1時間座ると寿命が22分縮まる!? ダイエットだけじゃない“座りっぱなし”が招く様々なトラブルとは

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米国のニュース番組でセンセーショナルなリポートが放映されました。座ることがジムでの運動を帳消しにしてしまうほど健康に悪いというのです。

体も心も不調にする「VDT症候群」

■1日1時間座ると寿命が22分縮まる!?

New York Times Magazinesによると、12万3千人の米国人を対象とした調査で、一日中座り仕事に従事する人は、15年後の死亡率が40%増加するといいます。

近代化が進み、PCがビジネスに欠かせなくなった今、人々が座る時間はますます増えています。欧州糖尿病協会が発行する月刊の医学誌でも、現代社会の座って行うデスクワーク、つまり「座る」行為が、糖尿病や循環器疾患のリスク、さらに死亡率の増加に関わっていると報告しています。

痩せている人は、肥満の人よりも1日2.25時間多く動き回っているという報告もあります。つまり、座り続けないで歩き回ることで痩せる効果もあるということです。

■長時間のデスクワークで起こる病気とその症状は?

VDT症候群という病気を聞いたことがあるでしょうか。コンピュータのディスプレイなど表示機器(Visual Display Terminal:VDT)を使用した作業を長時間続けたために、目や体、心に支障をきたす病気のことです。
IT眼症とかテクノストレス眼症とも呼ばれ、現代病の一つと言えるでしょう。症状には以下のようなものが挙げられます。


1)目の症状……目が疲れる、眼の痛み、ドライアイ、充血、視力低下、目がかすむ、ぼやけて見えるなどの症状がみられます。

2)体の症状……首、腰、肩、腕の凝り、痛みなどが出ます。慢性化すると、背中の痛み、手指のしびれなどいろいろな症状に進展します。

3)心の症状……食欲減退、イライラ、不安感、抑うつ傾向などがみられます。

次に、肥満もデスクワークと大きく関係しています。座っていると筋肉内部の電気活動が低下し、代謝が劇的に悪くなります。また座っている間、脂肪を分解する酵素の働きが90%も低下するそうです。
その上、デスクワークの消費カロリーは1分あたりたった1kcalしかありません。成人女性の平均必要摂取カロリーはそれぞれ約1800kcalであることを考えても、6時間の事務作業ではたった360kcalしか消費できませんので、太りやすくなるのは間違いないでしょう。

さらに、2時間以上座っていると、善玉コレステロールの数が20%減少するという報告があります。善玉コレステロールの減少は動脈硬化を招き、脳梗塞などを引き起こしやすくなる原因になります。

他にも、長時間の座り作業後、血糖値を調整するインスリンの働きが24%弱まるということもあります。長時間の作業が慢性的に続く場合、常に血糖値が高くなり、糖尿病になる可能性が高まります。

また、一日5時間以内のデスクワークの人とそれ以上の人では、後者の方が2倍心筋梗塞になりやすいそうです。一日中座っている人とたばこを吸っている人でリスクが同じという研究結果もあります。乳癌、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌、肺癌も座ることによりリスクが高まるという報告があります。

これらの病気にはならなかったとしても、座っている時間が長いと血行が悪くなりむくみやすくなります。身体を温めると老けにくくなるといわれるほど、冷えは美容にも悪影響です。

■予防方法はとにかく立つ&歩くこと!?

座っている時間を分割するためになるべく立ち上がって動き回るといいでしょう。例えば可能であれば20分おきにPCの前から離れ、数分間歩きます。

最近、米国の専門家たちの中には「立ち会議」「立ちオフィスワーク」を提唱している人たちもいます。フェイスブックやグーグルの従業員ではスタンディングデスクを希望する人も多いようです。

電車やバスでもなるべく座らないようにして、1日の座る時間を減らしましょう。エレベーターのかわりに階段を使うのもいいでしょう。また、オフィスでの座り仕事は避けられないとしても、せめて家でテレビを見たり、ネットサーフィンをしたりする時間を短縮しましょう。

デスクワークをしているとどうしても猫背になりがちになり、姿勢が悪いとお腹まわりに肉がつきやすくなります。背筋を伸ばすだけでも、腹筋や腰回りに力が入り背中も緊張感のある状態になるので、次第に上半身はすっきりしてきます。

よい姿勢とは、腰の骨を立てて90度の角度で座り、膝、腕はそれぞれ90度前後で曲げます。また、顎を引いて正面にディスプレイが来るように、高さと角度を整えるとよいでしょう。