世界中の美容トレンドや情報を、いち早く手にすることができるSNS。しかし今SNSがきっかけとなって、美容整形を求める10代の若者が世界中で急増していると言われています。

10代の間で広がる美容整形

SNSでもよく見かける「美容整形」に関する動画の数々。これまではタブー視する風潮が強かったものの、近年はセレブやインフルエンサー、一般人が美容整形についてオープンに語ることも多くなってきています。

「2022 年に美容外科手術と非外科手術の合計件数が最も多かった国」ランキングには、1位にアメリカ合衆国、2位にブラジル、そして3位に日本がランクイン。<The Aesthetic Society>によると、2021年に美容整形手術の人気が急上昇し、顔に行われた施術数は55%増加したそう。

<Verywell Mind>は美容整形に対して、「フィジカルな変化を要するとしても、誰だって自分の姿に心地よさを感じられるべき」とコメント。

一方で、「とはいえ、ネット上における美容整形の過剰に広がりと、“完璧な人”があふれていることで、結果として美や自己愛に対する見方を歪めているのではないか」と問題視しています。

日本でも二重まぶたにする手術を行った当時15歳の少女は、Instagramで手術のことを知ったといいます。さらにイスラエルでも若者の間で美容整形が広がっており、専門家たちは「SNSによって増幅された“美に関する非現実的な社会的基準”」が起因だと考えていると報じらました。

SNSでの発信が悪影響になることも

多くの整形動画はビフォーアフターを紹介するように構成されており、一般のユーザーだけでなく、美容整形クリニックが発信しているコンテンツも多くあります。

日本や世界中で同様の動画がTikTokを中心に広がっており、「鼻整形」のコンテンツはトレンドにもなっているそう。TikTokはアルゴリズムによって「おすすめ」される仕様になっているため、動画の拡散力が高いという背景も。

10代のユーザーもいるなかで、美容整形の動画が簡単に見られるのは、若い世代に特に悪影響を与えるのではないかと議論されています。

TikTokでフォロワーの手術を発信している、アメリカ・マイアミを拠点とする形成外科医キム・パトリック・マレー医師によると、美容整形のカウンセリング数は増えていおり、そのなかには18歳未満の相談者もいるとのこと。

14歳の患者に手術を行ったこともあるマレー医師は、<Insider>の取材に対しこのように語りました。

「あの若さの患者への手術は、物議をかもすかもしれません。しかし若い頃に鼻の整形をすることは、これから成長するなかでより自分に対して自信をもって過ごせるようになるという利点があると思っています。それは、マイナス面をはるかに上回るものでしょう」

メンタルヘルス財団のディレクターであるアントニス・クソウリス医師は、未成年者に美容整形を勧めることは非常に大きな問題だと指摘します。

「動画が広告であろうが、医師がハッシュタグをつけた拡散しているものでろうが、このような動画が18歳未満の若者にリーチすることは全く容認できないですし、不適切だと考えています」

さらに、医師であれば自分のコンテンツを誰が見るかをもっと意識してほしいし、なぜ人々が手術を受けようとするのか、心理的な理由をもっと考えてほしいとも付け加えています。

また、ビフォーアフターばかりで、整形をすることのリスクや過程を知ることができないのもこの手の動画の問題点です。

最後に

美容整形によって自身の理想とする姿を手に入れ、自信を持つことができたという人も多いはず。実際にラッパーのカーディ・Bもコンプレックスを美容整形で解消し、自信が持てるようになったと語っています。

一方で、美容整形を後悔する人も少なくありません。モデルのベラ・ハディッドは14歳のときに鼻の整形をし、「今振り返れば、自分なら一緒に成長できたと思う」と後悔していることを打ち明けています。

ラッパーのニッキー・ミナージュは、整形前の自身の姿が好きではなかったものの、今ではその当時の姿に戻りたいと思っており、ポッドキャスト番組<