視覚障害者をサポートするために訓練された犬/公益財団法人関西盲導犬協会

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働く犬として身近に目にする機会が多いのが盲導犬。視覚障害者と共に行動し、安全な歩行をサポートする頼れる存在だ。「関西盲導犬協会」は、視覚障害者がいつでも行きたい場所に、安全に行ける社会の実現を目指し1980年に創立。質の高い盲導犬の育成と無償貸与、盲導犬訓練士および歩行指導員の養成などを行う。盲導犬の役割や訓練について聞いた。<※情報は関西ウォーカー(2018年1月5日発売号)より>

盲導犬の誘導訓練/公益財団法人関西盲導犬協会

ハーネスと呼ばれる白い胴輪を付け、視覚障害者が安全に歩行できるようサポートするために訓練された犬。

■ 大らかな性格も盲導犬の資質の一つ

盲導犬に求められるのは、人に役割を与えられることに喜びを感じられる性格。なかでもラブラドール・レトリーバーは、高い学習能力や人の歩行をサポートする運動能力など最適な資質を備えている。加えて、盲導犬は時と場合により「待つこと」も仕事。つねに緊張することなく、環境の変化にも動じない大らかな気質も大事な素養の一つだ。

誘導訓練では左に寄って歩く、段差と交差点を知らせる、障害物回避などの動作をマスター。

■ 子犬のころから始まる育成と訓練で一人前に

盲導犬は生後2か月でパピーウォーカーと呼ばれる飼育家庭に預けられ、1歳から協会の施設で本格的な訓練を受ける。2016年に新たな訓練施設「木香テラス」が完成。世界的にも先駆的でストレスフリーな育成環境として注目を集めている。訓練は、明るく楽しい雰囲気で行うことを心がけ、無理なく訓練に取り組める工夫がされている。

パピーウォーカーと過ごす時間は、将来、盲導犬になる子犬にとって欠かせない経験となる。

家庭の雰囲気に近い「木香テラス」で、犬たちは人との生活習慣を培いながら訓練を行う。

約1年の訓練を経て盲導犬になるのは約3割だが、ほかにも繁殖犬、協会PR犬などさまざまな場所で活躍する。視覚障害者にとって盲導犬は命綱だが、犬と一緒にいることで生活にリズムが生まれ、外出に積極的になるといった効果も。いわば人生を共に歩むパートナーでもあるのだ。

盲導犬は10歳で引退し、ボランティア宅で暮らす。

「視覚障害者と歩くことを想定して訓練することが重要」と訓練士の楠 紗代子さんは言う。

■公益財団法人関西盲導犬協会<住所:亀岡市曽我部町犬飼未ケ谷18-2 電話:0771-24-0323 時間:9:00〜18:00 ※毎月第3日曜に見学会あり(要予約) 休み:なし 駐車場:約20台(無料) 交通:JR亀岡駅よりタクシーで15分、京都縦貫道亀岡ICより車で10分>【関西ウォーカー編集部】(関西ウォーカー・編集部)