お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、井川佳代子さん(仮名・アパレル勤務・27歳)からの質問です。

「夏のボーナスをあてにして買い物をしていたのですが、思ったより額が少なく……。最低でも、去年と同じくらい、勤続年数が1年上がったということで、それ以上はもらえるだろうと思っていました。だから、使い過ぎというわけではないと思うのです。こういう場合、どうしたらいいのでしょうか。また、お金を借りる場合、どこがベターでしょうか」

 森井じゅんさんに教えてもらいましょう。

☆☆☆

 ボーナスは出なくても従業員に請求権はない

前回、この連載でお話しましたが、ボーナスだけをあてにしてお金を使ってしまうのは大変危険です。

ボーナスが期待通りではなかった、もしくは全く出なかったというケースは少なくありません。そもそも、ボーナスとは、業績等に応じて与えられる特別手当です。もらうほうとしては、お給与と同様、当然支払われるものと考えてしまっている人も多いですが、給与と賞与(ボーナス)は基本的にその性質が異なります。

給与は勤務したことに対する対価・報酬であり、従業員は受け取る権利のあるものです。

一方、賞与は、会社の裁量で決められるもの。労働基準法などの法律に守られているものではありません。ですから、就業規則等に賞与規定が設けられている場合であっても、「従業員が当然の権利として請求できるもの」ではないのです。

支払い方法の変更に対応してくれるクレジットカード会社もあるが…

とはいえ、ボーナスの支給時期になって、業績悪化などを理由にボーナス大幅減額や不支給となって困ってしまう人が多いのも事実です。クレジットカードの支払いができなくなってしまった場合にはどうしたらよいでしょうか。

まずは、クレジットカード会社に連絡して相談しましょう。
分割払いやリボ払いなど、支払方法を変更してもらえる可能性もあります。しかし、対応してもらえるケースばかりではありません。過去に支払が遅れた・滞納があったなどの実績がある場合には、一括払いを求められる可能性が高いです。

クレジットカードの支払いができない場合には、カード会社から督促が来るだけでなく、滞納分の支払が行なわれるまでカードの利用ができなくなります。
そして滞納が続き、数か月以上たってしまうと、信用情報を管理している情報機関にその情報が登録されます。いわゆるブラックリストです。そして、その後も支払えない場合には、差し押さえ等の法的手続きが取られることがあります。

どうしても払えない状態になってしまった場合には、任意整理や自己破産などの債務整理を行なう事になります。債務整理等をせずに逃げ回っていても何の解決にもなりませんし、事態は悪化するだけです。
ちなみに、自己破産等の債務整理をした場合には、最低でも5年間はクレジットカードの利用はできなくなります。

 人から借金をする場合は「二度と借りない」という心構えで

上記のような事態を回避するため、なんとかお金を作って返済したいと考える人も多いでしょう。親や、親戚、そのほかの親族から借りる、という選択肢を検討する人もいるのでは。

正直に事情を話し、相談してみるのもひとつです。これまでの関係性によって、借りられるかどうかが違うでしょうから、どうなるかはわかりません。でも、借用書や返済の計画等をきちんと準備することで、貸してもらえる可能性はゼロでないかもしれません。

しかし、その後きちんと返済できなかったりした場合には、親戚関係にも影響することがあります。安易に借りるということだけは避けてください。期日を決めて必ずきちんと返済すること、もう同様のお願いは絶対にしないようにするなど、自分自身を変える覚悟で借りてください。

個人的には、彼氏や彼女、友人・知人に借りることはおすすめしません。貸してくれたとしても、その後の関係性はそれまでと同じようにはいきません。相手が経済状況の良さそうな人であっても、金の切れ目は縁の切れ目です。また、その人との関係を失うだけでなく、その人の周りの友人なども失う事になることを認識しましょう。もし借りる場合には、自分の人間関係をすべて失う覚悟で借りて下さい。

別のカードのキャッシング枠、銀行のカードローンという選択は〇か×か

別のクレジットカードのキャッシング枠を利用する、という方法もあります。他のクレジットカードからお金を引き出して、返済に充てるというものです。

これはカードが1枚しかなかったり、キャッシング枠がなければ使えません。

また、キャッシングは返済方法が一括払いに限定されていることがほとんどです。つまり、翌月には必ずお金が入ってくる状態で必ず返せることが分かっているものでない限り利用すべきでありません。返せない借金を増やすことになってしまっては、事態を悪化させるだけです。

銀行のカードローンを利用することも可能です。銀行からお金を借りるというと、住宅ローンなどを想像することが多いと思いますが、利用目的が限定されないカードローンというものもあります。

銀行のカードローンは、インターネットから申し込みができたりと便利で、最短でその日のうちに現金を借りる事もできます。ただし、必要書類も多く、審査基準も細かい。そのため、状況によっては利用が困難なケースもあります。また、便利なことで利用が広がっていますが、金利もしっかりとられる「借金」ですので利用する場合は慎重になる必要があります。

消費者金融、いわゆるサラ金もありますね。
銀行と比較した場合、審査基準がゆるく、早い。すぐにお金が必要な時には、いちばん便利と言えるかもしれません。しかし、消費者金融の金利は非常に高いですし、消費者金融から借りたことから、自己破産に至る人は後を絶ちません。

そう考えてみると、堅実女子のみなさんにベストな方法は、「単発の仕事などをして、その収入でお金を用意すること」です。仕事と両立することは大変かもしれません。ですが、他に問題を繰り延べず、後の人間関係にも問題を残さない唯一の方法とも言えます。

誰から借りたとしても、必ず返さなくてはいけません。そして、誰にであれ借金をしてしまった以上、利子も上乗せして返す必要があります。

入るあてのボーナスが入らなかったことで払えなくなってしまったということは、使える以上に使ってしまったという事です。使ってしまった程度に収入を得ない限り、解決はしません。収入を変えずに、今後の節約などで少しずつ埋め合わせる事もできるかもしれませんが、借りている状況では悠長なことを言っている余裕はありません。まず何らかの方法で追加収入を得て、借りたものを返済しましょう。

お金の借りグセは、最もつけちゃいけないクセのひとつだと思うの。



■賢人のまとめ
借り入れる方法はいくつかありますが、堅実女子のみなさんにベストな方法は、「単発の仕事などをして、その収入でお金を用意すること」です。他に問題を繰り延べず、後の人間関係にも問題を残さない、唯一の方法です。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。