【刀剣】聖地「岐阜県関市」の日本刀づくりは鍛錬の世界!職人技をじっくり見てきた

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まいど! 刀剣は好きですか?

「馴染みがないなぁ」と思われるそんなアナタに、刀剣がどれだけ魂を込めて作られるのかご覧いただきたい!!

説明させていただくわたしはひょんなことから刀剣業界に飛び込み(参照記事:【刀剣女子】あれ? この気持ち…恋?「刀屋娘」が語り尽くした日本刀の奥深い魅力)刀屋で働きつつ若い人たちに刀剣を普及していきたい、うっかり刀剣に惚れて火傷中の刀屋娘です。

「世界に誇る関の刃物〜折れず曲がらずよく切れる〜」まつりの模様を写真でさらに見る

今回足を運んだのは!岐阜県関市の刃物まつり!!

関(美濃)といえばみんなの憧れ(?)五箇伝と呼ばれる刀の名産地のうちのひとつ(ちなみに他は京都〈山城〉、奈良〈大和〉、岡山〈備前〉、神奈川〈相州〉)。

それは現代でも途絶えず続いていて、大阪の堺市などと並んで刃物の町として名を馳せている。

その刃物っぷりと言ったら

関鍛冶伝承館

カミソリ文化伝承館(フェザーミュージアム)

ナイフ博物館

取り揃えすぎやろ!!刃物にどんだけバリエーション持たすねん!!

そんな聖地・関で行われる刃物まつり…。

わたしはてっきりいかにも刀マニアです!という年配の方が集まるイベントを想像したのだが

ちゃうかった!!この賑わい!!!!

町中がフェスティバル。関市が一丸となった大イベントに老若男女問わず人・人・人。

刃物の廉売市にて特別価格の「はさみ」や「爪切り」を購入出来たり、パフォーマンスが行われていたり、町中のあらゆる場所でイベントが多発。

しかし目玉はなんといっても関鍛治伝承館で行われる「古式日本刀鍛錬実演」!

2016年10月現在、関市には13名の刀匠がいる。つまり、まだまだ刀は生産され続けているのである…!

戦わなくなった今でさえ。もちろんそれは、買う人がいるからできること。

鑑賞用の美術刀剣として、実用のため居合刀として、布教用の海外へお土産として…。

1人の刀匠につき年間24本という規制はあるものの、日々新しい刀が生まれ続けている。

そしてその中でも「古式日本刀鍛錬」は、平安後期から確立した日本刀の由緒正しい作り方を実践するもの。

長い時代歴史を有してきた刀を販売する「刀剣商」で働くわたしにとっても「刀の誕生シーン」を見るのははじめてだった。

決して簡単なものではない誕生…。

砂鉄を木炭で焚き続け、出来上がった玉鋼を火で約1300度に熱しながら叩いて叩いて叩いて、不純物を飛ばし、鉄の層を作っていく。これが〈鍛錬〉。

その後、刀の形へと成形していく。

海外のナイフの多くは金属を切り出して作るが、日本刀は「鍛錬して作られる」のである。そりゃ魂も宿りますわ!

刃物まつりで見ることができたのは、長い工程のうちの恐らくたったワンシーン。

白い袴を身に纏い、烏帽子を被った刀鍛冶たち。

一人がふいご(横にある大きな箱みたいなやつ)で風を送り、火の温度を調節し、温度になったら向こう槌(むこうづち)と呼ばれる叩く担当の鍛治たちが鉄を叩いていく。

やみくもに叩けばいいわけではない。状態を見て、その力加減を調節しているのだ。

これが職人技…!!

公開鍛錬は30分間。火を燃やし、鉄を熱し、叩いて…の繰り返し。

会場を取り囲む大勢の人たちが、その姿を息を飲むようにして見つめ続けていた。

しかし、その全行程が終わってもまだ「日本刀」は出来上がらない。

刀と柄(つか/持ち手のこと)を接着する「はばき」という部分を作る「白銀師」、

柄に糸を巻いて綺麗に仕上げていく「柄巻師」、

鞘(さや/刀を収める部分)を作る「鞘師」、

刃に不具合が起きたときのお医者さんでもある最後の仕上げ人「研ぎ師」など、様々な人の手を経由してやっと完成する。(「刀剣研磨外装技術実演」より)

こうやって職人たちの姿を間近で見ると、もともと美しい日本刀の奥に歴史が見えてより美しく見えてくる不思議…!

機械で大量生産が可能になった今でも、こういった職人技は決して機械のプログラミングは真似できないもの。

「データを取っても、果たしてその通りに行くかどうか。同じ材料を使って刀を作っても、同じ刀には仕上がらない。材料、環境、腕が合わさって初めて出来るもの」と刀鍛冶の一人は語った。

刀を見るということは、その一振り一振りの奇跡と対面しているということやったんや…!

関市の刃物まつりは、そんなありがたみを心の中にまで染み渡らせてくれる貴重なお祭りでした。

世界に誇る関の刃物〜折れず曲がらずよく切れる〜
第49回岐阜県関市刃物まつり(平成28年10月8日・9日実施)より