――料理の再現に失敗することもありますか?

神崎:あまりないです。ただ私は美味しいだろうと思って出したのに、息子たちが残すこともたまーにあります。そういう時は次から作るのをやめます。兄弟間でも味覚が違っていて、長男は好きだけど次男はいまいちってことはよくあります。こないだも作り置きしている冷凍のハンバーグをパイ包みにしたんです。絶対美味しいはずなんですけど、次男にはハマらなかったみたいで……。息子3人から合格点をもらうのは結構難しいです。

◆キッチンを居心地よくするための一工夫

――料理本から垣間見える神崎さんの母の顔にとても親しみを感じました。キッチンには毎日立っているんですか?

神崎:家の中で一番時間を過ごしているのがキッチンです。寝てる時間より多いんじゃないかな。仕事をして帰ってきてもキッチンにしかいないかも。そのくらい私にとって落ち着く場所です。

――キッチンで快適に過ごすための工夫はありますか?

神崎:自分が一番過ごしている場所なのでそれだけで居心地がいいんですけど、お花やグリーンを飾ったり音楽をかけられるようにスピーカーを置いて、気持ちよく料理ができるように環境を整えています。あと一日の中で一番好きな西日の入る時間にワインや日本酒を飲みながら料理を作るのも楽しみの一つです。

◆長所でもあり短所は「力を抜けないこと」

――本の帯には「日本一忙しい人気美容家」というキャッチが入っていますが、仕事と家庭の両立に疲れることはありませんか?

神崎:家に帰ったら料理を作って掃除をするという習慣が身についてしまっていて、自然とそういうモードに切り替わります。でも私の長所でもあり短所でもあるんですけど、力を抜けないんですよ。“ほどよく”ってことができないんです。でも全力でやるのが私らしさでもあるので、仕事がある日でも出来る限り料理はしたいなって思います。やり終えたあと気持ちがいいんですよね。

 仕事で疲れて何にもしたくないって日もあるんですが、キッチンに立つと不思議と作れちゃいます。でもウーバーイーツに頼る日もいっぱいありますよ。

――いつでも全力を尽くされる神崎さんがリラックスできるのはどんな時ですか?

神崎:やっぱりキッチンにいる時ですね。家族が集まる場所だったり、私が私でいられる場所、何も考えないで素でいられるのですごくリラックスできます。切るとか煮るとか、そういうシンプルな行動はなにも考えずに済むから癒しになっています。いい意味で何にも考えないで、シンプルに何かに打ち込めるというか。昔はどうすれば自分に戻れる時間とかリセットする時間を作れるのか探していたんですけど、今はそれがキッチンや料理をすることだと気付きました。

【神崎恵】
美容家。1975年神奈川県生まれ。美容誌をはじめ、『ESSE』など多くの雑誌で連載を持つほか、企業のタイアップやイベントの出演も多数。また、コスメブランドのアドバイザー、アパレルブランドとの商品開発など活動の幅を広げている。3人の息子をもつ母として、日々の暮らしや美容情報満載のInstagramはフォロワー数80万人超え。現在は神崎美容塾の塾長として、後進の育成にも尽力している。書籍も数多く執筆し、著書累計発行部数は170万部を突破。料理本としては本書が初
Instagram:megumi_kanzaki

<取材・文/門田実夢>