日本政府では人口の統計を調査するとき、50歳の時点で一度も結婚していない人を「生涯未婚」とし、その割合を“生涯未婚率”として換算しているのをご存知でしょうか。最新の2017年に発表された「国勢調査」(2015年データ)によると、生涯未婚率は男性23.37%で、女性14.06%だそう。この数値は過去最高となっているそうですが、なぜ結婚をしない人が増えているのでしょうか?その背景を「パートナーエージェント」が行なった「結婚観」に関するアンケートデータをもとに分析してみたいと思います。

生涯未婚率は上昇しているのに、結婚願望も年々上昇傾向に

まず生涯未婚の人は結婚を「しない」のか、それとも「できない」のか?同調査では新社会人を対象に「結婚したいかどうか」を問うアンケート調査を、過去数年にわたって行なっています。「結婚したい」と回答する人は、やはり年々減っているのでしょうか?結果は次の通りです。

「結婚をしたい」と回答した新社会人の割合の推移

2012年 結婚したい……79.3%、結婚したくない……20.7%

2015年 結婚したい……85.0%、結婚したくない……15.0%

2017年 結婚したい……91.8%、結婚したくない……8.2%

2018年 結婚したい……95.9%、結婚したくない……4.1%

生涯未婚率は過去最高を更新しているにもかかわらず、結婚願望は2012年以来右肩上がり!つまり生涯未婚の人は、結婚を「したくない」わけではないのです。特に最近の2018年では「結婚したい」人が95.9%と、かなりの高割合となっています。

結婚していない人は運命の赤い糸を自ら切っているわけでなく、絡まっているだけ?

生涯未婚の男性が結婚しないのは「出会いがない」と「経済的事情」が大きい

では、生涯未婚率が上昇しているのは一体なぜなのでしょうか?同調査では結婚をしていない人を対象に、「現在未婚でいる理由」について質問。その年代と性別ごとにグラフ化したものが以下ですが、こちらは上位の結果です。

こちらは上位の結果。「出会いがいない」人と「出会いがある」人の違いは、一体どんなところなのでしょうか?

40代と50代の男性と、40代女性は「出会いがないから」が1位。さらに男性は「経済的な事情」と答えた人もかなり多く、「結婚したくてもできない」人が多数派であることが分かります。一方、女性は50代になると「結婚したくない」が1位。女性は独身のまま50代になると、結婚願望が薄れていく傾向にあるのかもしれません。

続いて下位の結果はこちら。

「特にない・分からない」という人もかなり多いことが判明。自己分析をせずに、なんとなく独身でいる人も少なくないようです。

一方、結婚していない人がよく口にしがちな「仕事が忙しいから」は男性でも約1〜2割、女性は1割以下となっています。そしてこちらもありがちな「プライベートが忙しいから」は、男女とも1割もいません。つまり結婚しない理由として「仕事が忙しいから……」「趣味が充実しているから……」と言っているのは、あくまでも対外的なもの。本音は別のところにあると考えていいのかもしれません。

生涯未婚の40代から50代は、婚活スタートダッシュが決定的に遅い!

さらに同調査では「出会いがない」と答えた40代から50代の未婚者に対して、「結婚に対して焦りを感じ始めた年齢」について調査。結果は以下となっています。

結婚に対して焦りを感じ始めた年代(40〜50代の未婚者)

・男性

29歳以下……3.5%

30〜34歳……9.1%

35〜39歳……23.1%

40〜44歳……19.6%

45歳以上……5.6%

特にない・分からない……39.2%

・女性

29歳以下……13.6%

30〜34歳……14.3%

35〜39歳……25.2%

40〜44歳……8.8%

45歳以上……4.8%

特にない・分からない……33.3%

20代で焦りを感じた女性は、わずか13.6%。一方男性はたったの3.5%しかいませんでした。実は同調査では25歳から39歳の未婚者に対しても同じ質問をしていますが、こちらは女性が79.3%、男性でも75.5%が20代で結婚に対して「焦りを感じている」と答えたそうです。つまり、40代で結婚していない人は、「結婚しなきゃ」と考えるスタートダッシュが決定的に遅いといえます。

焦っても結婚できるとは限りませんが、若い頃からまったく焦らないのはやはり問題。生涯未婚を避けたい人は、20代から結婚について意識しておいたほうがいいかもしれません。

【調査概要】
調査主体:パートナーエージェント
調査対象:40〜59歳独身男女 1,650名
集計期間:2018年3月12〜19日