渡辺康啓さんに聞いた、繰り返し作るいつものレシピ。素材の“いちばんおいしい状態”を楽しむ。

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「料理を好きになったきっかけ」を教えてくれた6人のプロたちに、「お仕事抜きで作る料理って、何ですか」と尋ね、レシピをお聞きしました。6人6様のマイレシピは、永久保存版のおいしさ。今回は渡辺康啓さんから教わる、素材の“いちばんおいしい状態”を楽しむレシピを紹介。11月28日(月)発売 1215号の「料理が好きになるレシピ85。」特集よりお届けします。

1.自分のための簡単レシピ「肉入り味噌汁+白ご飯」「焼き芋の味噌汁+ごまの炊き込みご飯」

肉入り味噌汁+白ご飯焼き芋の味噌汁+ごまの炊き込みご飯

「自宅で食事をするときは、1合分のご飯と、お椀に表面張力が生じるほどたっぷり注いだ味噌汁が定番」だという渡辺さん。味噌汁作りはそれぞれの具が最高においしくなるように。「簡単に見えて、もはや修行と言ってもいいくらい真剣に作っています」

肉入り味噌汁+白ご飯〈材料〉1人分豚こま切れ肉…40g長葱…5cm長さかぼちゃ…適量味噌…適量菜種油…小さじ1米…1合

〈作り方〉1. 長葱は斜め薄切りにする。2. 鍋に菜種油を中火で温め、豚肉と長葱を入れて、葱が香ばしく、甘い香りがしてくるまで炒める。3. かぼちゃを入れて水300㎖を注ぎ、沸騰したら弱火に落とし、かぼちゃが柔らかくなるまで煮る。4. 味噌を溶き入れて味を調える。5. ご飯を炊く。米を洗ってザルにあげる。6. 鍋に入れ、水180㎖を注ぐ。7. 強火にかけ、沸騰したら蓋をして弱火に落とし、14分炊く。8. 火を止めてそのまま10分置き、蒸らす。

POINT:豚肉と葱を炒めたときにできる焦げも大事な旨味。「ヘラでしっかりこそげてください」

焼き芋の味噌汁+ごまの炊き込みご飯〈材料〉1人分焼き芋…好みの量椎茸…1個小松菜…2株程度いりこと昆布のだし…300㎖味噌…適量青葱…適量米…1合炒りごま…大さじ1

〈作り方〉1. 小松菜は2cm幅に切り、味噌汁のお椀に入れておく。2. 鍋にだしを入れ、薄切りにした椎茸を加えて中火にかける。3. 沸いたら弱火に落とし、5分煮る。4. 鍋に味噌を溶かし、味を調える。5. 焼き芋をちぎって鍋に加え、焼き芋が温まったら火を止めて小松菜の入った器に注ぎ、刻んだ青葱をのせる。6. ご飯を炊く。※ご飯の炊き方は上と同じ。6のタイミングで炒りごまを加える。

POINT:刻んだ小松菜をお椀に入れ、上から汁を注ぐ。「しゃきしゃきの食感もごちそうです」

2.不調のときの養生レシピ「卵と葱のトック」「茶碗蒸し」

卵と葱のトック茶碗蒸し

体調を崩したり、風邪気味だったり。「そんなときは栄養があって、胃に優しい卵がとても頼りになります」。ふるふると飲めるほどにやわらかな具なし茶碗蒸し、つるんとのどごしのいいトック。肌寒い日にも活躍してくれそうな、優しい味のレシピです。

卵と葱のトック〈材料〉1人分トック…好みの量かつおだし…300㎖卵…1個九条葱…1本炒りごま…適量薄口醤油…少々塩、胡椒…各少々

〈作り方〉1. トックは袋の表示通り、水で戻す。2. 鍋にだしを入れ、中火にかける。3. 沸騰したら薄口醤油、塩で味を調える。4. トックを入れて柔らかくなるまで煮る。5. 卵をボウルに割り入れ、水小さじ1を加えてときほぐす。6. 沸騰させた4の鍋の中に回し入れ、卵が固まるまでかき混ぜないでおく。7. 九条葱の薄切りを加え、サッと煮たら器に盛り付ける。8. 炒りごまをふり、胡椒を挽く。

POINT:卵液を鍋に流し入れたら決してさわらないこと。箸などで混ぜるとだしが濁ってしまう。

茶碗蒸し〈材料〉1人分卵…1個かつおだし…卵の重量の5倍量薄口醤油…少々塩…少々生姜の搾り汁…一片分(好みの量)

〈作り方〉1. ボウルに卵を割り入れ、重さを量る。2. 重量の5倍の重さのだしを加え、薄口醤油、塩で味を調える。3. ザルでこして器に注ぐ。4. 蒸気の上がった蒸し器に入れ、蓋を少しずらしてのせる。中~強火で20分ほど蒸す。5. 竹串などを刺してみて、透明なだしが出てくれば固まっているので優しく取り出す。濁った汁が出てくる場合、もう少し蒸す。6. 生姜の搾り汁を茶碗蒸しの表面に垂らす。

POINT:竹串を刺し、透明な汁が上がってきたら蒸しあがり。濁っていたらさらに2、3分蒸す。

3.ストックしたいたれ&ドレッシング「自家製 マヨネーズ」「搾菜の中華風ソース」

「マヨネーズを自分で作ると、そのおいしさにもう後戻りはできません」渡辺さんの最近のお気に入りは、酸味に黒酢を使うこと。「なんともいえないコクが料理をおいしくしてくれます」一方の搾菜ソースも蒸した魚や肉、じゃがいもなどと好相性!

自家製マヨネーズ(左)〈材料〉作りやすい分量卵…1個米油…140gオリーブ油…20g黒酢…小さじ2塩…2g

〈作り方〉すべての材料を順に深めの容器に入れ、バーミックスなどのハンディブレンダーを静かに沈めてから撹拌する。全体が混ざったらブレンダーを上下させ、さらによく撹拌する。

搾菜の中華風ソース(右)〈材料〉作りやすい分量搾菜…50g生姜(すりおろし)…小さじ1黒酢…小さじ2醤油…小さじ1と1/2ごま油…小さじ1きび砂糖…小さじ1/2

〈作り方〉1. 搾菜をみじん切りにし、ボウルに入れる。2. 生姜、黒酢、醤油、ごま油、きび砂糖を加え、よく混ぜる。

今回はマヨネーズに黒酢を使用。米酢やワイ ンビネガーなどで作ってもおいしい。

自家製マヨネーズのアレンジ料理:糠漬けのタルタルソース〈材料〉作りやすい分量自家製マヨネーズ…大さじ2〜3糠漬け…きゅうり、人参の薄切り(お好みで)各2枚程度玉葱…1/16個程度

〈作り方〉1. 自家製マヨネーズに糠漬け(今回はきゅうり、人参を使用)と玉葱のみじん切りを適量混ぜ、タルタルソースを作る。2. 牡蠣フライなどに添える。

POINT:ホイルに油を塗るのは鱈を焦がさないため。 紹興酒は臭み消しと蒸し焼きのための水分。

搾菜の中華風ソースのアレンジ料理:鱈のホイル焼き〈材料〉1人分鱈…1切れ玉葱…1/4個かぶ…1/4個蓮根…5mm厚さの輪切り2枚舞茸…適量紹興酒…小さじ1塩、胡椒…各少々菜種油…適量搾菜の中華風ソース…適量

〈作り方〉1. アルミホイルを広げ、中央に菜種油を薄く塗る。2. 薄切りにした玉葱を1の油を塗ったところに置き、その上に鱈をのせる。3. くし形切りにしたかぶ、半月切りにした蓮根、舞茸を鱈の上にバランスよくのせ、紹興酒を振り、塩胡椒をする。4. ホイルを閉じて包む。5. 魚焼きグリルに入れ、15分焼く。開けてみて魚に火が通っていたら、搾菜ソースをかける。

4.おもてなしレシピ「玉葱と茹で卵の グラタン」「スパイス唐揚げ」

ひと足早いクリスマスのようなおもてなしメニュー。著書でも人気の塩唐揚げのアレンジ版スパイス唐揚げ。大皿でどどん!「茹で卵と玉葱が具のシンプルなグラタンです」ベシャメルソースが最高にまろやかでおいしい!」

玉葱と茹で卵のグラタン〈材料〉作りやすい量玉葱…(中)1個ベーコン…80g卵…3個薄力粉…20g無塩発酵バター(なければ無塩バター)…20g牛乳…400㎖ローリエ…1枚にんにく(すりおろし)…小さじ1/2ナツメグ…少々塩…適量胡椒…少々パン粉…適量とろけるチーズ…適量

〈作り方〉1. 玉葱は薄切りにする。ベーコンは2cm幅に切る。冷蔵庫から出した卵を沸騰した湯に入れ、8分茹でる。冷水にとり、粗熱が取れたら殻を剥く。2. 鍋にバターを入れて中火にかけ、溶けたら玉葱、ローリエ、塩ひとつまみを加えて炒める。3. しんなりとして甘さが出たら、ベーコンを加える。3分ほど炒め合わせたら薄力粉を振り入れ、全体になじませる。4. 粉っぽさがなくなったら、牛乳を入れる。沸騰するまで混ぜながら火にかけ、とろみをつける。にんにく、ナツメグを加えて混ぜ、塩で味を調える。5. 耐熱皿に茹で卵を半分に手で割って並べる。6. 4 のベシャメルソースを注ぎ、全体になじませたら、上にとろけるチーズを敷き詰め、パン粉を全体にのせる。7. バター(分量外)をちぎってところどころにのせ、胡椒を挽く。あればローリエ(分量外)をのせる。8. 200度に予熱しておいたオーブンに入れ、20〜25分程度、表面に香ばしい焼き色がつくまで焼く。

スパイス唐揚げ〈材料〉作りやすい量鶏手羽中…300gA[塩…3g、胡椒…少々、生姜(すりおろし)…小さじ1、にんにく(すりおろし)…小さじ1/2、クミンパウダー…小さじ1/2、コリアンダーパウダー…小さじ1/2、カイエンペッパー…小さじ1/4、パプリカパウダー…小さじ1/2]薄力粉…大さじ1揚げ油…適量

〈作り方〉1. 手羽中をポリ袋に入れ、Aの材料をすべて加え、全体になじむように混ぜ、揉み込む。2. 冷蔵庫に入れ、一晩なじませる。3. 2 に薄力粉を加え、袋を振って全体になじませる。4. 揚げ油を180度に温め、こんがりとするまで揚げる。

photo:MEGUMI text:Yuko Ota編集部 Hanako編集部

東銀座にある編集部からお届けします!

No. 1215

料理が好きになるレシピ85。/郄橋海人 (King & Prince)2022年11月28日 発売号 忙しい毎日の中で、自炊するのは大変なこと。でも「食べる」ことからは逃れられないからこそ、ラクに、少しでも美味しくできれば、心の重荷が減って、あなたの料理の時間が、ちょっと楽しいものになるかも。今号で料理のプロ&料理上手の方々から聞いたのは、彼らが肩ひじ張らないときに作りたい、つまり“いつもの”レシピです。あなたの毎日をちょっと楽しく健やかにしてくれる、そんなきっかけをこの一冊で見つけてみませんか。 試し読み