グレープくんとフルル

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2017年、東武動物公園に暮らす一羽のフンボルトペンギンが注目を集めました。名前は「グレープ」。この春、TVアニメ「けものフレンズ」とコラボレーションした東武動物公園に、ペンギンエリアにフンボルトペンギンの女の子「フルル」のキャラクターパネルが登場しました。グレープは登場以来そのパネルをじっと見続け、その姿がまるで一目惚れのようだと話題になったのです。

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そのグレープ、実は21歳の高齢ペンギン。人間に換算すると80歳ほどで、およそ20年と言われているフンボルトペンギンの寿命から見てもかなりのおじいちゃんです。この歳でも恋するなんて珍しいと思うでしょうか?いいえ、東武動物公園のフンボルトペンギンのカップルには年齢なんてなんのその。今でも現役で恋する高齢ペンギンはたくさんいるのです。

最高齢カップルは25歳のおばあちゃんペンギン「ミノリ」と18歳のおじいちゃんペンギン「アオノスケ」のペア。年の差ペアもいて、人間にして75〜80歳くらいのメスと、人間にして25歳くらいの若いオスとのペアが日々羽繕いし仲睦まじい様子を見ることができます。

さて、そうなるとグレープの若かりし頃の恋愛事情が気になるところ。パネルのフルルが現れる以前のお話をご紹介しましょう。グレープには、その昔「ミドリ」という愛し合うメスペンギンがいました。実は、ペンギンは一度ペアになったらよほどの事がない限り離反しない一途な愛を貫く生き物。ですが、グレープはある時ミドリを若いオスのペンギン「デンカ」に取られてしまったのです。2016年には2羽の間に「ビール」という子どもまでできました。そう、グレープは悲恋のペンギンだったのです。

失意のグレープの前に突如として現れたのが、ペンギンパネルの「フルル」。けものフレンズのイベント終了後も、数多くの来園者が「フルル」を見つめるグレープを見に来ることもあり、フルルのパネルだけは今でも、ペンギンエリアの中に設置されています。そして、今日もグレープはフルルを見つめ続けているのです。

ペンギンの飼育担当者は「グレープくんにとって、パネルの前が本当にお気に入りの場所なのだと思う。21歳と高齢のフンボルトペンギンなので、ご飯をたくさん食べて、これからも元気で長生きしてもらいたい」と、グレープのこれからを見守っています。【ウォーカープラス編集部/国分洋平】