春先以降、自宅にこもりがちな生活が続いたせいで、気がついたら「顔がたるんで老けた感じがする」、そんな声を耳にするこのごろ。そこで、停滞した肌を健やかに整える、セルフケア法を美容家・小林ひろ美さんにうかがいました。

スプーンが美顔器に早変わり 押して、滑らせてすっきり小顔に!

どこの家庭にもある「スプーン」は、実は優れた美容ツール。曲線を利用して押したり、滑らせたり。簡単なマッサージで、リンパの巡りを促すことが可能なのです。

<使わなくなった表情筋に生き生き感を呼び戻す>

当たり前の日常が制限されていた春先の数カ月間は、「老化を加速させる要因で溢れていました」と話す、小林ひろ美さん。日々の会話がぐっと減り、表情筋を使わないこと、そして運動不足によって血流やリンパの流れが滞り、老廃物が蓄積して、顔もたるみがちに……。

「人は本来、活動することで代謝が促され、他者とコミュニケーションすることで表情美が生まれます。おこもり期間に停滞した肌と心を、いますぐセルフケアで巡らせましょう」

小林さんが推奨するのは、どこの家庭にもあるスプーンを使ったマッサージ。力を入れず、叩く、ほぐす、巡らせるといったプロのタッチが簡単に叶います。ハリ感溢れる肌と、生き生きとした表情美を呼び覚ますために、ぜひ実践を。

<スプーンのここがすごい!>

叩く、流す、押す……1本でマルチに活躍!
スプーンの背で肌をパッティングしたり、肌の上を滑らせてリンパを流したり、押してほぐすなど、1本でいろいろなマッサージが可能です。

熱伝導率に優れているから、「温冷ケア」が簡単に
金属製で熱伝導率に優れたスプーンは、肌に触れると温まり、氷水につけると瞬時に冷えます。交互に使う「温冷ケア」は血流促進効果大。

気持ちいい!
力の強弱がつけやすく、エステティシャンのようなタッチが簡単に再現可能。ただし、やり過ぎはNG。次にご紹介するマッサージはそれぞれ一連の流れを3分以内で終わらせましょう。

<使用するのはディナースプーンがベスト>

背のカーブがなだらかなディナースプーンは、どんな顔立ちにも使いやすい万人向け。しっくりこなかった場合、丸顔の方は丸くて背のカーブが深いもの、面長の方はしずく形など、顔の形にフィットしやすいものを選んで。

基本のマッサージはこの3カ所だけでOK

老廃物が蓄積した顔を引き締める重要なポイントが「こめかみ」「頰」「そしゃく筋」です。まずはこの3カ所を1カ所につき6〜10回程度、左右ともにほぐしてあげましょう。これだけで表情のこわばりがゆるみ、肌本来の弾力感が復活します。力加減は「イタ気持ちいい」くらいがベスト。赤みが出たら中断しましょう。

<スプーンの持ち方>

腹の部分に親指を当て、それ以外の4本の指で柄をしっかり握ります。肌に当てるのはスプーンの背の部分です。

1. こめかみ

生え際までしっかりほぐすのがコツ
柄の部分を上に向け、背をこめかみに当てます。親指でスプーンの腹を押さえたら、「の」の字を描くようにほぐします。生え際に向けて少しずつ位置を移動させながらほぐすことで、頰が引き上がってシャープな印象に。

2. 頰

頰の高い位置は生き生きとした表情の要
笑ったとき、頰がいちばん盛り上がる位置にスプーンの背を当てます。斜め45度上方向に引き上げるような気持ちで、「の」の字を描くマッサージを。下がり気味の頰を引き締め、ハリ感のある凜とした表情へと導きます。

3. そしゃく筋

たるみが気になる口元にもハリ感が!
口を開けたときにカクカク動く関節部分は、緊張やストレスでこわばりやすい筋肉。スプーンの背を当て、そのまま「の」の字を描くようにほぐします。耳たぶの後ろのくぼみに向かって老廃物を流したらフィニッシュ。

マッサージの前にオイルやクリームでスプーンの滑りをサポート

スプーンが肌の上をなめらかに滑るように、マッサージ前にはオイルやクリームの使用がおすすめです。マッサージとの相乗効果で、内側からもハリ感をサポートしてくれるはず。

ひんやりした感触がマッサージに最適

厳選した植物オイルで皮脂を再現した、軽やかなジェルオイル。

セブンフロー ハーブサーキュレイトオイル サマージェル 200g \8,500/美・ファイン研究所

潤いに包まれて、肌も心もリラックス

潤いをたっぷり抱え込んだ指滑りのいいマッサージクリーム。ガーデニアの香りにホッと安らぐ効果も。

TK マッサージクリーム 80g \3,000/メナード

和漢植物の恵みで肌の透明感をアップ

和漢植物の恵みを肌に届け、本来の透明感を呼び覚まします。

雪肌精 MYV フェイシャル マッサージ クリーム 100g \7,000(編集部調べ)/コーセー「引き締め」をよりスピーディに実感! プラスαの簡単テクニック

基本のマッサージにプラスすることで、肌の変化がより実感しやすい、簡単なテクニックをご紹介。「デコルテ」や「頭皮」の巡りを促すことで、パッと明るく引き締まった肌印象が手に入ります。

<顔まわりの老廃物を流し、すっきり感アップ>

フェイスラインから耳たぶの後ろのくぼみ、そして鎖骨へと「リンパの流れ」に沿ってスプーンを滑らせ、顔まわりの老廃物を流していきましょう。

1. フェイスラインに沿って引き上げる

スプーンの背をあごの先に当て、フェイスラインに沿って耳下へと滑らせます。力を入れず、スプーンの背を肌に沿わせながら引き上げるのがポイント。

2. リンパの要所 耳たぶの後ろをプッシュ

耳下まできたらスプーンの背を肌に当てたままスプーンの腹を正面に向け、先端の部分で耳たぶの後ろにあるくぼみを3〜5秒、程よい力で刺激します。

3. 首筋から鎖骨へ流し老廃物を排出

スプーンの背を首筋に当てて、鎖骨に向けて下ろします。鎖骨の上で左右に軽く滑らせ、老廃物の排出を促します。反対側のフェイスラインも同様に。

<テコの原理でじんわり刺激 頭皮のシーソーマッサージ

ストレスを感じるとコリやすい頭皮。テコの原理を用いたマッサージなら、力を入れなくても簡単に心地よく刺激できます。頭部の血流が高まると、肌印象もパッと明るく。

柄を上下して、頭皮を心地よく刺激
スプーンの背を頭皮に当て、上から手のひらで押さえます。ここを支点に、柄をシーソーのように上下させて、頭皮を刺激します。コリが気になる部分をまんべんなくほぐしていきましょう。

<毛穴の引き締めには温⇔冷ケアが効果的>

肌がたるむと毛穴も下に引っ張られ、悪目立ちしてきます。そんなときには、お風呂に入りながら温⇔冷ケアを。温スプーンで血流を促し、冷スプーンで引き締めましょう。

準備するのは氷水とスプーンだけ
最初に浴槽につけた温スプーンを10秒頰にぺったり当て、次に氷水につけた冷スプーンで3秒パッティング。温⇔冷を交互に3回繰り返したら、最後にもう一度温ケアを。

教えてくれたのは……

美容家・小林ひろ美さん

【Profile】
美・ファイン研究所主宰。スプーンマッサージを始め、簡単で効果的な美容法が多くの女性に支持され、雑誌を中心に活躍中。

撮影/花田 梢
イラスト/澤村花菜
文/宇野ナミコ
(素敵なあの人 2020年8月号)※ 画像・文章の無断転載はご遠慮くださいWEB編集/FASHION BOX