女の人生、その勝敗はいつ決まるのかー?

それは就職・結婚・出産など、20代で下した決断に大きく左右される。

ある分岐点では「負け」と見なされた者が、別の分岐点では幸せを勝ち取っていることなんてザラにあるのだ。

昔からその分岐点において、全く異なる結果になる2人がいた。

福岡出身の塩田ミキと佐藤菜々子、28歳。

2人はどのように、東京での20代を駆け抜けていくのだろうかー?

「シュガー&ソルト」一挙に全話おさらい!



第1話:いつしか疎遠になった、幼馴染。突然の“玉の輿婚”の知らせでザワつく28歳女の本音

1年ぶりの帰省で、福岡空港に着くと、母が遠くに待っているのが見えた。

28歳の塩田ミキはネブローニのヒールに、ディオールのブックトートを持ち、トレンチコートをなびかせて歩いていく。

「おかえりなさい。すっかり東京の人になって」

帰ると必ず聞く母の言葉に、昔の自分とは違うという実感が湧いてくる。そしてこの街に懐かしさを覚えるたび、満足感は不思議と増すのだった。

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第2話:新卒で夢叶わず、派遣社員となった高学歴女子。彼女が目の当たりにした“東京の格差”とは

急に、未来が理想からどんどん離れていくように感じ始め、その3ヶ月後には退職の意を伝えていた。

会社を辞めると決めたとき、そのあと派遣社員になるつもりは全くなかった。だが菜々子が行きたいと思う会社で正社員として雇ってくれるところはなかなか見つからず、有休消化の日々はあっという間に過ぎ去っていこうとする。

菜々子は無職になるかもしれない不安に勝てず、結果として派遣社員となったのだった。

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第3話:「この成功が身に余るとは思わない」緻密な戦略で、一流企業の内定とハイスペ彼氏を得た女の誤算

運命の電話が鳴ったのは、代々木駅に電車がさしかかった頃。ディスプレイに表示されたのは、知らない番号だった。

大学3年生だったミキは面接の結果だとすぐに察知し、目的地の渋谷に着く前だったが一旦電車から降りる。ホームで通話ボタンを押すと、数日前に最終面接を受けた第一志望の化粧品会社からの電話だった。

鼓動が、急に速くなる。すでにいくつか内定をもらっていたが、この会社への気持ちは他とは比べものにならない。ここが絶対的な第一志望だった。

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第4話:「ずっと恋愛してない…」就職に失敗し、商社の彼と別れた派遣社員24歳の苦悩

「このお店、前に彼と一緒に来たことがあって。ここのムール貝美味しいよね」

メニューを見ながら百合がそう言ったので、菜々子はそっと胸をなでおろす。

緊張とは裏腹に百合との話は思いの外弾み、あっという間にデザートを選ぶ時間になる。時計を確認した菜々子は少し焦っていた。

恋愛の話、地元の話と楽しい話題が続く中で、菜々子はどうしても百合に伝えたいことがあったのだ。

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第5話:交際2年目で、誘われなくなった女。一晩“既読スルー”された挙句に起きた悲劇

先輩の結婚式はこれまでに2度参加した。2人ともいわゆるキラキラ系 OLで、彼がいることもなんとなく知っていた。でも香織は彼女たちとは違い、生活感が滲み出ているタイプだ。

「ミキちゃんも彼氏いたこと知らなかったの?」
「うん、全然。恋愛の話なんてしたことなかったし……」
「香織さん、ミキちゃんのこと一番期待してる感じだったからそういうことも知ってるのかと思ってた」

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第6話:「私は、“何者”かになれる…?」25歳派遣OLを救った、エリート弁護士の行動

話によると今まで派遣社員から正社員になった人の大半は、契約社員からスタートしているらしい。部長は終始、いい話だというていで話し続けた。

ーとは言ってもね……。

確かにこの会社では、契約社員の方がチャンスはある。しかし契約社員になったからといって正社員になれる保証はひとつもない。正社員への道のりは想像以上に遠いのだ。

ふっーとため息をついた時、スマホが光っているのに気がついた。届いているメッセージは百合からのLINEだ。

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第7話:「俺たち、別れた方がいいと思う」女が、たった一通のLINEでハイスペ男にフラれた理由

「ちょっと待ってよ、健斗……!」

“会社を辞める”という急な告白に声が思わず上ずった。

ー愚痴を聞いてもらいに来たのにこんなことになるなんて……。

健斗は、目を合わせることもなく黙っている。一大事だというのに当の本人は心がすでに決まっているのか、慌てふためく様子もない。

「どうしてこんなに急に……。少しは相談してくれても良かったんじゃないの?」

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第8話:「よかったら、うち来る…?」10回目のデートで家に誘われた女が、エントランスで帰った理由

ー夢から覚めたみたいだな……。

百合の結婚パーティーは普段の生活では出会わないような人たちで溢れていて、1人、松戸のマンションへ戻ったときには、さっきまでの数時間が幻のように思えた。

菜々子はそっとワンピースのポケットに上から手を添える。

正樹にもらった名刺の感触が強く伝わってきた。バッグにしまってしまえば、そのまま消えてしまうような気がして、わざとポケットに入れたのだ。取り出してみるとその名刺は、夢のような時間と現実をつないでくれるようだった。

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第9話:「妊娠したけど、結婚はしない」友人の衝撃的な告白で気づいた、29歳女の本音

ーいつになったらこのドレスの色は、あの純白に変わるのだろうか?

自分の番が回ってこないことに焦る気持ちが大きくなると、今着ているワンピースの深い紺色が、途端に重く感じた。ふとスマホを見ると、母からのメッセージが届いている。

”夏はいつ帰省するの?”

ミキは自然とため息をつく。29歳になった途端、今までミキの生き方に何も口を出すことがなかった母から、ついに結婚を急かすような発言をされるようになっていたのだ。

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第10話:同窓会は、ハイスペ男子の宝庫―?27歳の元派遣OLが、開業医の息子の心を掴んだ夜

弁護士の正樹と別れた日から4ヶ月が経ち、春を迎えた頃、菜々子は松戸から御茶ノ水に引っ越した。

正社員になり金銭的な余裕ができたこともあったが、いまだに消えない正樹への気持ちを、住む場所を変えて断ち切りたかったのだ。

菜々子は、窓の外に広がる東京の景色を眺める。ふいに最初の派遣先だった不動産会社の内見立会で見た、赤坂のタワーマンションからの景色を思い出した。

新居は5階で、確か23階だったあの部屋からの眺めには到底かなわない。見えるのは路地と、遠くを遮るビルたち。それでも菜々子は満たされていた。

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