“社会vs自分”をテーマに、自身の体験や感じたことを独創的で毒のあるリリックで歌うラップユニットがいます。現役でOLとして仕事をしながらアーティスト活動も行っているCharisma.com (カリスマドットコム)。ノリの良いエレクトロサウンドにも注目ですが、なんと言っても、MCのいつかさんは普段は雑貨メーカーの事務、DJのゴンチさんは精密機器メーカーの事務をしているんです!

職場での女同士のしがらみを表現した新曲「こんがらガール」のお話もお聞きしつつ、会社員とアーティスト活動の両立や、2足のわらじだからこそ見えてくる独特の視点をお伺いしました。

やりたいことを応援してくれる、理解のある会社かどうかがとても大事

――会社員とアーティスト活動、全く違うお仕事をお2 人はどのように両立されているのでしょうか。

MCいつかさん(以下、いつか):会社員と舞台に立って歌うことって、やっぱり全然違うのでストレスの感じ方も違うんです。もちろん舞台で発散できることもあるんですけど、逆にカリスマドットコムで溜まったストレスが会社で発散されることも出てきました。音楽とは関係ない話を会社の人とするのも、自分としては息抜きになっている部分はありますね。だから相互関係を持ってストレス発散できているのかな。

DJゴンチさん(以下、ゴンチ):私の場合はあまり両立できていなくて、カリスマをやっている時も、「ああ、明日会社でやらなきゃいけないことがあるなー」と気になっちゃう。なので、この仕事を通じて、時間のやりくりや頭の切り替えができるようになるのが課題ですね(笑)。

いつか:有り難いことに私たちの会社は、アーティスト活動に対して理解があるんです。なので、やりたいことがいくつかある人は、違う活動を応援してくれる会社にいるかどうかがとても大きいと思います。仕事はやることさえやっていれば、別に外で好きなことをやっても良いよという柔軟な会社がどんどん増えてほしいですよね。上手くいったときは相乗効果になるので。

MCのいつかさん

すべての女の人が、辛いことや苦しいことを笑い飛ばせるように

――OLと音楽活動、どちらもやっていて良かったと思うことはありますか。

いつか:私は自分の体験をもとにリリックを書いているので、ネタには困らないという点ですね。

ゴンチ:カリスマドットコムで表現していることが、リスナー目線でリアルなものとして共感できるのは、OLをやっていて良かった点ですね。発信している立場としても、私たちと同じように感じている人がもっといるんだろうなと思えるので。

――「なんもしないつっ立って見てるだけ 威張るマジでクズ」(イイナヅケブルー)、「人の目ばっか気にして見栄ばっか張って」(メンヘラブス)など、毒のあるリリックが特徴ですが、歌詞を書く時やステージで歌う時に意識していることはありますか。

いつか
:誰かを傷つけようと思ってやっているわけじゃないですが、「そんなことお前に言われたくないよ」という方もいらっしゃると思います。ただ、どの曲も聴いていて楽しければ良いですね。世の中の「これってどうなの!?」とムカついて疑問に感じたことに対して、内にこもってストレスだけ溜めていくより、「ははは! ウケるね、こういう人いるよね!」となってほしい。

女の人は出来事が感情へシフトしやすいから、“笑い飛ばす”っていうのが難しいですよね。だから、カリスマの曲がすべての女の人にとって、辛いこと苦しいことを笑い飛ばせるエンターテインメントになって欲しいなと思います。

見ていてくれる人はいるから、間違えていると思ったら発信するべき

――ウートピの以前の記事で、「同僚の妊娠を素直に喜べない女性は多い」というものがありました。お2人も普段、女同士のしがらみを感じることはありますか。

ゴンチ:職場が昔、女性だけだったのでわかりますね。上司が目をつけるのは可愛い新人とか、派閥同士の悪口とか。あまり気にはしてなかったんですけど、私もたぶん悪口は言われていたと思いますし、人によって態度をガラリと変える女性を見て、やっぱり女の世界は怖いなと。

いつか:女性は5歳くらいからもう“女”だから、しょうがない気もしますね。独身女性でもママ友でも、旦那さん、着ている服、子どもなどで嫉妬やしがらみは一生続いていくのかなと思ったりします。そういう自分以外の外見での勝負ではなく、中身で勝負すべきとは思いますけどね。

――そうした女同士の世界で苦しむ女性たちが生きやすくなるには何が必要でしょうか。

いつか:この活動をしているから思うんですけど、間違っていると思うことや不満について声をあげる、表現するってとても大事だと思います。会社を良くしようとする意見なんかも、どんどん言って良いと思いますね。言える環境があるかってところもあると思いますが、見ている人は見ていてくれます。もちろん、生きやすくなるための息抜きとして私たちの曲があれば良いですね。

DJのゴンチさん

しがらみを抱えたOLさんたちの新年会とか忘年会に呼ばれたい

――今回の新曲「こんがらガール」では髪の毛の“もつれ”と人間関係の“もつれ”をかけて、UK発のヘアブラシ「タングルティーザー」とコラボをされ、PVもアニメーションを駆使した新しい試みをされました。今後、挑戦したいことやコラボしてみたいものはありますか。

いつか:ん〜、A社(事務用品を中心とする通信販売会社)ですかね。

ゴンチ:あ〜! いいね!

いつか:A社のサイトって、絶対事務員が見るもので、会社においても発注作業をするのって女の人ですよね。あのページが面白くなればOLさんたちも仕事が楽しくなると思うので、発注ページに脚立担いで歌いながら登場してみたいです。

――確かに、面倒な発注作業もカリスマドットコムのノリの良い曲がかかったら楽しくなりますよね。今後はますますOL目線だからこそ歌えるOL応援ソングが増えていきそうですね。

いつか:刺さる人に刺さってほしいというのはありますね。私たちが聴いてほしい人、声が届く人に向けて発信したいです。丸の内のOLさんとか。

ゴンチ:しがらみを抱えたOLさんが多い街で、新年会とか忘年会に呼ばれたいです!

いつか:今回の新曲をきっかけに、もっとダイレクトに働く女性を応援する曲を作っていきたいなと思っています。それが今カリスマドットコムにできるアイデンティティですね。

――音楽も仕事も、思い切り発散したり発信したりすることは大切だということがわかりました。最後にウートピ読者にメッセージをお願いします。

ゴンチ:新曲は、日頃の皆さんにも共通するストーリーが描かれている作品なので、自分の気持ちと照らし合わせてもらいたいです。今後もこういう作品が多くなると思うので一緒に聞いてもらって、共感してもらいたいです。

いつか:ウートピさんでのインタビューがきっかけでA社に登場するかもしれないので、チェックしてみてください。曲を聴くのはそこからでも!(笑)

カリスマドットコム オフィシャルサイト

(笹崎ひかる)