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東日本大震災からちょうど3ヶ月経った6月11日、東京・世田谷にあるアンティーク・ショップ、ザ・グローブで、第一回「キタコレ世音堂」が開催された。これは、世音堂の主催者である作家の柴崎竜人氏がクリーエーター仲間に呼びかけて開催したもの。3人の俳優たちによって朗読される物語は、3人の小説家たちがそれぞれ創作した短編作品。その元になっているのが3枚のお題写真。つまり、別々の人間が“(自宅から1分以内の場所にある)新しい世界”というテーマに沿って撮影した3枚の写真すべてをインスピレーション源として、3人の小説家がそれぞれ自分なりに物語を創作したのだ。すでにイベント自体は終わってしまっているものの、ユニークな公演の模様は、7月30日(土)23:00にUstreamで放送されることに。そこで、気になった方のために少しイベントの内容について説明をしておきたい。


イベントで朗読された物語を紡ぐため、小説家に課せられたルールは3つ。
1)お題写真3枚すべてを使って、物語を創作すること。
2)文量は4,000字(原稿用紙10枚)以内のこと。
3)最後の一行を、タイトルにすること。

作家たちは3週間という短い制限時間で、同じお題を与えられながらも、実に個性的な物語を執筆。開催時、柴崎氏はこんなふうに企画趣旨について発表していた。

「なんでもかんでも311を引き合いに出して悲嘆に暮れるのはそろそろいいんじゃないか。と僕も思うけれど、もはや僕たちはあの日以前の世界に戻ることはできないし、いま日本に生きている人々の意識は、あの3月11日14時46分に、ひとつ残らず紐付けされてしまっている。

世界は変わってしまった。

それも決定的に。

もはやシーベルトやらベクレルやらという単位を知らなかった頃の自分には戻れない。でも、僕らは結局こうして生きているわけだし、残る数十年を落ち込んだまま過ごせるほど、お人好しじゃないはずです。未来はテレビのなかの悲観論者やデマゴーグたちだけのものではありません。僕らだって未来を想像したいと思う。できれば楽しいことや、色っぽいことで満ちているような。その力が、あるいは新しい社会を作る創造力になるかもしれません。『あのコの隣に座りたい!』。そんな超個人的な想像だって、誰かを救う原動力になりえるはずです」
写真左から脚本家で作家の狗飼恭子さん、ロサンゼルスからスカイプでトークに参加した作家で女優の藤谷文子さん、世音堂の主催者である作家の柴崎竜人さん。

作家らしいクリエーター魂を原動力にユニークなイベントを企画した柴崎氏に賛同したのは、脚本家で作家の狗飼恭子さん、作家で女優の藤谷文子さん。それぞれの作品を読んだ俳優陣は、篠原ともえさん(柴崎作品)、宮本一粋さん(狗飼作品)、木下ほうか氏(藤谷作品)。お題となった写真を撮影したのは、「GyaO!」の取締役社長・川邊健太郎氏、タイの国民的作家でデザイナーのプラープダー・ユン氏、プロの専業主婦・保科和賀子さんの3人だ。

「初回のキタコレ世音堂には、この遊びを面白いと感じ、共有してくれる友人たちに協力していただいています。いま僕らの目の前に広がっている景色は同じ。でも未来は好きなように想像できる。このイベントに触れた方々にとって、希望ある新しい世界を想像できるきっかけになれば幸いです」(柴崎氏)。


この素敵な公演の収益は、「心のとしょかんプロジェクト」に全額寄付。皆それぞれが、それぞれのやり方で日本の復興を目指そうとしている今、物語の力を信じる者はやはりそれらしいやり方で被災地を盛り上げていこうと試みているのだ。今、自分ができることをしっかりやっていくことこそが日本を元気にする近道だと、もう一度教えられているような気がしている。今後も、第二回、第三回と回を重ねていく予定だという「キタコレ世音堂」について、詳しくは世音堂サイトへ。

■7月30日(土)23:00〜 世音堂チャンネル 第一回「キタコレ世音堂」
http://www.ustream.tv/channel/ktkr-zenondo-1

「世音堂」公式サイト
 
「心のとしょかんプロジェクト」公式サイト


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