脂ののったお魚をたれに浸し、香り打開すりごまをまぶしたりゅうきゅう

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豊富な湯量を誇る温泉とブランド魚の宝庫 大分県

九州というと、「魚がおいしい」というイメージを持たれる方が多いようです。
その中でも大分県は、関サバ、関あじ、城下カレイといったブランド魚の宝庫。

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また、「おんせん県」を名乗るほど、県内各地に湯量が豊富な温泉がたくさんあります。
特に、別府は古くからの保養地として有名な場所です。
まったりムードの中で、大分のブランド魚をいただこうと足を伸ばしてみました。

今回は、北九州空港(福岡県)からJR九州の特急で別府に移動しました。
小倉からだと特急で約1時間。大分空港からでもシャトルバスで1時間ほど。

さすが、温泉県を名乗るだけはあります。駅前には無料の天然温泉(手湯)が。

温泉地ならではの、ゆったりした雰囲気が最高です。

別府駅前「侘び寂び屋」で、大分名物「りゅうきゅう」と「とり天」を堪能

さてさて、さっそく大分の美味しい物をいただくことにしましょう。

今回、別府まで足を伸ばしたのは、大分名物「りゅうきゅう」と「とり天」を堪能するため。
「りゅうきゅう」とは、お刺身を、すりごまたっぷりのタレにつけこんだ大分の郷土料理。

それにしても、大分県なのに沖縄県を表す「りゅうきゅう」とはこれいかに?
名前の由来も諸説あって、大分の漁師さんが南の海まで下って、琉球王国(現在の沖縄県)の漁師さんに作り方を習ったという説と、利休和え(ごまをたっぷり使った和え物)から来たという説が有力なようです。

対して「とり天」とは、文字通り鳥の天ぷらなのですが、九州地方全体では鳥肉をよく食べるものの天ぷらにする地域は、私が知る限り、大分県特有のようです。

そんな郷土料理をスタイリッシュにアレンジして出してくださる「侘び寂び屋」さんというお店が、別府駅前にあると聞きました。

早速アポをとっておじゃますることに。
別府駅前から、海へ向かってまっすぐの通りに、お店があります。

侘び寂び屋さん(大分県別府市北浜1丁目10-12 TEL 0977-21-3538)
今回おじゃまさせていただくお店です。

カウンター席以外に、小上がりも用意されています。

明るい雰囲気ですし、表通りに面しているお店なので、夜に女性だけで入店しても、安心してお食事を楽しめるお店ですね。

この日は、お昼に取材に来たので、夜のメニューは楽しめませんでした。
地元の美味しいお魚はもちろん、九州一円の美味しい食材をアレンジしたお料理が楽しめます。
デザートにも配慮されているのは、好感が持てますね。

ランチメニューも、大分ならではの食材を使ったお料理が。
今日は、「りゅうきゅう丼ぶり膳」(800円)と、とり天膳(900円)をお願いしました。

りゅうきゅう丼ぶり膳(800円)

りゅうきゅう丼ぶりに、茶碗蒸し、サラダ、副菜、香の物がついてきます。

とり天膳(900円)

鳥肉を天ぷらに仕立てたものをメインに、茶碗蒸し、サラダ、香の物がついてきます。

早速実食です。まずはとり天膳から。

鳥肉というと、唐揚げとか竜田揚げしかイメージが湧かないんですが、これは実食して驚きました。
さくさくとした天ぷらの衣の下から現れるのは、うまみたっぷりの大分の鳥肉。

お好みで大分名産の「かぼす」を絞っていただきます。

すっかりメジャーになった「ゆずこしょう」をつけていただきます。
いただけばいただくほど不思議なんですが、衣がさくさくとしていて、鳥肉も油濃くないのに鳥肉の旨味はしっかり感じるんですね。

九州地方は、天ぷらを「天つゆ」でいただく地方が多いんですが、やはり天つゆが添えてありました。

天つゆに浸しても、衣のさくさくとした感じが消えない。

しかも、天つゆの旨味を吸って、鳥肉の旨味がさらに強く感じます。
副菜のさつまいもの練り物や、茶碗蒸しも絶妙で、お箸が進みますね。

サラダもおいしい。地元の新鮮なプチトマトや葉物野菜に、ほどよい酸味がきいたドレッシングが、とり天によく合います。

さて、続いてお目当ての「りゅうきゅう丼ぶり膳」をいただきます。

脂がのったブリを、醤油ベースのタレに漬けて、すりごまをたっぷりふったものに、ネギ、大葉、海苔をあしらってあります。

ごまとブリの濃厚な風味の後に、海の香りの海苔、そして大葉のさっぱりした風味が追いかけてきて
後味をきれいにまとめてくれますね。
本当に不思議なんですが、ごまの風味が濃厚なのに、まったくしつこくない。

白いご飯の上に、りゅうきゅうをのせてみました。

ごまがたっぷりふってあって、かつ、りゅうきゅうのタレがしみこんでるのがわかりますね。
ご飯の量も多すぎず、少なすぎず。女性の方でもおいしく完食できる絶妙な量なのもうれしい。


りゅうきゅう丼ぶり膳は、とり天膳とおなじく、茶碗蒸し、サラダ、そして白和えと香の物がついてきます。
とり天膳、りゅうきゅう丼膳とも、副菜の和え物、茶碗蒸し、サラダまできちんと作られていて、食べ応え抜群でした。

自宅で「りゅうきゅう」を楽しみたい

実に美味でした。東京に戻っても、「りゅうきゅう」と「とり天」のお味が忘れられません。
なんとか自宅でも楽しめないものか。

「とり天」は、ハードルが高すぎる気がしますが、「りゅうきゅう」は、タレさえ作れれば、なんとかなるかも。
さっそく、自宅で再現してみました。

りゅうきゅうの材料

新鮮なおさしみ1人前
(ぶりなどの脂がのった魚が一番合う気がします。他にはアジなどの青魚も)

濃い口しょうゆ 大さじ4
みりん 大さじ1
すりごま 大さじ1

お好みで、万能ネギや、しょうがなどを加えてもおいしいです。

作り方

1.調味料を合わせます。

ボウルに濃口醤油を入れます

みりんを加えます。

すりごまを加えてよく混ぜます。

りゅうきゅうのタレの完成です。

2.りゅうきゅうのタレをお刺身につけ込みます。

今回は、カンパチを使ってみました。

りゅうきゅうのタレをお刺身にからめたら、ラップをして冷蔵庫で寝かせます。

お刺身が飴色になったら完成です。

ごはんの上に盛りつけて、万能ネギをあしらって、簡単な丼にしてみました。

このままいただいても美味しいですが、お酒を飲んだ後に、熱いお茶をかけていただくのもまた美味しいです。

ご自宅でりゅうきゅうを作る時の注意

ご自宅で、りゅうきゅうを作る時は、容器などを清潔に洗ってからつけ込んでください。
(可能なら、食器用のアルコール消毒スプレーを使うとベストです)

お刺身をつけ込む際は、冷蔵庫で保存してください。

本来、お刺身があまった時に、翌日に食べるために作ったりする料理ですが、鮮度が低いお刺身の場合、翌日までつけ込むと生食には向かない状態になる可能性があります。

いかがでしたか? お刺身をちょっと違った風味で楽しみたくなったら、ぜひ試してみてくださいね。
大分にお出かけされる機会があったら、ぜひ本場の「りゅうきゅう」や「とり天」も召し上がってみてくださいね。