『職場の人間関係 防災ガイド』(サンクチュアリ出版)藤本梨恵子 (著)
仕事は好きだけど、上司や同僚が苦手。いつだって、悩みは人間関係からはじまるもの。

◆心の防災方法、知っていますか

『職場の人間関係防災ガイド』(サンクチュアリ出版)は、人付き合いを円滑にするための簡単なテクニックが満載。クセの強い、めんどうくさい人の内面を知れば、ストレスゼロでうまくかわせることができるのです。

職場の人間関係は、あなたが望む、望まないに関わらず、集団としてまとめられてしまいます。もちろんいい出会いもありますが、心の災害ともいえる出会いも避けては通れません。

地震、火災、雷など、自然災害も事象によって防災術が異なるように、人間関係もまた同様。ピリピリ、ムカムカ、イライラ、感情の波に合わせた対処法を、本書からいくつかご紹介します。

◆ピリピリ災害=理由なきイジワル

なぜか特定の人に意地悪される、挨拶しても無視されてしまう、等々。身に覚えのないいやがらせをされた経験、ありませんか。

これは「受動攻撃」と呼ばれていて、「自分が感じている怒りや不満などを直接口に出さず、間接的にあなたにぶつける行為」のこと。この攻撃はおもに「無視・批判・妨害という3つの形」で行われます。

受動攻撃をする人の心は、実はとても臆病(おくびょう)。なぜなら「子どもの頃に、支配的で怖い親に直接反抗できず、受動攻撃で反発していたり、親から受動攻撃を受けていた場合が多い」というトラウマがあるからです。

内心ではうまくコミュニケーションをとろうとしているのに、ゆがんだ認知によって空回りしてしまうのかもしれません。

あなたに非はないので、まずは「気にしない」。相手への防災術は、「ネガティブな感情を吐き出させてあげる」。具体的には「愚痴や本音を話せる環境をつくる」です。

そもそも受動攻撃をしてくる人は、「察して!」と口に出さずに願っている不器用な人ばかり。不満が減れば受動攻撃はなくなりますし、受動攻撃の発端は過去の辛さだと理解するだけで、こちらの心も軽くなりませんか。

◆ムカムカ災害=余計なお節介

「あなたのためを思って言っているの」。目上の方や先輩の決まり文句。私のためというより、単なるお節介にしか思えませんよね。笑顔でかわしつつも、心の中はムカムカ。

そんなお節介な方は深層心理で、「自分には価値がない」と信じているそうです。だから「無意識にアドバイスをすることで、誰かの役に立ち、自分の価値を証明したい」という結論に達します。

一見、優位に立っているようで、実際にはあなたに対して遜(へりくだ)っているのです。誰かの役に立てば自分の価値を証明できるという、怯(おび)えた心や自信のなさが反転して、「あなたのため」という上から目線になってしまうのでしょう。

しかも、相手はアドバイスしやすい相手を選んでいます。標的にならないためには、「困ったり、弱ってるそぶりは見せないこと」。

それでも詮索されたら、「どうでもいい情報を話す」。あたりさわりのない明るい話をふるか、相手の興味をそそる話に切り替えるのが得策です。

アドバイスする隙をつくらないことと、相手の承認欲求を満たすこと。即座に対処して、ムカムカを発生させないようにしましょう。

◆イライラ災害=ノーと言えない人たち

お願いされると断れない、仕事を抱え込んでパンク寸前。いわゆる「ノーと言えない人」は、本人が気づかないうちにストレスを溜め込んでいます。

はたから見ても気の毒になってしまうのに、本人はSOSが出せません。

このタイプは「子どもらしく人に甘えることが許されなかった人」と本書。子どもの頃から親の介護や家事をするなど、親子逆転が起きていたのがおもな原因だと本書は説いています。