これでもかと嫁をイビリまくる毒義母に、ドケチで超自己中な夫…そのリアルすぎるストーリーが話題の「義母クエスト〜結婚したらいきなりラスボス戦でした〜」。毎日が発見ネットでの連載が2023年にコミカライズされるほど人気の同作は、SNSで「こんなお姑さんいるなんてビックリ」「漫画化でさらに義母と夫の酷さにリアル感が出てヤバイ」「先が気になって読み進めてしまった」などさまざまな感想が投稿されており、続編の刊行を期待する声も多い。

【本編を読む】「義母クエスト〜結婚したらいきなりラスボス戦でした〜」

実は、そんな人気作の内容はすべて、Ameba公式トップブロガー・かづ(@kadu0614)さんの実体験だというから驚きだ。今回は、壮絶な人生を生き抜いてきた原作者のかづさんと、迫力ある作画で本作の魅力をさらに引き出している、漫画担当の赤星たみこ(@tamikong)先生のお2人に話を伺った。

彼とアッシーやメッシーみたいな軽い気持ちで付き合っていたらとんでもないことに!?


2人の息子が独立し、現在は夫と猫と穏やかで満ち足りた生活を送る主婦・かづさん。だが、この幸せな生活を手に入れるまでには、壮絶な闘いの日々があったという。

看護学生だったかづさんは、病院実習中に出会った秋彦から好意を寄せられ、お付き合いすることに。しかし、彼が11歳年上ということもあり、かづさんとしては、当時流行っていた「アッシーやメッシーや貢(みつぐ)くんみたいな軽い気持ちで付き合っていた」という。だがなぜか突然、彼とは“結婚前提”のお付き合いに!!かづの身に一体何が!?

19歳のかづがデートをするようになったのは30歳の社会人!軽い付き合いのつもりが…!?


ひょんなことから秋彦が実家に!!でも、それだけでは終わらなくて…


ただ、あいさつに来ただけなのになぜか話は結婚の方向に!!


■かづさんと赤星先生に話を聞いた

コミック「義母クエスト〜結婚したらいきなりラスボス戦でした〜」の原作者であるかづさんと、漫画を担当した赤星たみこ先生の両者に、本作について話を聞いた。

――80年代の実際の出来事を描かれた「義母クエスト」ですが、今、読むと驚くことも多くあります。(時代背景など)「当時はこれが普通だった」「これは当時、あるあるだった」というエピソードがあれば教えてください。

【かづ】(本作中でも登場する)「アッシー、メッシー、貢くん」は、当時よくテレビや雑誌で見聞きしていましたね。私は当時も今もですが、美人でもないしスタイルがいいわけでもないうえに、しおらしいわけでもなかったんですが、人生のモテ期だったんでしょうか…ボーイフレンドは多かったんです。夜遅くなったときに車で迎えに来てくれて家まで送ってくれるだけの人や、ただご飯を食べに連れて行ってくれるだけの人に、アクセサリーをプレゼントしてくれる人が何人かいました。

ちなみに当時、友達と遊園地に行く約束をしたら彼(現夫)が車を出してくれて、友達みんなの分の入園料に乗り物券まで買ってくれました。荷物も全部持ってくれるし、「次何したい?」と逐一私を優先してくれて。今の夫とは別人でした(笑)。友達のなかにも「ご飯だけの人・遊びに行くだけの人」ってボーイフレンドがいる人もいました。当時は「(お金は)男が出す」のが普通でしたからね。令和では男女共に割り勘が普通になりつつあるようですが…。

【赤星たみこ】当時は「女はクリスマスケーキと同じ。24(歳)までに売れないとダメで、25(歳)過ぎると売れ残り」という考えがまことしやかに流布していました。まあ、それを言う側も冗談半分ではあったのですが、確かに最低でも20代のうちに結婚しないと焦る人が多かったです。結婚に関する焦りは、今よりも強かったと思います。

上司の言うことは絶対、新人が反論するのは許されないという時代の雰囲気もありました。親の言うことに反論しづらい、というのも(特に)地方ではよくあったことだと思います。女性はなんとなく我慢しないといけなかった時代で、(本作で描かれている)かづさんだけが我慢していたわけではなかったように思います。

――なるほど、当時は今とはやはり時代背景が違いますよね。ただ、時代が違うと言えども、どのエピソードも強烈すぎて、このなかのひとつでも私だったら耐えられないと思います。かづさんは、くじけそうになったとき、どのように乗り切っていたのでしょうか?

【かづ】私も当時は年齢的にも若輩者だったわけですが、どう考えても自分が間違っているとは思えなかったんです。けれども義母からは山盛りのダメ出しに人格否定の数々で、また夫も一貫して義母が正しいと言う。そうなるとだんだんと「自分がおかしいのか?」と思い始めちゃうんですね。いわゆる洗脳ですよ。

でも何をどう考えても、自分がおかしい理由が思いつかない。「私のおかしい所ってどこ?いやいや、おかしくない!」って感じで自問自答していたし、それより「義母のやってることの方がおかしいやろ!?」が勝っていたから、「来るなら来い!」的なところがありましたね。自己肯定感がすこぶる高いんです、私って。それにこんな非常識なことを言うわやるわの義母に、負けてたまるか!と思ったことが一番の原動力でした。

――そんなかづさんについて、赤星先生が「すごいな」と思われるところを教えてください。

【赤星たみこ】かづさんの合理的な考え方がすごい!と思います。とにかく、嫁いびりする義母とモラハラ夫という大きなストレスを抱えながら、「今どうやったら老後を幸せに生きられるか」ということを冷静に判断しているのです。20代で老後のことをきちんと考えている人だったんだ!すごい!!と。

私なんか80年代のバブルに浮かれていたし、実際、漫画家という職業は当時はかなりいい仕事でしたから、これがこのまま続くのだと思っていました。多少の挫折があったとしても、何とかなるはずだと思っていて、何の危機感も持っていませんでした。ところが、かづさんは冷静に老後を見据えていたのです。今、子どもがいる状態で離婚すると家賃や生活費は自分の稼ぎからどうなるか…いろいろ考えて、今は離婚しないほうがいいという判断をしたと聞きました。

 

また、何かつらいことがあっても明るく乗り越える気力がある、というのもかづさんの魅力だと思います。生きていく力、生活力が高い人…というのが、かづさんの印象です。

読めばタイトルに思わず納得してしまう「義母クエスト〜結婚したらいきなりラスボス戦でした〜」。どんな苦境にも立ち向かっていく、かづさんの行動力と人間力は、きっと令和の時代を生き抜く人たちの参考になるはず!!

取材協力・画像提供:かづ(@kadu0614) 赤星たみこ(@tamikong)