新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生して以来、ぐっすり眠れない日が続いている…そんな人も多いかもしれません。今のような状況では、不眠に陥ることがあっても無理はありません。

イギリスの睡眠科学の専門家、ソフィー・ボストック博士に、よくある6つの「眠れない理由」と、問題を克服するための有効な方法を教えてもらいました。

【INDEX】


1. 生活習慣が変わった
2. 運動不足になった
3. 仕事用のスペースがない
4. 「眠れない」と思い込んでしまっている
5. 不安を感じている
6. コーヒーを飲みすぎている

1. 生活習慣が変わった

「睡眠には、ルーティンが非常に重要なのです」とボストック博士は指摘する。人によっては、在宅勤務をするようになったことで生活サイクルがすっかり混乱してしまった可能性があるという。

毎日決まった時間に同じ行動を取ることは、メラトニンなど眠気を促すホルモンを放出し始めるタイミングを体に認識させることになる。

対処法

毎日ほぼ同じ時刻(ずれても1時間以内)に起床し、だいたい同じ時刻に同じことをする(食事や運動、屋外で過ごすなど)ことが重要。そうすることで体が眠るタイミングを認識するようになれば、寝つきもよくなるという。

2. 運動不足になった

ほとんど何もせずに1日を過ごしてしまうと、「睡眠圧」、つまり体に蓄積していく“眠ろうとする力”が大幅に低下するそう。

ボストック博士は、「活発に動くことなく1日を過ごし、ベッドとソファの間を移動するくらいの運動しかしなかったとすれば、脳も体も、睡眠を取ってもいいほど十分には活動していないと考えるでしょう」と説明。

対処法

運動する時間を作ること。博士によれば、「1日20〜30分の散歩でもいい」そう。

3. 仕事用のスペースがない

この状況を改善できるかどうかは、住環境によって大きく異なります。狭いマンションやシェアハウスなどで在宅勤務をしているのであれば、自分の寝室で仕事をするほかないのかもしれません。

それでも、脳が「ここが眠る場所」だと認識できるようにすることは重要なこと。そのためボストック博士は、しっかりリラックスするため、そのスペースを仕事から切り離すべきだとアドバイス。

対処法

できればノートPCを持ち出し、ベッドルーム以外の部屋で仕事をするのがおすすめ。仕事ができる静かな場所が他にはないというなら、なんとかしてスペースを作り、ベッドの上では仕事をしないようにしてみましょう。

4. 「眠れない」と思い込んでしまっている

パンデミックが続き、不安や混乱に駆られる現在の状況で、眠れない夜があっても無理はない。ベッドの中で「眠れない」と思い続けても、それは何の役にも立ちません。大切なのは、こうした状況が永遠に続くわけではないと切り替えること。

対処法

ボストック博士は、眠ることができずに「何時間もゴロゴロと寝返りを打っているのはやめるべき」だという。ベッドに入って20分くらいたっても眠れないなら、いっそ起きてしまうのが得策。

明るすぎないライトの下でしばらく読書をするなどして、眠気を感じたらベッドに戻るようにするのがいいという。

5. 不安を感じている

ストレスと体内時計、睡眠圧は、いずれも私たちの眠りに影響を及ぼします。精神的に安定した状態を維持できている時間があったとしても、私たちは心の奥底で、地球の未来や人々の健康に関する不安を抑えようとしている可能性が。

こうしたとき、脳は日中ずっと警戒を強めた状態となる。そうなると、夜になっても、スイッチを切り変え熟睡して体を回復させるための睡眠を取るのが難しくなってしまいます。

対処法

ボストック医師は、ニュースをチェックする回数を減らすこと、できれば1日1回だけに減らし、「就寝1時間前には何も見ないこと」を推奨。代わりに何か本を読んだり、ポッドキャストを聴いたりするなど、リラックスするための時間を作るといいという。

もう1つおすすめなのが、「その日の片付けをする」こと。これは、翌日のために覚えておくべきすべてのことを書き出しておき、もし眠る前に何かが気になり始めたとしても、メモを思い出せるように(それ以上、考えなくてもいいように)するというもの。

また、真夜中に胸がドキドキしながら目が覚めた、という経験をしている人もいるかもしれません。そのときには、呼吸法を試してみるのがいいという。

ボストック医師が勧めるのは、2カウントで息を吸い、3カウントで息を吐き出す「2:3呼吸法」。数えることと呼吸に集中することが、落ち着きを取り戻すのに役立つという。

6. コーヒーを飲みすぎている

ずっと以前から言われていることですが、これもやはり重要なポイント。ボストック医師は、次のように説明しています。

「カフェインは一時的に、睡眠圧を覆い隠します。そのため脳は、眠くないと思い込んでしまうのです」
「体内のカフェインが減り、その効果が切れれば、またそれを欲することになります。このサイクルは簡単に繰り返されるようになりますが、夜寝ようとするときに体内に多くのカフェインが残っていれば、睡眠の質は悪くなります」

コーヒーをたくさん(2〜3杯以上)飲んでも眠れるという人もいますが、飲んでいなかった場合ほど、睡眠による健康回復効果が得られていないことは、確実だという。

対処法

コーヒーは1日2〜3杯まで、なるべく午前中に飲むようにしましょう。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation:Hearst Contents Hub