エズミ 2024年春夏コレクション、“マルセル・デュシャンの視点”で再考する既製服

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エズミ(EZUMi) 2024年春夏コレクションが発表された。

20世紀の芸術家 マルセル・デュシャンに着想

過去2シーズンに渡り、ブランドの方向性をよりエレガントかつモードなものへと進化させてきたエズミ。デザイナーの江角泰俊がロンドンで学んだ<ファッション×アート>の経験を融合させ、ブリティッシュな要素や歴史的な時代のインスピレーションを、現代的な視点で解釈するアプローチを続けている。

2024年春夏コレクションは、この洗練されたスタイルに反骨精神を融合させることで、これまでの既成概念を覆すような、新たなアプローチを試みる。着想源となったのは、20世紀初頭の芸術家 マルセル・デュシャンの精神と彼のダダイズム運動だ。

「Ready-made」シリーズの視点を反映

まず、コレクションに大きな影響をもたらしたのは、(男性用小便器をはじめとする)“既製品を芸術作品として再構築”した「Ready-made」シリーズ。物品の意味や機能を変容させるという、画期的なデュシャンの視点を、ファッションシーンの既製服に置き換えて洋服作りをスタートした。

見慣れたトレンチコートを、ウエストが覗くほどショート丈に大胆カットしたり、ワンピースとして再解釈したり。またエズミが得意とするテーラードジャケットは、ボレロのような軽やかな佇まいへとアップデートさせている。

さらにボリューミーなバルーンスリーブを持つブラウスも、今季ならでは。中でも目を惹いたのは、端正なシルエットのジャケットと組み合わせたレイヤードスタイルだ。一つのルックの中で、対比的なフォルムを組みあわせることで、そのシニカルな構造を強調しているかのよう。色味はあえて抑えて、洗練されたパステルカラーを共存させている。

“超繊細なズレ”を意味する「inframince」

日常では知覚できないほど“超繊細なズレ”を意味する、デュシャンの「inframince」という概念も、コレクションの要となる。例えば、メンズスーツの内ポケットを作る“台場仕立て”は、ボトムスの表地に。また本来後ろにあるはずの立体的なポケットは、パンツの前身頃へと移動させた。さらにジャケットのボタンは、斜めに走らせることで、服そのものが歪んだように見える、アーティスティックな仕掛けも施されている。

コラボレーションアイテムも

さらに今季は、帽子ブランド「メゾンドリリス(La Maison de Lyllis)」とコラボレーション。涼し気なナチュラル素材をベースに、エズミがエレガントな花のコサージュを加えた、上品な表情に仕上げている。


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