意外に思われるかもしれませんが、「やけ食い」にはちゃんとした科学的根拠があるのを知っていますか? ストレスや体重増加については、長年にわたりさまざまな研究がされてきましたが、特にストレスの度合いと人口に対する肥満率のつながりには大きな関心が寄せられています。

世論調査を行うアメリカの企業「ギャラップ」が発表した「グローバル・エモーションズ・リポート」によると、アメリカ人のストレスレベルは世界的な平均値よりもかなり高いことが判明。そして、政府による最新の調査が示した「アメリカの人口の40%以上が肥満である」という事実も、ストレスレベルと大いに関係がありそう…。

そこで、肥満とストレスの関係性、そして実際に役立つ「やけ食い」対策を、<グッド・ハウスキーピング>からお届けします。

【INDEX】


そもそも「やけ食い」ってなに?
「やけ食い」の原因
「やけ食い」の判断基準
「やけ食い」の防止策

そもそも「やけ食い」ってなに?

やけ食いは「感情的摂食」とも言われ、感情に対する反応として食べる行為を指します。本当はそんなにおなかが減っていないのに、なんらかの感情が引き金になっていっぱい食べてしまうというのが典型的なパターン。

それが肉体的なものであれ、精神的なものであれ、私たちはストレスを感じると体内でコルチゾールと呼ばれるステロイドホルモンが分泌されます。このホルモンは、血糖値のコントロールや代謝の抑制をするといった役割を持つもの。

ストレスのシステムが活発に動くのが短期間ならば問題はなく、食欲も抑えることができますが、長期にわたってしまう場合(経済的な問題、パートナーや友人との長引くいざこざ、仕事上のプレッシャーなど)はコルチゾールの値が高いままになり、血糖値や食欲も高まっていくことになります。

そうなると、糖分の多い食べ物や脂肪たっぷりの脂っぽい食べ物をやたらと欲し、高カロリーになりがちなそれらの食品が体重増加を招くだけでなく、食べ物に対して正しい向き合い方ができなくなってしまうのだとか。

「やけ食い」の原因


退屈退屈の定義は人によって違いますが、やることがなかったり、やっていることが無意味に思えたりするとき、たいていの人は退屈を感じるのではないでしょうか。退屈になると人は時間を潰せるものを探そうとしますが、それが食べるという行為に向かうと、やけ食いに繫がる可能性があるようです。
習慣一緒に暮らすパートナーやルームメイトが毎日ジャンクフードを食べる人だとしたら、次第にあなたも毎日ジャンクフードを食べるようになるかも。習慣とは学習によって得られるものなので、“学ばないように”努力したり、もっと健康的な新しい習慣を学び直したりすることも可能。身体にいい習慣を身につけたいものですね。
経済的問題、仕事のストレス、人間関係のもつれ多かれ少なかれ、人との関係は食欲に影響を与えます。ひどいケンカのあとでたくさん甘い物を食べたくなったり、仕事でストレスの多い1日の終わりには孤独を感じ、ほっとできるようなスイーツが欲しくなったりするでしょう。自分の身体の声に耳を傾けて食欲を大切にし、コントロールできると感じているのなら、どれもまったく問題はありません。でも、ストレスによって我を忘れるほど感情的になっていたり、栄養の乏しい食べ物を食べ続けたりするようなら、見直すべきタイミングかも。食べ物は食べ物であって、あなたの親友でも憎い敵でもありません。食べ物が“自分を救ってくれるような気がしている”のなら、そうではないことを今すぐ自覚する必要がありそうです。

「やけ食い」の判断基準

今感じている食欲が「首より上から」きているのか、「首より下から」きているのかを確認してみるといいかもしれません。

首より上なら、その激しい食欲は感情的なもの。突然やってきて、たっぷり食べてもなかなか満たされることはありません。首より上の食欲に負けてしまうと、羞恥心や罪悪感がめばえたり、食べ物を選択する自由を失ったような気持ちになったりする場合もあります。

首より下に感じる食欲は感情的なものではなく、身体的な空腹のサインと言っていいでしょう。少しずつ膨らんでいく食欲で、いろいろな物を食べたくなるはず。満たされたと感じたら、その食欲は消えるはず。首より下の食欲には罪の意識や怒りを伴うことはなく、なにか食べ物や食事を取れば満足し、安心感が得られるのではないでしょうか。

ただし、このふたつの区別が難しいことも…。習慣になっている夜の甘いお菓子を、あなたの身体は本当に求めていますか? 首より上の食欲に負けることに慣れた身体が、特定の時間に特定の物を食べたくなる中毒のようなものを起こして、毎晩甘い物を食べたくなっているだけではありませんか?

その習慣がいつからはじまったのかを考え、本当に空腹からきている食欲なのか、もっと身体の声に耳を傾けながら、満たされる食べ方を練習してみましょう。

「やけ食い」の防止策

やけ食いの習慣から逃れるには、時間をかけてその飢餓感の原因を確かめ、少しずつ行動を変えていくことが大切です。“誘惑の食べ物”を棚の奥に隠し、健康的な食べ物を目のつく場所に置いてください。目に見えなくなれば次第に気にならなくなり、気分がすっきりするはず。これでキッチンからジャンクフードがなくなれば完璧です。

食事は1日3回、バランスよく食べましょう。食事を抜くと、その後で食べ過ぎることになるので、くれぐれも抜かないように。なんらかの行為が習慣として一度身についてしまうと、依存しているものをやめるのは難しいのですが、他のものに置き換えることはそれほど難しくありません。

次に挙げるのはおすすめの「代替案」。自分に合うものを探して、新しい健康的な習慣として育てていきませんか?


散歩に行く
あたたかいお茶を1杯飲む
本を読む
笑えるドラマを見る
日記をつける
ペットとじゃれ合う
音楽を演奏したり踊ったりする
工作やぬり絵をしたり、絵を描いたりする
歯をみがく
ガムをかむ
大きなグラスで水またはナチュラルフレーバーの炭酸水を飲む
寝る(やけ食いの多くは、“ベッドにいるはずの時間帯”に起きています!)
瞑想やストレッチ、ヨガ、入浴など、リラックスできる方法を練習する

焦らずに、少しずつ、自分らしい習慣を身につけていきましょう!

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:中尾眞樹(Office Miyazaki Inc.)

GOOD HOUSEKEEPING