(c)UNIVERSAL PICTURES

もしも恋人や夫が突然の事故で体に障害が残るようになったら……と考える人はあまりいないかもしれません。でも誰にでもそのようなことが起こる可能性はあるのです。実話をもとにした映画『博士と彼女のセオリー』のスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)もALS(筋委縮性側策硬化症)という病で大学生活中に倒れます。余命2年と宣告されたホーキングを支えたのは恋人のジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)。彼女のサポートで、ホーキング博士は物理学者として世界的に名を広めていきます。博士は現在73歳!

映画『博士と彼女のセオリー』には、夫や恋人が障害者になったとき、それを乗り越えるために大切な事柄が描かれているのです!

1.人生の目標と考える

男女問わず、人は生きていく上で何か目標を立てて、それに向かって進むことで生きがいを感じたり、充実したりします。たいていの場合、それはなりたい職業だったりするのですが、ジェーンの場合はそれが恋人スティーヴンでした。

大学生のときにスティーヴンは難病に侵されてしまいますが、ジェーンは病を知ったとき、何も迷いなく彼を支えていく決心をします。知的で教養もある彼女ならば、仕事を選ぶこともできたでしょう。でもこういうときは、あれもこれもと欲張るとできることもできなくなります。夫(恋人)を支えることを人生の目標にすればいい。そうすればジェーンのように頑張る気持ちになれるはずなのです。

2.周囲を思い切り巻き込む!

ジェーンの力は、スティーヴンだけでなく家族全体に広がっていきます。難病の彼を支えるには、自分ひとりの力ではどうしようもないと考えたからです。彼女はスティーヴンの家族に「一緒に頑張りましょう!」と力強い言葉をかけて、病気に負けないという姿勢を見せます。そして結婚することを決めるのです。恋人ジェーンのその気持ちに家族が応えないわけにいきません。そして周囲も「できる限りのことをするのだ!」と、スティーヴンを支える人々は増えていく。ひとりの努力では限界がありますから、周囲を巻き込む力も必要なのです。

3.一喜一憂せず常に平静でいる

病に苦しむスティーヴンは、体調次第で気持ちのアップダウンがあります。でも周囲までそれに飲まれていてはダメ! ジェーンは彼がくじけても一緒にくじけません。彼にとって良きことはすべて試し、常に平静を保つジェーン。うまくいったとき、あまり大喜びすると、ダメだったときの落差が激しく落ち込みますから、穏やか〜に対処するのが大切。ジェーンのメンタルの強さにはビックリしますが、常に平静でいることが夫(あるいは恋人)を支えるパワーの維持には重要なのです。

4.いつも一緒にいることは重要じゃない

スティーヴンとの間に子供が3人いるジェーン、心身ともにヘトヘトになるのも無理ありません。肉体の疲労は精神にも及びますからね。そこで敬虔なクリスチャンの彼女は聖歌隊での活動で心を癒します。自分の時間を持つことは大切。しんどいなと思ったら、介護や育児を人にお願いして外に出ましょう。いつも一緒にいることが重要じゃない。家から離れて好きなことをすることが介護&育児のモチベーション維持には重要なのです。

障害者の夫(恋人)と生きる決心をするというのは並大抵の決断ではありません。でも大変だからこそ、生きがいにもなるのです。ホーキング博士が世界的な物理学者になったのは、ジェーンの支えがあってこそで、それは博士も認めるところです。2人は離婚してしまいますが(その理由は映画で描かれています)、今でも親友でいられるのは二人三脚で生きた証。障害者の夫(恋人)の手となり足となり支えることは、凄い経験であり、のちにあなたの人生の財産にもなるでしょう。

(斎藤香)