“脚のむくみ”は若くても危険! 「隠れ下肢静脈瘤」チェックリスト&簡単予防法

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女性の多くが日頃から感じているむくみ。夕方になると「靴がキツくて痛い」「ふくらはぎがパンパン」などど感じる女性もいるのでは? さらに症状がひどくなると、朝になっても十分に解消された感がない……なんてケースも。

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実はこれ、単なるむくみではないかもしれません、と語るのは都庁前駅血管外科・循環器内科 院長の長江恒幸先生。

20〜40 代女性の 15%が「隠れ下肢静脈瘤」かも

ピップ株式会社と長江先生が共同で調査を行ったところ、日常的にむくみを感じている 20〜40代女性12848人のうち、15.2%に「隠れ下肢静脈瘤」の可能性があることがわかりました。調査では下肢静脈瘤の典型的な4症状のうち、2つに当てはまるとその可能性があるとしています。皆さんもチェックしてみてください。

□脚のむくみに左右差がある

□膝下から足首までの肌、とくにくるぶし周辺の肌が黒ずんでいる(うちみ、角質を除く)

□脚にしつこいかゆみまたは湿疹が出ることがある(水虫除く)

□脚がつることがある

改めて、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは、皮膚に近いところを流れる表在静脈の弁機能が、何らかの要因で低下してしまい、血管が拡張・逆流することで発病する循環器疾患のこと。下肢静脈瘤になると、こんな症状が発生します。

・血管が浮き出てコブ状になる

・色素が黒く沈着してくる

・寝ているときに脚がつる

・湿疹や痛み、出血が起こる

・脚にだるさや重さを感じる

・脚にかゆみを感じる等

女性が「隠れ下肢静脈瘤」になりやすい理由

これに対し長江先生は、隠れ下肢静脈瘤について、「下肢静脈機能が低下していても、一見すると何の病変もないような状態」と定義しています。

皮膚の表面からはわからないため厄介ですが、実際には表在静脈などの機能低下や、筋肉内部を流れる静脈が逆流する機能低下などが起こり、下肢静脈瘤と同じような症状が見られるのだそう。

さらに怖いのは、リンパの流れの機能低下が併存すると、むくみの症状も起こりやすくなるということ。皮膚症状は現れず、重度のむくみや脚のだるさなどの症状が目立つため「普段のむくみがひどくなったのかな」と放置する人も少なくありません。

「隠れ下肢静脈瘤だと気づかずに対処しないでいると、長期間の静脈うっ滞から、エコノミー症候群の原因となる深部静脈血栓症(足に血栓ができてが急に腫れて痛む症状)のリスクも出てきてしまいます」(長江先生)

でも、下肢静脈瘤って年齢層が高めの人の病気では? なんて思う方も多そうですが、長江先
生は「調査結果を年代別に見ると、20代では 16.4%、30代では 14.9%、40代では 14.4%と若い人でも隠れ下肢静脈瘤の疑われる割合は高いです。実際に若い患者さんも病院を訪れますし、生活習慣次第で若くてもその可能性は十分にあり得ます」と話します。

そもそも女性は、男性と比べて筋肉量が少なく筋ポンプ作用が働きにくかったり、女性ホルモンの影響で生理中は血管が広がり、尿の量も減るため、普段よりも体内に水分が貯まりやすくなったりすることから、隠れ下肢静脈瘤になりやすい性質があるのだそう。

「また、加齢によって静脈機能が低下した人、足に静水圧がかかりっぱなしになり、静脈血管が上昇しやすくなる長時間のデスクワーク、立ち仕事をしている人、家族に静脈瘤のある人などがかかりやすいと言えます」(長江先生)

一番簡単にできる予防法は着圧ソックス着用

長時間同じ姿勢で働いたり、家事をしたりする女性は多いはず。つまり、普通に暮らしていても、私たち女性が隠れ下肢静脈瘤を引き起こす可能性はあります。では、どうすれば隠れ下肢静脈瘤の対策を行えるのでしょうか。

「患者さんには着圧ソックスを継続的に履くことをおすすめしています。調査を行ったところ、着圧ソックスを毎日使用している人はわずか 14%で、そもそも使用していない人が 40%近くいました。

とくに静脈の流れを良くするには、下肢の筋ポンプ力で重要な役割を果たすふくらはぎのケアが大事です。運動不足や生活習慣が原因で、ふくらはぎの筋ポンプ力が十分ではない人が多いですが、段階圧力ソックスを着用すると外側から補うことができます。足首の圧力が最も強く、ふくらはぎのサポート機能のあるものがベストです」(長江先生)

着圧ソックスは、なるべく長時間・長期間 適切に着用するのが理想で、日中はもちろんですが、むくみが十分取れていない方や日中はけない方は就寝時にも履くと良いです。

他にも、仕事や家事の合間に、数時間に一度脚を椅子の上にのせて、脚の負担を減らす姿勢をとったり、1時間に1回くらいの頻度で、脚の指でグー・パーを 10回くらい繰り返し作ったりするのも効果が期待できるそう。気づいたときにできそうですね。

寝る前や起きた後などに、仰向けに寝て脚と腕を上げて、小刻みにブルブルと振る(手足ぶらぶら体操、20〜30秒を2セット程度)のも下肢の静脈うっ滞(うったい)を解消してくれるのだとか。

隠れ下肢静脈瘤を放っておくと、むくみがますます改善しづらくなり、脚が太くなったり、だるさが消えなかったりと、良いことなし。さらに浮き出てコブ状になった血管や色素沈着は、一度なってしまうと元に戻りません。簡単に取り組める予防法ばかりなので、前もってケアを心がけてはいかがでしょうか。

<長江恒幸先生>
都庁前血管外科・循環器内科 院? 日本外科学会専門医、日本循環器学会専門医、脈管専門医、日本静脈学会評議員、日本脈管学会評議員 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術 指導医。

専門は下肢静脈瘤 動脈硬化 閉塞性動脈硬化症 静脈瘤 動脈瘤 深部静脈血栓症、リンパ浮腫。主な著書(編集・共著)に『「血管の病気」と言われたら...』(保健同人社)などがある。