【インタビュー】家入レオ「今までの曲全て、愛をこめて作ってきたって自信を持って言える」
月9ドラマ「恋仲」の主題歌「君がくれた夏」や、‘14年のドラマ「Nのために」の主題歌「Silly」など最近では大人っぽく、しっとりとした曲を発表してきた家入レオさん。そんな彼女の2016年第一弾シングル「Hello To The World」はガラリと印象を変えて、元気でパワフルなナンバーに。今年1年の新たなスタートを予感させてくれます。そんな家入さんに、新曲のこと、これまでのこと、これからのこと、そして音楽のことをたっぷりと語っていただきました。


『デビューして5年目…新たな一歩を踏み出したい』


――2016年第一弾シングルとして「Hello To The World」が発売されます。新しい年にふさわしい、明るくて元気が出る曲ですね。

家入:「新たな一歩を踏み出そう」ということで、今回、多保孝一さんを新たにお迎えして作った曲です。2月でデビュー5年目になるので、新しい自分を音楽にしていけたらいいなと思いこの曲を作りました。

――何か心境の変化などがあったのでしょうか?

家入:昨年は私自身、すごくいろんなことがありました。よく「アーティストってアルバム3枚作ると一区切りがつく」みたいなことを言われていて、正直なところ、私もビジョンが見えない時期があったんです。さらに、成人を迎え、大きな節目が同時に来て、「ワクワクするにはどうしたらいいのだろう」とずっと考えていました。



――なにか「新しい風」を吹かせたい、変えたい、みたいな?

家入:「君がくれた夏」(月9ドラマ「恋仲」主題歌)が、自分の予想していないくらい反響が高くて女性のファンの方が増えたんです。それをキッカケに5年目、「もっといろんな形を展開していきたい」と思って多保さんにお会いしてお話をさせてもらいました。そしたら本当にフィーリングが合う方で…。

――多保さんはどんな方ですか?

家入:ノリで曲を作らない。出たら出っぱなしのメロディーじゃなくて、音楽に対して敬意を払っている方です。そんな姿を拝見したら私、すごく嬉しくなっちゃって多保さんとスタジオに入ったら1.2時間で「Hello To The World」のベースがほとんど出来上がっちゃったんです。

――音楽家同士だからこそ、言葉じゃなくて音楽で会話するみたいな部分があったのでしょうね。

家入:多保さんはすごく癖を見抜くのが早くて「レオちゃんは鍵盤の隣同士の上下のメロディーをすぐ使いたがる。それは差別化に繋がらないから一度やめてみよう」とかすぐ言ってくださって、すごかったですね。多保さんから生まれてくるメロディーがすごくキラキラしてましたし、あらためて「制作が楽しい」と思えて、「いい風が吹き始めているな」という感覚はありました。


『飲みニケーションをよくしています(笑)。そういう場がすごい好き』


――そんな明るいメロディと前向きな歌詞の中にも、どこかちょっと“弱い自分”というのも正直に綴られてもいますよね。それはやはり家入さん自身が感じてきた思いの表現なのでしょうか?

家入:17歳でデビューさせていただけたことは本当に恵まれていたし、今でもすごく感謝しているんですけど、当時は17歳じゃ理解するのも難しいくらい大きなものの中にいて、その中で「結果を出すことができなかったり、流れに乗れなかったらどうしよう」という不安はすごく感じていました。いつももがいていましたね。だけど、どこか他力本願なところがあって…。常に羅針盤みたいな人を探していたり、依存しちゃったりとかがすごく強かったな…と今振り返ってみるとそう思います。

――そこから、どう自分を確立させていったのですか?

家入:結局、「誰といても、どんなにすごい偉人だと言われる人の言葉を聞いても、どこにいても、未来に対しての不安が消えないんだったら、自分のフィーリングで生きていた方がいい」と思ったんです。そういう気持ちになってからは「責任は全部自分で負っていく」と覚悟できたというか。もちろんいろんな意見に耳を傾けながらですけどね。そういうリアルタイムな気持ちがすごく表れている歌詞になっていると思いますね。

――覚悟が持てたきっかけは何だったのでしょう?



家入:やっぱり二十歳になったからでしょうか。マネージャーさんが変わったり身近なことの環境の変化もそうですし、あとはお酒の席にも行けるようになったからですかね(笑)。

――具体的なエピソードなどはありますか?

家入:今まですごく遠いと思っていた大人の方達とお酒を交えてお話をした時に、「この人は本当に私のことを考えてくれているんだな」とか仕事の面しか知らなかった大人の、愛情を感じることができて。私のことを信じて待っていてくれる人がいるんだというのがすごく嬉しかったんですよ。そこからですね。大人の熱い想いがすごく伝わってきて「うん、頑張ろう」って思いました。

――「飲みニケーションも」よくされているとか。

家入:飲みニケーションしてます(笑)。そういう場がすごい好きなんです。初対面でたくさんの方と飲んだりするのは結構キツイですけど(笑)、本当に内輪のスタッフさんとか、気心が知れている人が連れてきた友達とかだったら全然大丈夫ですね。

――お酒が入ると見えない部分とか本音が出てきやすいですよね。

家入:そう!見えますよね(笑)。それはあると思います。そしてそれが面白い(笑)。


『「嫌い」って言われたら絶対見返してやる!って思うタイプ(笑)』


――家入さんのPV や歌っている姿を見ると、年齢のわりにすごく大人っぽいと思うのですが。ご自身としては、ファンの方が思っている部分と「ちょっと違うよ」と感じられることとかもありますか?

家入:誰もが持っている「人間の明るさと暗さ」が私の場合はどちらも極端で、どちらかというと暗い部分にスポットが当たりがちなんですよね。だからデビューしてからの数年は「可哀想な子」みたいになっていましたね、本当に(笑)。実際に会ってみると「あ、違うんですね」ってわかってもらえるんですけど、ファンレターとかにも「家入さんってアイス以外のもの食べなさそうですよね」とか書いてあって…どういうことなんだろう!?って思ったり(笑)。普通にパンケーキを食べに行ったりとか明るい部分もあるんで(笑)…2016年はもっとパーソナルな部分を押し出していきたいなとも思っています。

――Peachy読者には10代や20代の女の子が多いのですが、その世代特有の勉強や恋愛、コンプレックスなどに悩んだりすると思うんです。家入さん自身はコンプレックスってありますか。

家入:コンプレックスだらけですね。でも、だからこそ歌えているというのもあります。私もそうでしたけど、小、中、高校生の時って「みんなと同じであることが正義」みたいなことが多いじゃないですか。だけど社会に一歩出ると、他と違うことを逆に求められることも多い。だから…流行に乗ることはすごい大事ですけど、本当に自分がやりたいと思っていることがあったら実現するために動いたほうがいい。集団でいると弱みになっちゃうことも、一人でやっているとすごく強みになったりするから。

――マイナスに思えていたものも、プラスに変える力があれば武器になると…。

家入:言い方次第だと思うんですけど、コンプレックスは逆に多く持っている方が得だなと思うんです。すごい美人だけど何も印象に残らない人より、個性的な部分があった方がいい。自分で自分を受け入れてあげること、それが絶対自分らしさに繋がると思います。

――それは結構勇気がいることだったりしないですか。

家入:勇気いりますよね。でも結局仮面を被って誰かとうまくいったとしても、いつかどこかで仮面を外したくなる瞬間が人間ってくると思うし。だからやっぱり「自分のままでいるのが一番傷つかない」気がします。



――それは、今の家入さんにも当てはまりますか?

家入:そうですね。私の場合、こうやって活動していると勝手にシールをペタペタ貼られる側なので、最初はすごい怖かったですけどだいぶ気にならなくなりました。

――その心の強さをどう保たれているのでしょう?

家入:私の場合、逆に燃えちゃうタイプかもしれないです。「家入のこと超キライなんだけど」って言われたら、「絶対見返してやる!」って思うタイプ(笑)。ライブでも、「この人、すごい斜めから見てるな」って思う人が、最後楽しそうにしてくれていたりすると、「繋がれている」って思います。あとはやっぱり音楽が好きだから頑張れているんだと思います。

――家入さんの歌を聴いてくれる人の反応が直にわかるライブでは、自分の声が届いていることが、自分自身の勇気になったり、力になったりしますか。

家入:かなりしますね。「君がくれた夏」もすごい良い結果を残せたんですけど、単に実績だけ聞いても、正直あんまりピンとくるものがなくて。それよりも学園祭とかで曲フリした時の歓声だったりとかの方がリアルだったのでやっぱりライブはいいなって思いますよね。


『私の名前を呼ぶ人がいて、初めて“家入レオ”になれる』


――家入さんにとって歌うことってどういうものですか。

家入:家入レオとして存在するためのすごい大事なもの」ですね。今までデビューしてから作ってきた曲、カップリングもアルバム曲も、全部大好きだし、全部愛をこめて作ってこれたなって、そこはすごい自信を持って言えるんです。だけど、過去の作品がどんなに素晴らしくても、今現在の私がちゃんとしたところにいないと過去の作品を聴いてもらえなくなる。私、曲たちがずっと愛されたいんです。今までの曲たちも聴いてもらうために、今もきちんと頑張る。「私が私であるために歌っている」ということが大きいかもしれませんね。家入レオで生きるためにはやっぱり歌ってないと家入レオにはなれないし、私の名前を呼ぶ人がいて初めて家入レオになれるので。やっぱりそういうことのような気がしますね。

――人としてちゃんとしていることが、音楽にも繋がっていくのですね。

家入:本当そうですね。全部音楽に繋がっていきます。恋だったり失恋だったり、友情だったりとか。結局このひとつの体に宿っているものが全部私の音楽になっています。


――ひとりの女性としてはどんな女性になりたいですか?

家入:女性としてはカッコイイ女性でありたいですね。ちゃんと自分を持ってる人というか。常にちゃんと信じてるものがある人はカッコイイなと思います。

――プライベートではよく走ったりトレーニングをされていらっしゃるとか?

家入:体力作りはしていますね。一時期すごいランニングにハマってて10キロとか毎日走ってたんですけど、さすがにストレスになってくるんです、運動してる自分に(笑)。「運動しなきゃ!」ってことがストレスになって逆に食べちゃったり。だから、運動してる感覚がないところでどれだけ運動できるかを考えています。例えばエスカレーターじゃなくて階段で上がるとか。たくさん歩くことで最近は調節するようにしてます。あとは40秒間ダッシュして、90秒休むっていうのを30分間とか。心拍数トレーニングは結構してますね。

――美容法やファッションについてはいかがですか。

家入:ファッションには疎いんですけど、美容法に関しては食の美容みたいなことをいろいろ試しますね。

――スーパーフードとか?

家入:大好きです。いろいろ試しました。自炊は出来るときはしています。最近バターコーヒーが流行ってるじゃないですか。ココナッツオイルとバターを入れて。本当にお腹減らないし、喉を使った翌日にバターコーヒーを飲むとすごい喉が回復します。


『2016年は勝負年!自分でもっと切り開いていきたい』


――21歳、新たに挑戦してみたいことは?

家入:一人で海外に行きたいなと思っています。お正月にスタッフさんたちと一緒に半分仕事ではあったんですけど海外に行ってきてすごい刺激があったんですよね。2016年はもう結構パンパンなので(笑)、やり切ったあとに一人でちょっと行ってこようかなって思ってます。もう2017年のことですけど(笑)。

――どちらに行きたいですか。

家入:ニューヨークに行きたいです。

――やっぱりちょっと音楽と繋がってますね(笑)。

家入:そうですね(笑)。日々が音楽に繋がっていきます。結局、曲を書く時に何を題材にするかって、自分の人生だったりするので。経験は多いほうがいいですよね。本読むにしても映画にしても、そう思います。



――2016年、今年はどう突き進んでいきたいですか。

家入:あくまで例えですけど、「今年ちゃんとしたものが得られなかったら、もう辞める」っていうくらいの勢いで今年は行こうと本当に思っています。毎年音楽に勝負はかけているんですけど、自分でもっと切り開いていくという意味で、勝負年だと思います。

――最後にPeachyとは「ゴキゲン」、「ハッピー」という意味なのですが、家入さんにとって今の癒やしとか、ハッピーになるアイテムを教えてください。

家入:最近はそれこそ美容の話になるんですけど、ヨーグルトに大根おろしとハチミツを入れたものにハマっています。すごい腸に聞くって言われて食べてるんですけど。本当にすごいんです。デトックス効果が。見た目はちょっとグロテスクですけど、オススメですね。

撮影:倉橋マキ
取材・文:木村友美
制作・編集:iD inc.


<リリース情報>
11th シングル「Hello To The World」 2016.2.17 release
(TBS系テレビ『CDTV』2・3月度オープニングテーマ曲)
初回限定盤A【CD+DVD】 VIZL-931 ¥1,700+tax
初回限定盤B【2CD】 VIZL-932 ¥1,700+tax
通常盤【CD】 VICL-37141 ¥1,200+tax


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<LIVE情報>
9月より「家入レオ 5th ワンマンTour 2016」を開催。
詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。