと、すごく一緒。気が合うな〜」
「嬉しい」
「センスが良くて、食事もわかっていて…。桃子ちゃんみたいな子って、貴重だよね」

自分を大きく見せたいのか、やたら「センスが良くて、小金持ち」アピールをしてくる達也。

だから私は、なんとなく家を探ってみることにした。

「そうかな。ありがとう。ところで、達也さんの家って、どの辺りなの?」
「僕はね…渋谷橋に行った辺りかな」

渋谷橋は、広尾ではない。ほぼ恵比寿である。

「じゃあ達也さんの会社は、設立3年目なの?」
「うん。経営者っていろいろ大変でさ」
「そうだよね、すごいよね」

もはや、達也の言葉が一つも頭に入ってこない。「右から左」とは、まさにこのことだった。

きっと本人は気がついていないのだろう。

下手にブランド物を持つと、逆にダサく見えることを。

だったら潔く、全身プチプラとかのほうが断然良い。

無駄にブランド物に固執し、自分を大きく見せようとする男ほど、ダサい生き物はいない。

「達也くん、ありがとう。ご馳走さまでした」
「いえいえ。ここは僕が。一応、次に虎ノ門のバーを予約していて…」
「ごめん!明日朝が早くて。今日は帰ろうかな」
「え?そうなの?」

― とにかく一緒にいるところを見られたくないんです…。

そう思いながら、私はそそくさと帰ることにした。

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※公開4日後にプレミアム記事になります。

▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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女から総スカンを食らう男の言動