毎月、映画とワインのマリアージュを提案していく連載・ほろ酔いシネマ。

今月は、N.Y.の5ツ星ホテルが舞台のドキュメンタリー映画『カーライル ニューヨークが恋したホテル』。

そのホテルにゆかりのあるカジュアルなロゼワインで、おうちシネマを満喫しよう!

▶前回:Vol.8「『グラン・ブルー』×フランスのアビス」


N.Y.最高のホテルを描くドキュメンタリー映画


:おや、クラリン(嵩倉)。先月、「ちょっくら沖縄」とか言ってたから、真っ黒焦げかと思ったら、相変わらず青白いままだね。

嵩倉:えへへ。それがですね、女子会友達が草津温泉に誘ってくれまして……沖縄は止めて温泉に行ってきたんですよ。いや〜、日本の旅館は癒される〜。

:日本の温泉旅館はいいよね。

嵩倉:そんな柳さんは、いつも海外のゴージャスホテルにお泊まりじゃないですか。

:ゴージャスっていってもたかが知れてるよ。パリのパラスホテルでは一度だけ“クリヨン”に泊まったことがあるかな。まあ、いつもひとりだし、泊まっても一泊か二泊だから、豪華ホテルを満喫とまではいかないよね。

今、一番気に入ってるのはシャンパーニュ地方にある「ロワイヤル・シャンパーニュ」というホテル。窓の向こうは一面ブドウ畑。朝食時にもお好みのシャンパーニュが飲める。

嵩倉:すてき〜。

新谷:ところで、おふたりはニューヨークの「ザ・カーライル」というホテルに泊られたことは?

嵩倉:セレブ御用達の有名ホテルですよね。もちろんございません。

:僕もありませんね。ニューヨークは縁がなくて。

新谷:ケネディをはじめとする歴代大統領、英国のロイヤルファミリー、ジョージ・クルーニーやジャック・ニコルソンといったハリウッドスターまで、各界のセレブが絶賛するホテルですが、そのドキュメンタリー映画があるんです。

それが『カーライル ニューヨークが恋したホテル』で、監督はマシュー・ミーレー。

ドキュメンタリーって途中で飽きてしまう作品も多いんですけど、この映画は総勢107名の宿泊客や従業員が登場して語り、ひとつひとつのエピソードが面白くてぐいぐい引き込まれてしまいます。


今月のワインシネマ『カーライル ニューヨークが恋したホテル』


歴代米大統領、英国王室、映画スターなど世界のセレブに愛されているN.Y.の5ツ星ホテル「ザ・カーライル ア ローズウッド ホテル」。

なぜ彼らはこのホテルを選ぶのか。ジョージ・クルーニーなど世界的スターを含む総勢107名の顧客や従業員がホテルの魅力について語るドキュメンタリー。

どれもゴージャスで貴重なエピソードばかり!




なぜ、そのホテルは訪れる人を魅了するのか?伝説の5ツ星ホテルの秘密に迫るドキュメンタリー


宿泊者の“秘密”は必ず守る、究極のおもてなしに感動し、著名人自らが語る“カーライル”の想い出に「そんなことがあったのか!」と喫驚。

『ベーメルマンス・バー』にまつわるエピソードも登場する。



:ケネディ大統領とマリリン・モンローの密会用通路がこのホテルにあったってほんとかね。

嵩倉:(スマホでググりながら)へ〜、有名なMETガラでも常宿にしてるセレブが多いんですね。

それにダイアナ元妃とマイケル・ジャクソン、スティーブ・ジョブズがたまたま同じエレベーターに乗り合わせたってすごすぎません?

新谷:エレベーター係の話で出てくるんですけど、当初、3人はひとことも話さず沈黙が続いたそうです。すると突然、ダイアナ元妃が……。この先は観てのお楽しみ。


ラベルはカーライル風カジュアルなロゼワイン


:カーライル、カーライル……。さっきからなにか引っかかってて。そうだ、“カーライル”には有名なバーがありますよね?

嵩倉:それって『ベーメルマンス・バー』では?『マドレーヌ』シリーズで有名な作家・ルドヴィッヒ・ベーメルマンスが、バーの壁全面にイラストを描いたとか。

:それそれ。そのバーにインスパイアされたラベルのロゼワインが売り出されたんですよ。シャトー デスクランの「ザ ペール」がそうです。


「Château d'Esclans The Pale(シャトー デスクラン ザ ペール バイ サーシャ リシーヌ)」


南仏プロヴァンス地方で高級ロゼワインを造り続けるシャトー デスクランの新アイテム、それが「ザ ペール」だ。

美しいサーモンピンク。フレッシュで芳醇なアロマ。優しくフルーティな味わい。ブランドアンバサダーのおすすめペアリングは鮨だとか。

2,200円/MHD モエ ヘネシー ディアジオ TEL:03-5217-9732



新谷:ずいぶんポップなラベルとボトルですね。

:シャトー デスクランは「ウィスパリング エンジェル」……「天使のささやき」という名前の辛口ロゼワインを全世界で大ヒットさせた、高級プロヴァンス・ロゼのパイオニア。

そのカジュアルラインとして登場したのが「ザ ペール」なんです。名前の由来はその昔、英国人らがロゼワインのことを「ペール(淡い)」と呼んでいたことに因むらしい。

先ほども話したようにラベルのモチーフはザ・カーライルのバーで、『ザ・ニューヨーカ』の表紙を飾ったイラストが元ネタだとか。

ボトルは禁酒法時代のバーボンに似せ、コルクではなくスクリューキャップ。クラリンでも楽ちんに開けられるよ。

嵩倉:お値段も手頃!このワイン飲みながら映画観ましょう。

:こないだ来日したブランドアンバサダーが、ロゼワインには鮨が合うと言ってたから、テイクアウトの握りをつまみながら……。ところで、新谷さんが泊まってみたいホテルは?

新谷:ソフィア・コッポラ監督の『SOMEWHERE』に登場するホテルで、ハリウッドの「シャトー・マーモント」。本を数冊持ち込んでまったりと過ごしたいです。

:コッポラ家は東京だと新宿の“パーク・ハイアット”がお気に入りでしたね。クラリンは?

嵩倉:南アフリカの「シンギータ・キャッスルトン」。野生動物たちの存在が身近に感じられるネイチャーホテルで、夜は野生のチーターやライオンの唸り声を聞きながら、ワインを味わって過ごしたいです〜。

:ひぃ〜、ワイルド。


マリアージュをお届けするのはこの3人!


幅広い分野の雑誌で執筆を手掛け、切れ味あるコメントに定評があるワインジャーナリスト。ワイン取材で世界中のホテルを訪れるが、仕事以外でステイしたいのが本音のところ。




映画を中心に、書いたり取材したり喋ったり。ひとり飲みは全然平気なタイプ。“カーライルデビュー”を目指して、まずは都内ホテルのバーを開拓!素敵な出会いあるかしら。




本連載の担当になって6年目に。ワインの知識は少しずつでも着実に積みあがっていると信じ、柳氏にしがみつく日々。今月は“カーライル”で働くスタッフのプライドに感激。


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