作家・食ジャーナリスト 山根泰典が綴る、食にまつわるよもやま話を集めた連載コラム。二十年ぶりに母方の墓参りに長崎へ行ってきた。一泊することになったので、東京勤務から地元長崎に戻った友人で釣り仲間の一人と晩飯を共にすることになった。指定された通り、思案橋横丁の入口で路面電車を降りて落ち合った。両側に小ぶりな飲食店が立ち並ぶ横町へはいった左手すぐにその店はあった。袖看板にただひらがなで「おこぜ」と書か