“人気の街”よりも住みやすい! 本当に「コスパのいい街」はどこ?

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雑誌などで、よく見かける人気の街ランキング。しかし、人気の街=住みやすい街なのでしょうか?

4年連続トップは千葉県の○○市! 「全国住みよさランキング2015」発表

これまで東京の5つの街を住み歩いてきた、住宅ライターでもある筆者が3つの視点から分析します。

街の財政から見る“お得な街”とは?

「財政力がある街ってどこ?」。じつはその答えは、財務省の統計によって明らかになっています。

財政力指数が1であれば収支のバランスが取れているのですが、その指数を超えているのは全国1765地域の中でも70地域しかありません。では、首都圏では、どのような街があるのでしょう。

・千葉県浦安市

いわずとしれた東京ディズニーリゾートがある街です。都心への交通の便も優れています。

・東京都武蔵野市

常に人気のある街ランキングでトップを争う吉祥寺がある街です。財政力にも優れているのですね。

・埼玉県戸田市

1985年に埼京線が開通し、池袋・新宿・渋谷などへ1本で行ける街として人気があります。

・東京都調布市

東京23区に隣接する街で、京王線・バスと交通網が発達している住宅街です。

・東京都府中市

調布市に隣接する街です。公園が多く、行政サービスにも優れています。

では、子育て世代にお得な街はあるのでしょうか? 財政力に優れていることと、子育てに適していることとは必ずしも一致しません。財政力指数が小さくても、子育て世代に財源を割いている自治体はあります。
私自身、妻の妊娠を機に転居しましたが、産婦人科がない街もあり苦労しました。

よく比較されるのは、待機児童の数です。しかし、保育園に入所できない場合、延長保育付きの幼稚園へ預ける方も多く、幼稚園の補助金なども見ておいたほうがいいでしょう。
こちらは年額で1万円という自治体から、30万円を超える地域まであります。医療費の負担についても一般的には中学生卒業までですが、小学生までで打ち切られる自治体、逆に千代田区のように高校生まで負担なしの地域もあります。

すべてが揃った“住みよい街”はやっぱりあそこ!

住みよい街の条件としてよくいわれるのが、交通の便がよい街です。都心への所要時間も大切ですが、多少遠くとも始発駅であれば座って通勤・通学できるのでラッシュでもストレスは感じません。

ただし、交通の便がいくらよくても、生活するのに不便を感じるようでは元も子もありません。

私の場合、新宿・渋谷に一路線で行ける町に住んだことがありますが、近くにスーパーマーケットが一軒しかなく、特に書店がないことに不便を感じました。では、どういう街が、住みよい街なのでしょうか?

それは歴史がある街です。

歴史があるといっても情緒あふれる街であるということではありません。昭和、それも戦後から高度経済成長期にかけて進化を続けてきた街です。

これらの街の多くは、駅前に商店街があり、駅近くにマンションが建ち並び、それを囲むように一軒家が並んでいます。行政サービスが利用でき、学校や公園、図書館、病院があり、近年はシネコンやスポーツジムなどを含むショッピングモールなども建っているようなところです。

こういう街は、高齢者から若い家族まで幅広い世代が住んでおり、地域イベントなども盛んです。(一方、一気に街を造り上げるニュータウンでは世代が偏ってしまい、街自体が老朽化してしまうといった現状です)。

これらすべてが揃った街がどこかといえば、やはり吉祥寺ということになってしまいます。
ですから、人気があるのは当然のことなのです。

しかし、吉祥寺に住むには住宅価格も家賃も掛かってしまいます。そこで、私たちは何かを諦めながら、家探しをしていかなければなりません。

“コストパフォーマンス”がよい、狙い目の街はココ!

ここでは、先述のよい街の条件のいくつかを兼ね備えながら、お手頃の予算で住むことができるコストパフォーマンスのよい街を紹介していきます。

・東京東部

マンション価格や家賃の相場は、西高東低といわれています。
たとえば東京駅まで10分かからない錦糸町と同価格のマンションを、中央線で購入しようとすると国分寺になってしまいます。

国分寺といえば、東京駅まで40分かかりますので、通勤時間だけを考えても便利ですし、さらに映画館やショッピングモールなど、錦糸町のほうが駅周りの商業施設も充実しています。さらに、東京スカイツリーも近く、東京オリンピックに向けて注目されるでしょう。

また、徒歩10分圏内である総武線・亀有や、東京メトロ半蔵門線(都営新宿線)住吉などはさらにコスト面で抑えることが可能です。

東京メトロ千代田線から乗り上げる常磐線沿いにある、北千住・綾瀬・亀有・金町は、便利でコストが抑えられる街であるといえます。近年、北千住の人気が上昇しているのも頷けるところです。

・北区〜23区を一歩出た埼玉

少し前なら、赤羽がオススメのトップでしたが、すでに相場が上昇傾向にあるようです。
東京のすべてのターミナル駅に1本で行けることを考えると、多少相場が上がってもコストパフォーマンスには優れています。しかし、ちょっと手が出ないなという方には、川口と戸田公園がオススメです。

戸田公園は、市の財政に優れていますし、池袋・新宿・渋谷へのアクセスに便利です。一方、川口は上野・秋葉原・有楽町へ一路線で行くことができ、駅前にタワーマンションなどがあり、商業施設も充実しています。

・東京南部〜川崎

山の手線・品川駅から一歩飛び出た東京南部から横浜手前までの駅は、比較的コストパフォーマンスに優れているといえます。大井町・蒲田・川崎は駅周りもにぎやかで、住み心地のよい住宅街です。
川崎市は、注目の駅である東急東横線・目黒線、JR南武線が交わる武蔵小杉駅もあり、こちらも人気急上昇中です。