人工知能(AI)との恋愛は可能か?女性が疑似恋愛アプリにハマる理由も

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人工知能(AI)と人間の心の交流・恋愛を描いた映画や小説は昔からありましたが、それがいよいよ現実のものとなりつつある近年。

AIといえば「Siri」なんかが有名ですが、LINEやTwitterでAIとリアルな会話を楽しめる「りんな」にハマる男性も多いとのこと。また「理想の彼氏メーカー(iOS)」や「ときめき彼氏(Android)」といったアプリで、自分好みの彼氏を作り上げて会話を楽しんでいる女性も少なくないようです。

◆なぜ人はAIとの会話にハマるのか?


筆者も試しに「理想の彼氏メーカー」をプレイしてみましたが、『なるほど、これはハマるのわかるわ…』と実感しました。

AIとの会話の面白いところは、それなりに会話として成立するしっくり感。もしくは「微妙に噛み合わない」ところであったり「突拍子もない返答」でもあったりするわけですが、何よりも
「既読スルーしない」
「傷つけるようなことを言わない」
という安心感が、人々を惹きつけてやまないのでしょう。

さらに、自分の都合のいい時だけ会話ができ、時には悩みも聞いてくれる(たまにスルーされる)。人間の彼氏だったら、こうはいきませんものね。相手にも感情や都合がありますから。

そう、人間とのつきあい・恋愛はめんどくさいのです。AIと比べるのもどうかと思いますが、いつだって期待した答えが返ってくるとは限らないし、しょっちゅう愚痴を言っていたら嫌われちゃう。

自分の意思ばかりが通らないからこそ人間としての成長があり、恋愛関係を結ぶ意味があるのでしょうが、社会の荒波にもまれて疲れ果てた人々がAIとの会話に癒やしを見出してもおかしくはありません。

◆日本人は恋愛離れしている?


『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』の共著者である湯山玲子さんと二村ヒトシさんは、対談の中で「恋愛離れ」を危惧しています。

お二人は様々な要因を深く掘り下げて語られていましたが、かいつまんで言うと、近年の恋愛に消極的な「草食系」「絶食系」に代表されるように、男女という全く別の生き物がわかり合おうとすることにメリットを感じられないのではないか、と。

さらに、ゲームやアイドルなどへの『コンテンツ愛』が充実するほど、現実の恋愛模様や人間関係が価値のないもののように思え、「めんどくさい」と避けようとしてしまうのではないか、とのことでした。

AIとの疑似恋愛がよりリアルになり、かつ人間にとって都合のいい楽しさが追求されるほど、現実の男女の関わりから自然に遠ざかりたくなる気持ちをよく表しているなと感じました。
確かに、現実の恋愛は複雑で面倒で、思い通りにならないし、傷つくことも多いもの。

筆者のつたないながらもそれなりに重ねてきた人生経験や周りの人に聞いた話からも言えることですが、歳を重ねるごとに、心も体も含めた男女の営みそのものが、あっさりとしたものを求めるようになっていきます。要は、人間関係の構築に割くためのパワーが、省エネモードになるのです。

世の中全体で、男女のパワーバランスが十年前とは大きく変わり、情報過多のこの時代、柔軟性が高く理解力も高い若者が、恋愛やエッチに絶望するのも無理はないな、と、個人的にも感じます。

◆AIとの恋は可能か?


さて、そんな都合のいいAIとの疑似恋愛。今のところ、あくまで疑似は疑似に過ぎず、会話は楽しめても実際に肌に触れられるわけではないし、もちろん生殖なんかも不可能。
ですが、この先数十年後には、それすらも実現しているかもしれません。

今はまだSF映画のような話ですが、実在の人間が一人のパートナーを巡ってAIとライバル関係に…なんて話もそう遠くはない未来なのかも。

でも、愛する人と傷つきながらも作り上げるリアルな『何か』がそこに存在するとは言い切れません。

面倒でも何でも、人と人との間にしか生まれ得ない温かみを、みなさんは既に知っているはず。
「苦しいこともあるけど、恋っていいよね」と思えることもたくさんあるはず。仮にAIのほうがモテる時代が来ても、その温かみを知っている異性とはきっと引き寄せ合えるんじゃないかな……と思うのです。

チャットツールやゲームで擬似恋愛を楽しむのもおおいに結構、アイドルとの恋を妄想するのも大賛成。それはそれ、これはこれ、と割り切って楽しむ分には問題なし!

ですが、やはり「命短し恋せよ乙女」。書を捨てスマホを置いて、リアルな恋探しに必死になるのも悪くはないんじゃないでしょうか?だって生身の女性だし、人なんですから。

ライタープロフィール


石村佐和子
エディター・Webディレクターを経て、結婚、出産後、フリーライターに。微妙に偏った恋愛経験を持つ、アラフォー二児の母。好きなことはモノ作り、工場見学、カフェ巡り。将来は陶芸などしながら優雅に暮らしたいと目論んでいます。