「なんだか同じ女性としてそんな彼女の姿を見ていたら、きっと本当に大知のことが好きでいつか結婚できると信じていたのに、裏切られた絶望が胸に突き刺さるように感じられて辛くなってしまったんですよね」

そしてお店の人達に謝り、外に出て3人で話をしたそう。

「どうやら大知は、私と付き合う前からその彼女に『別れてくれ』と何度も言っているようでしたが、結局は『絶対に別れない』と粘る彼女と定期的に会っては体の関係も続いていたみたいでした。大知は『そんなの嘘で、こいつの妄想話だ』と私に言い訳してきましたが、直感的に私は嘘をついているのは大知の方だと思ったんです」

◆彼氏の本性がかいま見えた瞬間

そしてその彼女に対する大知さんの冷酷な態度に、亜沙美さんは引いてしまいました。

「いくら揉めているとはいえ、その彼女を力任せにねじ伏せたり足蹴にしたり罵倒したりと…。それがいつもやっていますよって感じの慣れきったナチュラルな暴力というか、あぁこれが本性なんだろうなと怖くなってしまったんですよね」

実際のところ亜沙美さんは大知さんから暴力を受けたことは一度もありませんでしたが、今回の件をきっかけに大知さんと別れてしまったそう。

「私が『もう別れたい』と言って旅行の途中で帰って、そのまま大知からの連絡を無視する形で終わったのですが…」

さていったい何が起こったのでしょうか?

「その後、風の噂で大知と例の彼女が結婚したらしいと聞いて、正直ゲッと思いました。その瞬間パッと頭に浮かんでしまったのですが、もしかして大知が私に渡そうとしていた指輪を彼女に使い回したんじゃない?って。もしやっていたら本当に最低ですよね」と苦笑いする亜沙美さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop