男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:結婚2年目、突然「離婚」を突きつけられた妻。最近、夫の帰宅が遅かった理由は…




どこから、私は人生を間違えたのだろう。

36歳の誕生日を迎えた私は、ぼうっと窓の外を眺めていた。

恵比寿の1LDKから見える景色は、決して眺望が良いとは言えない。

「なんで私だけ…?」

周りはみんな結婚して、港区にある良い家に住んでいる。

タワマンの人もいれば、低層マンションの人もいるけど、ただ確実に言えるのは、みんな私よりはるかに良い暮らしをしている、ということ。

私は、外資系ラグジュアリーブランドで頑張って働いてきた。それに、人には優しくしてきたし、悪いこともせずとにかく必死に毎日を生きてきた。

でもここ最近、「この先、私は一生誰にも愛されずに死んでいくのでは?」という恐怖と孤独と戦っている…。


Q1:男の最初の女に対する印象は?


千葉県出身の私は、大学は青山学院大学へ進み、それなりに華やかな人生を歩んできた。

彼氏も途切れたことはなかったし、幸せだった。でも、31歳から34歳まで3年間交際した彼氏と別れたあたりから、歯車が狂い出した気がする。

別れた時は、正直、彼氏なんてすぐにできると思っていた。

しかし、元彼と付き合う前の30歳の時に感じていたモテと、35歳になってから舞い戻った恋愛市場で感じるモテには、かなりの格差があった。

彼氏と別れたあと、食事会にも数えられないくらい行ったし、周りにも「紹介して」とたくさんお願いした。だけど、なかなかいいと思える人に出会えなかった。

そんな時、運命的な出会いがあったのだ。

相手は、31歳の、広告代理店に勤める秀一郎。

半年前に、マッチングアプリで出会い何度かデートしている。




最初に会った時から、私は秀一郎に惹かれていた。身長は、180cmくらいあり、顔もいい。

そのうえ、爽やかな笑顔で、年上の私に優しく話しかけてくれた。

「なんでこんなにも素敵な人に、彼女がいないの…?」
「それ、答えがわかれば僕が教えてほしいくらいです(笑)」
「本当に今いないの?」
「彼女とかいたら、マッチングアプリはしませんよ」

秀一郎は、見た目の良さに加えて、誠実さまで備えているようだ。

「秀一郎くんって、絶対モテるよね」
「どうですかね…モテないほうではないかもですが」
「だよね」

年下のイケメンで、モテないはずがない。「私で大丈夫かな?」という不安を感じ始めた。

「美和さんは?なんでマッチングアプリ使ってるんですか?」
「出会いが全然なくて…。食事会とかもしてみたんだけど、全然ダメで。年齢も年齢だし、そろそろ結婚もしたいなって」
「出会い、ありそうですけどね」
「紹介もたくさんしてもらったけど、ピンと来なくて。だからアプリで、本気になれそうな人だけを厳選しているの」
「そうだったんですね」

そこから私たちはお互いの恋愛観や過去の恋愛の話をし、初対面だけどかなり仲良くなった。




「秀一郎くん、良ければ来週ご飯行かない?」

以前の私だったら、絶対に自分から誘ってなんていなかった。でも今は、時間がない。それに女から積極的に攻めるのは、今の時代アリだと聞く。

ドキドキしながら返事を待っていると、秀一郎は優しく微笑んだ。

「もちろんですよ。いつにしますか?」

こうして、私は秀一郎とデートをすることになった。

何度か食事へ行くようになり、ようやく私にも彼氏ができてこの孤独ともサヨナラできると信じていたのに…。


Q2:男がデート中にヒシヒシと感じていたことは?


デートは、秀一郎が予約をしてくれた『いち太』になった。雰囲気も味も良い青山の超名店で、「お店選びのセンスまでいいのか…」と唸ってしまう。




「美和さんって、肌めちゃくちゃ綺麗ですよね」
「本当?秀一郎くんも、だいぶ肌綺麗だよね」
「一応、気にしてますので」

女性を褒めることも忘れない秀一郎とのデート。楽しくないはずがない。この日はお酒も入っていたこともあり、檜の一枚板が美しいカウンター席で隣同士、前回よりもさらに砕けた雰囲気になれた。

「じゃあその彼氏と別れた後、誰とも付き合っていなかったんですか?」
「そうそう…って、そろそろ敬語やめない?」
「一応、年上だったので。でもそうだよね、じゃあ敬語ナシで」
「秀一郎くんは?今は彼女いないって言っていたけど、いつからいないの?」
「半年くらいかな?」
「ちなみに…どんな子だったの?」

これを聞くのはどうかとも思ったけれど、気になる。特に年齢が気になってしまう。

「丸の内に勤めている、普通の子」
「へ〜そうなんだ。同じ年くらい?」
「いや、2個下かな」
「そうなんだ…」

秀一郎の2歳年下ということは、28歳くらいということになる。自分で聞いておきながら、落ち込んできた。

「…やっぱり秀一郎くんって、年下のほうが好き?年上はナシ?」
「そんなことないよ!さすがにすごく上は厳しいかもだけど、そこまで僕と美和ちゃん変わらなくない?」

なんて優しいのだろう。嘘でもいいから、そう言ってくれるのはかなり嬉しい。単純だけど、この言葉を聞いたら勝手に自信が湧いてきて、目の前のお料理もより一層輝いて見える。




「ちなみに、秀一郎くんって、今は誰かと付き合う気はあるの?」
「もちろん!真剣に彼女を探してるよ」
「それは結婚も含めて?」
「僕も31歳だし、それは考えるよね」

将来のこともちゃんと考えているし、かなり良い。このチャンスを逃すまいと、私はできる限りのことを秀一郎にしようと決めた。

気がつけば料理は終わり、いつの間にか秀一郎はお会計を済ませてくれていた。

「秀一郎くん、ありがとう!…この後、どうする?」
「どっちでもいいけど…せっかくだからもう1軒行く?」
「うん!行く!」

でもこの日、2軒目に行ったあとは、何もなくしれっと解散になってしまった。

ただ、この後も何度か食事デートをしたので、私は完全に期待していた。

毎回デートの前は、美容皮膚科へ行き、いろいろとして肌もスタイルも整えたし、常に気も使っていたと思う。

それなのに三度ほど食事へ行ってから、秀一郎からの連絡頻度が急に下がり、次の約束もないままだ。

しかも三度目の食事で、私は「来週誕生日だ」ということも伝えていた。

「私、来週誕生日でさ…」
「それはお祝いしないとだね!」

この時、たしかに秀一郎はそう言ってくれていた。でも蓋を開けてみれば、秀一郎は祝ってくれるどころか、連絡さえ来なかった。

どうして、私は、誕生日をひとりで過ごすような孤独な女になってしまったのだろうか…。

▶前回:結婚2年目、突然「離婚」を突きつけられた妻。最近、夫の帰宅が遅かった理由は…

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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男が去っていった、本当の理由は?