相手にとって言ってはいけないことを言った時の対処法―同じような悪口や悪態を続けて連発する

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悪口を言うなんて最低なこと、と分かってはいても、ついポロっと出てしまうこともあります。一度口に出してしまったことはもう消せないけれど、少しでも印象を薄くすることは可能なのです。その対処法についてご紹介します。

■思わず悪口を言ってしまったら、同じような悪口や悪態を続けて連発するとよい

友人と会話していて、本人がすぐ目の前にいるにも関わらず、つい日頃から不満に思っていたことを口に出してしまったとき、ハっと気がついたときにはもう遅く、友人の顔は怒りと絶望で真っ青……。こんなとき、思わず「時間を巻き戻せたらいいのに」と思いますね。

しかし、やってしまったことはもう仕方がありません。もちろん、相手を不用意に傷つけてしまったことを反省することは必要ですが、思いきって同じような悪口や悪態を続けて連発することで、相手に与えるショックを減らすことができるのです。

例えば、友人に「あんたって、ほんと気がきかないよね」と言ってしまったとします。そうしたら、続けて「待ち合わせには遅刻してくるし、ごはん食べるのも遅いし、マイペースだし……」とどんどん悪態を重ねていくことで、相手も怒るに怒れない雰囲気になっていき、最後はお互いに吹き出してしまって丸くおさまるという結果になるのです。

次に挙げる逆行抑制の心理を利用して、最初に与えたショックを薄めていくようになります。

■逆行抑制の実験

「逆行抑制」とは、後から学習したことによって、前に学習したことに対する記憶が薄れやすくなるというものです。ある女優のファンである人が、すごく気に入って毎週見ていたはずのその女優主演のドラマのタイトルをどうしても思い出せないとします。

しかし、今放送されている同じ女優主演のドラマのことなら何でも話せる。こういうときは、逆行抑制が起こっていて、今のドラマの情報が昔のドラマの情報を上から塗り替えてしまっているわけです。

■逆行抑制を証明したアンダーウッド

アンダーウッドという心理学者は、この逆行抑制について、同じ系列の数を増やせば増やすほど記憶は忘れやすい。すなわち、忘却とは、必ずしも時間と共にあるわけではないと述べています。さらに、スカッグスとロビンソンという2人の心理学者によって、a(古い記憶)b(新しい記憶)に共通点が多いほど、忘却が生じやすいという仮説が出来上がりました。

例えば、新しい職場で次から次へといろんな仕事を教えられて、最初に教えてもらった仕事のやり方を忘れてしまうなんていうときにも、この逆行抑制の心理が働いています。同じような内容の仕事をどんどん詰め込まれるので、古い記憶の印象が薄くなってしまいます。

もしこれが、それぞれ全くちがった内容の仕事であったなら、そう簡単に忘れてしまうことはないでしょう。なぜなら、それだけひとつひとつの記憶が新鮮だからです。