今回のビジネス女子マナーは、制作会社勤務の神保朋子さん(仮名・28歳)からの相談です。

「夏休みの海外旅行のお土産に、上司に、彼がいつもつけている香水を買ってきた人がいます。その上司はすごく喜んでいました。とはいえ、香水は5000円以上と高額です(海外なら安いのかもしれませんが…)。上司のお土産って、そのくらい高いものを買うべきなのでしょうか。私も9月にハワイに行く予定なので、何を買って帰ればいいのか悩んでしまっています」

人のお土産が高額だと、自分も同等のことをしなければいけない気がして困ってしまいますよね。でも、お土産にそんなに高いものを選ぶのはどうなんでしょうか。それに、香水って液体だから、持って帰ってくるのもスーツケースが重くなりますよね…。さて、どうする!? 鈴木真理子先生に聞いてみましょう。

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 相手に負担になるお土産はNG

プライベートで旅行をしたら必ず会社にお土産を買ってこなければいけない、ということはありません。だから、買わなくてもいいんですよ。ただ、個別に順番に夏休みを取っていく会社の場合、自分が休んでいる間に、ほかの方は仕事をしています。あなたの仕事をカバーしてもらうこともあるでしょう。そのお礼として、ちょっとしたお土産を買っていくのは、心配りとしてよい、という話なだけです。

また、もらった相手が負担になるようなお土産はよろしくありません。職場で一斉に配るなら、みんなに同じものがよいのでは? お菓子系だと食べてなくなるのでおすすめです。

特にお世話になっていて、個人的にお土産を渡す場合でも、他の方が見ていないところでこっそり渡すべきです。同僚女性が上司に香水を渡しているところを見てしまったから気になっている、というのであれば、その彼女のほうがマナー違反といえそうです。

私の感想ですが、上司に5,000円以上の香水は、ちょっと高いです。相談者の方の職場では、上司が喜んでいるようですが、これはレアケースだと思った方がいいでしょう。

一般的には、理由がわからず、困惑する上司のほうが多いですよ。コンプライアンスで中元・歳暮、さらには年賀状でさえ社員同士でやりとりするのは止めましょう、というご時世ですから。

また、みんなの前で渡すと、相談者の方のように、ほかの人が少なからず違和感を覚えることもありますね。自分と他人のお土産に差があると「なんで?」とあれこれ言われる原因になりかねません。もし、あなたが同様のことをすれば、「点数稼ぎ」とか「つきあってる」なんて言われることも考えられます。

どうしても上司だけに高価なものを渡したいときには、理由を言いながら、みんなのいないところで渡しましょう。「先日ごちそうになったお礼です」など明確な理由があれば、相手も受け取りやすいです。

また、堅実女子としては妻帯者の男性上司に、奥様への配慮も必要です。香水やネクタイよりも、家族で食べられる高級スイーツなどのほうが上司は家に持ち帰りやすいし、奥様も喜んでくれると思いますよ。

せっかくの旅行がお土産貧乏になるのはちょっとイヤよね…。



■賢人のまとめ
お土産は買わなくてもOK。買うなら、お菓子など、全員に同じものを。上司に個別に渡したいなら人のいないところで理由をはっきり言って渡します。それでも、ネクタイや香水など、妻のいる自宅に持って帰りにくいものは避けたほうがよいでしょう。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

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