よく寝た、という日が少ない。食事がおいしく感じられない。気持ちよく笑ったり泣いたりできていない。そんな場合はプチうつの可能性が。

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うららかな季節だけど意外と多い春の体調不良。プチうつかなって思ったら、早めのケアを心がけて。

春は、気候だけでなく環境の変化もまた劇的。精神科専門医の郄橋理恵先生によれば、「卒業、入学、入社、それらに伴う引っ越しや、職場のメンバー替えなど、環境の変化によるストレスが大きくのしかかってくるのが、春というシーズン」

たとえ自ら望んだ変化だったとしても、環境が変わるという意味では、ストレスレベルは同じ。自分では気づかないうちに、うつに陥ってしまうこともあるという。

「4月頃までは、やるぞ! という気持ちが強く、たとえ環境に適応できなくても、まだ最初だからしょうがないと思いがちです。環境の変化で症状が出てくるのはもう少し後、5月頃になります。メンタル的に意欲の低下、さまざまなことに興味がなくなるという症状も見られますが、その前に不眠や食欲の低下、胃酸過多や便秘、自律神経に関わるカラダの症状が出てくることがほとんどです」

カラダにいろいろな症状がまず表れて病院へ。よくよく原因を探ってみたら、その背景にうつが隠れていたという“仮面うつ”と呼ばれる病気もある。

5月になって深刻な症状に陥る前に、まずできること。それは毎日の生活の中で、きちんと睡眠や食事がとれているか、感情を出す時間がとれているかを見直すこと。上の3つの条件を最近満たせていない場合は要注意。

「どれかひとつでも欠けていることに気づいたら、とにかく十分な睡眠をとって、頭とカラダを休めることが大事です。就寝前のスマホやPCなどはシャットアウトしましょう。それでも眠れなかったら危険信号です」

うつに陥りがちな人は、とかく真面目で頑張り屋さんの傾向がある。無理に頑張りすぎると症状は長引く一方。そうなる前に上手なセルフケアと専門医への相談を。

◇よく寝た、という日が少ない。食事がおいしく感じられない。気持ちよく笑ったり泣いたりできていない。そんな場合はプチうつの可能性が。

◇たかはし・りえ 大学病院やクリニックで精神科医、心療内科医として診療に携わり、2012年に「そらクリニック外苑前」院長に。女性医師による女性のためのメンタルケアに努める。

※『anan』2016年3月9日号より。イラスト・中根ゆたか 取材、文・石飛カノ 《anan編集部》