飾ってある美人画の表情が変わってきた!?/画像提供:かんさび(@kansabi_kk)

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壁に飾っている美人画が、なぜか日に日に美しくなっていく。装飾が増え、顔つきまでも変わってきている。そんな奇妙な物語を描く、かんさび(@kansabi_kk)さんの「美人画」に3.5万いいねがついている(2023年9月5日時点)。

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■美人画の見つめる先に、西洋の鎧を着た置き物を発見。彼女は彼に恋をしている?

伝奇、伝奇、民話などをベースに奇妙な話、たまにちょっと怖い話を描くかんさびさん。今回は飾られた美人画が、日に日に装飾を増やして着飾り、美しくなっていくという物語だ。何が原因で、美人画が美しくなっていくのか調べてみると、どうやら近くに置いてある鎧を着た騎士を見つめているではないか。

彼女は彼に惹かれて着飾り、化粧を変えたりと美しくありたいと思っているのだろう。それに気づき、騎士を美人画の近くに移動することにした。しかし、ある日、西洋の騎士は誰かに買われてしまうーー。

ーー美人画の切ない物語!と思いきや、オチに驚きました。本作を描くきっかけはなんですか?

この作品のきっかけは、昔日本に洋画が輸入され始めたとき、日本人は洋画の精密さに驚いたと聞きました。そのとき描かれた美人画が「西洋の美術と触れ合うとどうなるのだろう?」と思ったのがヒントになっています。そして近年、推し活をする人たちの声でよく聞くのが、「推しの人には憧れているけれど、推しの世界観に自分が入りたいわけではない」という話をよく聞きます。美人画は西洋の青年の置き物の美しさに憧れてはいるけれど、彼の世界観を壊したくはない、なので仕方なく自分を磨くことになった、という話になりました。

ーーコメントでは、波津彬子、夏目漱石のような味わいがあるとの声もあります。かんさびさんがとくに好きな物語を教えてください。

杉浦日向子さんの作品が好きなのですが、とくに「百物語」はとても好きな作品です。夏目漱石の「夢十夜」もとても好きなので、漫画で文学的な表現をしたいと思っています。

ーー3.5万のいいねがついています。感想はいかがですか?

本当にありがたいことです。同じような気持ちに共感してくださった方もいれば、世界観を気に入ってくださった方もいたのでしょうか。どちらにしろ、今後もおもしろい作品を作っていきたいと大きな励みになりました。

ーー読者の方にメッセージがあればお願いします。

私は“大人のための童話”のような現代版昔話を作っていきたいと思っています。読みにくかったりよくわからない表現もあるかもしれませんが、もっと読みやすく、おもしろい作品を描いていこうと思っておりますので、気長にお付き合いいただければ、とてもうれしいです。

奇妙な話ではあるが、結末はいつも優しさを含むかんさびさんの作品。「悲しく怖い、辛い怪談や不思議な話に少々疲れていまして。 不思議な話や一見怖い話でも、実は温かい側面や理由がある、救いがある、というような考えが好き」というかんさびさん。それぞれの幸せな結末というラストに納得の3.5万いいねが集まっている。

取材協力:かんさび(@kansabi_kk)